大発見！　ウチはこんなところです！　下見編｜リアクション

大発見！　ウチはこんなところです！　下見編

　◆第三章「オカルト怖い？　でもオススメ！」

　また別の日に、砕牙達は寝子島を歩き回って情報を集めていた。
　良い感じに情報は集まっているのだが、まだまだ数が少ないそうで。

　そんな中で、響タルトは俳優である霧水砕牙とその連れに気づいて、ちょっとした好奇心が湧き上がる。
　特に砕牙の方はテレビにも出ているというのもあり、その辺りから会話のきっかけを見出して突撃した！
「こんにちは！　あの、もしかしてオカルトが苦手な霧水砕牙さんですか？！」
「うぐぅっ！　そ、そうだけど……！」
　痛い所を突かれた！　と苦笑気味に胸を抑える砕牙。本当にオカルトが苦手らしく、その反応を見てタルトは小さく笑って謝罪を述べつつ、彼らがこの島にいる理由を尋ねた。
　サライの方からテレビ番組の事前取材だよ、と答えが返ってきたので、タルトはもしかして……と番組名を思い浮かべ、聞いてみた。
「もしかして……『大発見！　ウチはこんなところです！』って番組？！」
「ああ、そうだ。もしかして見てくれてるのか？」
「もちろん！　あの、例の掛け声お願いしても？！」
「ん……そうだな、ちったぁ番組っぽくするのもアリだな」
　ニヤリと笑ったサライは、パンフレットをくるくると丸めて疑似マイクを作り出し、それをタルトに向ける。番組のようにするのなら、雰囲気作りも大事だと燦斗にカメラっぽいものを回してもらうことに。

「さて、それじゃあ……あなたのオススメ何処ですか！」
　なかなかに番組っぽい雰囲気が出てきたところで、タルトはオススメのスポット……忘れられ屋敷のことを伝える。
「ポルターガイストからラップ音、写真を撮ればオーブが写り肝試しすれば誰か増えている……っていう、大サービスたっぷりなところだよ！」
「うぐっ」
「あっ……」
　砕牙とサライの顔がひきつる。対する燦斗はニコニコの笑顔で続きを促しており、それに便乗するようにタルトも忘れられ屋敷を大々的に宣伝した。

　自分宛てに書かれた古びた手紙。
　差出人の名前は掠れて読めず、切手や消印の跡が見受けられないもの。
　中を読めば寂しくてたまらないという内容と、とある寝子島の住所……。

　―――と、軽く宣伝したところで砕牙とサライがお互いの手を取り合ってビビり始めてしまったため、一旦止める。本番じゃなかったのが何よりの救いなのかもしれない。
「あはは、怖いの苦手なの？」
「苦手っていうか嫌い！！　嫌い！！」
「ごめん、ごめんって。ええと、じゃあ気分を変えるために僕から質問していい？」
「え、何を？」
　タルトは出会った時から気になっていた。
　―――男３人いるのなら、そう、アレな話も見受けられるはずだ、と……。
「……お兄さん達イケメンだけど、受けは？」
「俺攻めのサライ受け！！」
「即答！？」
　砕牙の方から即答（しかも詳細）が飛んでくるとは思わなかったと、ちょっとびっくりしたタルト。どうやら砕牙の方はタルトと同じく歴戦の戦士のようで、しばらく砕牙とタルトの薄い本談話が続いた……。

「おや、もうこんな時間ですか」
　薄い本談話が続いている中で、燦斗が呟く。
　まだそこまで回りきれていないから次に行かなくては、と断りを入れて３人は去ろうとするが……タルトは、ふと３人が向かった通りについてまた１つ、話をつける。
「ああ、そうそう。そこは落とし物通りっていうんだ。通ると必ず『何か』を落とす不思議な通りで、落とした本人は通りを抜けるまで落としたことに気づかないんだよ」
　タルトの言葉を聞いて、３人の足がビタッッと止まった。その反応が面白くて、タルトは追加の一言。

「命は、落とさないといいね。……ふふっ」

　軽く笑ったタルトの声に、３人の男達は回れ右をして別のルートを歩いていったとさ……。

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