大発見！　ウチはこんなところです！　下見編｜リアクション

大発見！　ウチはこんなところです！　下見編

　◆第二章「たくさんあるから、すごく迷う」

　続いて別の日。
　砕牙達はホテルを取って、朝食をとってから再び寝子島の街へと繰り出した。

　今日も色々と情報を探そう……としていたところで、小山内海の姿をサライが見つける。
　そんな海は彼らに声をかけられて少し驚いたものの、きょとんと男達を見てから、スケッチブックを見せた。
『声が出せないので、筆談で失礼します』
「おっと、俺達の声の大きさは大丈夫？」
『はい、大丈夫です。なにか御用でしょうか？』
「すみません、実は我々こういう者でして」
　そう言って燦斗が自身の名刺と、砕牙とサライの名刺を取り出して海に渡す。俳優の霧水砕牙と知って、海は目をまんまるとしていた。

　そして彼らの目的が寝子島の良い所を探しに来たという話を聞いて、海は少し首を傾げて考える。
　ずっと寝子島に住んでる彼女は、まさに寝子島の良い所を知り尽くしている。しかし逆を返せば、何処を教えたら良いかと悩んでいるようで。
「そうだなぁ。昨日は猫生菓子のお店を教えてもらったし、今日は別のお菓子食べてみたいかなぁ」
『別のお菓子ですか……。だったら、いくつかありますよ』
　そう言って海は砕牙達にメモを借りて、お店の名前をつらつらと書いて彼らに渡す。
　どのようなお店なのか、そしてどのようなものが置いてあるのかも、しっかりと書いて。
「スイーツと雑貨の『somnium』、鳥喫茶の『ＴＡＢＥ＝ＴＹＡ＝ＤＡＭＥ』、駄菓子屋の『きらく屋』……すげえ、色々あるんだなあ」
「へえ、鳥喫茶……。猫ばかりかと思ったけど、こういうところもあるんだな……」
『個室につれていくには、誰かを連れてこなきゃいけないんですけどね』
　いくつもの書き連ねられた店の名前をねこったーで検索し、どんなお店なのかの評判も確認。特に砕牙とサライは鳥喫茶・ＴＡＢＥ＝ＴＹＡ＝ＤＡＭＥが気になった様子だ。
　海がオススメしてくれた全てのお店は、この後向かってみるそうだ。今後の予定次第ではまた別のところにも向かうというので、海は心に残っている風景を思い出し、その場所もオススメしてみることに。
『あとは風景もあるんですよ。梅園がとても綺麗な『島山梅園』ってところがあって』
「梅の木か……確かにそれは、写真写りも良さそうだな。それは何処に？」
『ええと……』
　またメモを借りて、つらつらと『島山梅園』のマップを書き連ねる。
　場所は九夜山の裾にある、川を挟んだ辺り。今から向かうには少し時間がかかりそうとのことで、ここは後日訪れるとのこと。

　いくつかのおすすめスポットをメモに書き連ねたところで、海は砕牙達に文章を１つ見せる。
『でも、私は砕牙さん達にはもっと歩き回って欲しい、かな』
「え、どういう意味だい？」
　その言葉の意味を問いかけつつ、砕牙は首を傾げる。寝子島をある程度歩き回る予定は確かにあるが、もっととはどういうことなのか、と。
『何の変哲もない所から見る景色。そういうところで見る光景って綺麗だったりすることもあるから、色々と寝子島を歩いてみてほしいな、って』
「なるほどね。じゃあ、キミの言うとおり、今日は少し歩き回ってみることにするよ」
　にっこりといい笑顔を見せた俳優の砕牙は、海の言葉を受け入れ、今後のスケジュールを軽く変更した。
　彼らもまた、自分達だけの素敵な景色を見つけることが出来たことだろう。

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