【おまかせ】キャラ的おぎゃー！な瞬間　せかんど！｜リアクション

【おまかせ】キャラ的おぎゃー！な瞬間　せかんど！

「寝子高に進学してからというもの……」
　放課後、ホームルームも終わった平和な時間。しばらく、可愛らしい栗色の髪に鮮やかなエメラルドの瞳を持つ瀬川天音は己についてしみじみと振り返る。
　寝子高に入学して、とても充足たる日々を送っている。毎日はとても楽しく、仄かに眩しい。子供の頃から住み暮らしている実家のお寺も、何かしら手伝うことはあってもその節度を強要されることもなく、結構のびのびと育ててもらっている。
　しかし、この数日――。
「どうも、トラブル続きな気がしていけません。日々の行いが良くないのでしょうか」
　ある時は、欲しかった文房具のシールが売り切れ、ある時は急いでいる途中で迷子の子供を交番に連れて行き、ある時は――平穏にしては、ほんの少し乱れている日々が重なっているような気がする。
「本日は無事に帰れる事を祈りまして――では」
　そうして、天音は学校を後にした――。

　少し歩く、しかしそこに、子供の泣き声が。
　目を向ければ、公園広場で子供が一人泣きじゃくっているのが目に入る。
　今日も、そう思う以前に身体が動く。天音は子供に話し掛けていた。
「どうしたのでしょうか？」
「おねえちゃん――タマが、大事に飼ってた猫のタマがいなくなっちゃって……！　もう、三日くらい経ってて……まだ、この辺りにいると思うのに見あたらなくて……ひっく……」
　悲しい泣き声を聞きながら、天音は小さく頷くとそっと子供を慰めた。
「まあ……きっと大丈夫です。何とかしましょう、一緒に探せばきっと見つかりますから」
　天音は、今日も些細なれども事件に巻き込まれた、という自覚をするよりも早く、目の前の子供を助けるという選択を選んだ。

「この広場にいるのでしたら……。少々お待ちください。すぐに戻りますから、タマさんが出て戻って来られないか見ていてくださいね」
　天音は子供に優しく話し掛けて、目に見える場所にあるコンビニに駆け込んだ。
　買ってきたものは、思いつく範囲でおなかのすいた猫を誘い出せそうなもの……かつお節に、携帯おやつのにゃんにゅーるに、キャットフードの缶に紙皿など……少しお財布が痛いがあまり気にしてもいられない。
　天音は急いで戻りその袋を広げて、子供にも手伝ってもらって広げながら、その合間に目を閉じる。

　じっと、天音は脳裏に浮かぶ実家の大きな仏像を思い浮かべる。
　ろっこん【千里の願い】――それは、目を閉じて仏像などの神仏の姿をイメージする間、イメージしている間、捜索対象のいる方角が分かるというもの。
　ほんの少しの無言の時間。その瞬間ふと、天音は確かにとある方向から子猫の気配を感じ取った。
「多分――こっちです」
「え、おねえちゃん見つけたの！？」
　天音が向かう先、少年と一緒に覗き込んだのは、大きな広場の端にある一つの錆び付いたドラム缶の中。
　中を覗き込むと、一匹の白猫が震える眼差しでこちらを見ていた。どうやら、飛び込んだ後に何かの拍子で出られなくなってしまったようだ。
「足を痛めているのでしょうか。助けましょう」
　天音が自分の服が汚れるのも気にすることなく、錆び付いたドラム缶を引っくり返す。すると、ぽてっと子猫が飛びだしてきた。

　天音が買って来て、準備していたごはんをタマが一所懸命に食べている。
「お腹が減っていただけのようですね、良かった」
「良かったぁ……うぇぇ、おねえちゃん。ありがとうー！」
「いいえ、次はきちんと見てあげていてくださいね」
　タマを抱きかかえ、お礼を言う少年の後ろ姿を天音はゆっくり見送って。
　ふと、もう夕焼けの時間なのだと気が付いた。
　明るくて、温かくて、また明日を約束してくれそうな、幸せを感じる夕焼け――。

「良いことをすると気持ちがいいですね。
　今日も善行を積みました」

　――最初は難儀と思っていたけれども、こう心が温かく思えるなら、そんなトラブル続きも悪くない。
　天音は制服に付いた埃を払って、家のお寺に帰ることにした。
　口許には、幸せに浮かぶほんのりとした充足の笑顔。

　そんな、毎日が過ごせる幸せが、今日もここ寝子島には緩やかに存在している――。

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あとがき

担当マスター：冬眠
ファンレターはマスターページから！

今回は、ご参加いただきました皆様、本当に有難うございました。この度ＭＳをつとめさせていただきました冬眠と申します。

この度は、いただいたご希望から新しいPC様のリアクションを書かせていただくという全く新しい試みにて、悩ましい思いも致しましたが、無事お届けさせていただくことが出来て一安心しております。

こちら、各PC様の個別あとがきにて、仔細データの記載等をさせていただいております。今回はキャラ設定、プロフ設定保持箇所、変更箇所の全てに理由があるのですが、個別あとがきの許容量を大幅に超えお届けが出来ず、最低限のお伝えとなりました。誠に申し訳ございませんが、少しでも楽しんでいただけました設定などがございましたら幸いです。
こちらの反映は任意ですし、PC様のご利用自体もおまかせとなります。ご自由にプレイヤー様のお好みに合わせていただければと思われます。

その為、リアクション、設定共にお目を通していただき、少しでもお楽しみの程をいただけましたならば、この上ない幸いでございます。
それでは改めまして、この度は、ご参加をいただきまして本当に有難うございました！

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