【おまかせ】キャラ的おぎゃー！な瞬間　解禁スペシャル！｜リアクション

【おまかせ】キャラ的おぎゃー！な瞬間　解禁スペシャル！

☆女性警察官の休日

　神奈川県警の巡査部長、水槻清恋は４月に寝子島署刑事課へ転属となりました。
　寝子島に来る前は川崎で勤務していましたが、内示を受けた時はかなり憂鬱な気分になりました。
（なぜ寝子島なの……？）
　それは、前の職場が気に入っていたとかそういう理由ではなくて。
（猫、ぶっちゃけ苦手なのに。あの目が嫌なのよ。あの目で見つめられるともう怖くて怖くて……）
　しかしそんな理由で転勤を断れるはずもありません。
　少しでも早く転勤できることを祈りつつ、清恋は寝子島に赴任してきたのでした。
　
　独り身の清恋は、自動的に警察の女子独身寮に入ることになりました。
　警察学校時代から不自由な寮暮らしは慣れています。
　少ない荷物を片付けていると、ドアがノックされました。　
　隣室の部下が興味津々な様子で挨拶に来たのでした。
「お名前を伺ってどんな人が来るのか楽しみにしてたんですが、予想以上に綺麗な方で驚きました。お名前にぴったりですね」　
　愛想のいい部下に対し、清恋は不機嫌な表情になりました。
「それはどうも。でも私この名前嫌いなの」
「えっ？」
「少女漫画家か恋愛小説家のペンネームみたいで」
　高校時代、「清恋」という名前とは裏腹にかなりドロドロした恋を経験してから、清恋という名前はコンプレックスになっていました。
　しかし初対面の相手は、清恋という名前に大抵似たような反応を示すのでした。

　
　寝子島署に着任して暫く過ぎたオフの日。
　清恋は、だらしなくタンクトップにパンティのみの姿でボケーっとして、メンソールのタバコをふかしていました。
（おっと、こないだは寝タバコで危うくボヤを起こしかけたんだっけ）
　気をつけなきゃ、とタバコを灰皿に押し付けます。
（事件らしい事件が滅多に起きないのでヒマなのはいいけど……さすがに一日このままグダグダするのもね）
　オフは大抵寝て過ごす清恋ですが、今日は天気もいいし、気分転換に買い物に出かけることにしました。

　しかし。
「ニャー～」
　寮を出ると猫たちの集まりに出くわしてしまいました。
「なんでついてくるのよ？！」　
　猫がやたら多いのはわかっていましたが、その上なぜかすり寄ってくるのです。
「勘弁してよ、せっかくのオフなのに！　あっちに行って！」
　憂鬱になった清恋は、急いで街の雑踏に紛れ込むことにしました。
　その時。
「誰か！　捕まえて！　ひったくりよ！」
　女性の悲鳴と共に、走り去るサングラスの男。
　途端、考えるより早く清恋は走り出していました。
　みるみるうちに、男との距離は縮まります。
　高校時代陸上部で、100メートル走でインターハイ出場経験がある清恋でした。
　しかし男は諦めず、角を曲がろうとして……いきなり転びました。
「うわっ！」
「確保！」　
　すかさず清恋は男を押さえ込み腕をひねります。
「いててて」
（なんでこんなところで転んだのかしら？）
　と見れば、足元には太った猫がいました。
「ぎゃっ」　
　せっかく高揚した気持ちが下がってしまう清恋でしたが。
「くそっ、猫さえいなきゃ」
　犯人がつぶやいたところを見ると、どうやら猫に邪魔されて転んだようです。
　これが、清恋の寝子島での初の手柄となったのでした。
　

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