おセンチエアーと小学生｜リアクション

おセンチエアーと小学生

☆小４最後の寝子小テスト

（小４最後の寝子小テストー！　なんだけど）
　テスト前の教室で曖浜瑠樹は、ふと昨日のことを思い出した。
（昨日は何だかさみしくなってきちゃって……今日もそうかもなぁ）
　５年生に進級したらクラス替えがあって、今の友達とも別々になってしまうかもしれない。

「テスト用紙を配ります」
　用紙を受け取って、瑠樹は我に返る。
（さみしい思いはまだあるけれど、テストは待ってはくれないんだよねぇ）
「始めてください」
　先生の声を聞いて鉛筆を握ると、理科の問題を見つめる。
（頑張って解いてみるよぉ）
　かりかりかり……
　鉛筆が走る音と共に式と答えを書いていく。
　しばらくして鉛筆が止まった。
（んー、わからない所がちょっとあるなぁ）
　ちょっと心配になりつつ、まずは仮の答えを書く。
（この部分は一応書いて、後から考えようかねぇ……）
　前だったらわからないところでつまずいてしまって、時間ばかりが過ぎていったろうけど。
　今の瑠樹はちゃんと対処法を知っている。
　けれどちょっと心細くなって、瑠樹は思った。
（こういう時、サンマさんやマンボウくんが出てきて、がんばれーってしてくれたらいいのになぁ……）
　瑠樹はゆるキャラや着ぐるみが大好きだ。
　小学生の瑠樹には、寝子高の補習では子マンボウくんが出現して、応援と言うより足を引っ張っているなんて知るよしもないことだった。

　キーンコーンカーンコーン。
　ついに最後のチャイムが鳴り、テストは終わった。
「ふわぁ、テスト終わったぁー……！」
　瑠樹は思い切り伸びをし、立ち上がる。
「校庭に行って、思いっきり遊ぶよぉー！　皆、行こうよ！」
　男子たちが瑠樹の声に応じて、バタバタと校庭へ向かう支度を始める。
「桃井さんも！」
　瑠樹は近くにいた桃井かんなにも声をかけた。
「えっ？　校庭で何するのよ？」
　めんどくさそうにかんなは尋ねた。
「校庭で……何しようかねぇ」
　そこまで考えていなかった瑠樹はちょっと首を傾げるが、すぐに顔を輝かせた。
「おにごっこかかくれんぼが良いかなぁ。とにかく色々遊ぶよぉ！」
「……しょうがないなあ、ちょっとならいいわ」
　こうして瑠樹と共にかんなも校庭へ出て行った。

　鬼ごっこを始めた瑠樹は、思い切り走りながら叫ぶ。
「皆で遊ぶの楽しーい！」
　けれど、クラスの仲間たちと遊びながらふと思う。
（けど、来年はクラス替えがあったりするし、小学６年の皆は卒業しちゃうんだよねぇ）
　やっぱりちょっとさみしくなってしまった。
　鬼になった二宮風太に追いかけられながら、瑠樹の心の中に今までになかった思いが沸き起こる。
　抱きしめたくなったり、飛びつきたくなったり。
（せめて、手を繋ぎたくなっちゃうなぁ……）
　けれどそれをそのまま実行するほど、もう瑠樹は幼くはない。
（でも我慢、我慢だよぉ……帰ったら縫いぐるみぎゅーってするから……！）

　楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
　下校を促す放送が流れる。
　帰りはいつもより多めに手を振った。
「皆、これからもたまに遊んでくれると嬉しいなぁー！」
　みんなも、手を振り返して応えてくれた。

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