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- 00月00日生 00歳
- AAA000000
泉先生のロックなファッションチェック＆ショッピング！
日曜日、空は淡い青色に染まる。降り注ぐ朝陽は暖かく、寒い季節を忘れさせた。
寝子島高校の正門前、愛猫 萌々子の姿があった。白い長袖のブラウスはそこはかとなく気品を漂わせていた。合わせた薄桃色のロングスカートは今日の陽気に相応しい桜の花弁を思わせる。天候の急変に備えて腕には薄手のカーディガンも持参した。
明るい天気に反して萌々子の表情は暗かった。何度かの溜息のあと、掌に人の文字を描いて呑み込む真似をした。
「待たせたようで済まない」
横手の声に振り向くと泉 竜次は口の端に笑みを浮かべた。
萌々子は驚きの表情で固まる。自分の目を疑うかのように食い入るように見詰めた。
額には燃えるような色のバンダナ。黒いジャケットは朝陽でギラつき、片方の襟はヒョウ柄だった。胸元に見えるシャツは白で黒い髑髏が大口を開けて叫んでいる。青いスリムパンツは若々しい。ショートブーツはバンダナを意識した色で統一感を醸し出す。
「泉先生、おはようございます。今日はよろしくお願いします。その、私には少しハードルが高いようにも思いますが……」
「ロックを難しく考える必要はない。己の信じる道を迷いなく突き進むことだからな」
「はい、そうでした」
萌々子は照れ臭そうに返した。竜次は大らかな態度で受け止める。
「行き先は決めてあるのか」
「はい、事前に調べてきました」
萌々子は先頭に立った。相手に気付かれないように深呼吸をして案内に努めた。
キャットロードには多くの店が集まっている。飲食店に止まらない。スポーツ用品店、インテリア関係、雑貨と多岐に渡る。当然のことながら服飾関係も充実していた。
「ここになります」
無事に辿り着いた。萌々子の表情が緩む。軽やかな足取りで店に入っていった。
「これは……」
絶句に近い。眼鏡の奥の黄色い目が戸惑うように揺れ動く。
赤と黒で占められた世界。斬新なデザインの服はそれぞれの心酔する色を主張した。
「私に合う服はあるのでしょうか」
「己の道を突き進めばいい」
竜次は隣で腕を組んだ。眼鏡のブリッジを中指で押し上げて、悪くない、と口にした。
萌々子は緊張した面持ちで横目をやる。
「あ、あの、品数が多くて、すぐには決めらないと思うのです。泉先生のオススメを聞いてもいいですか」
「構わないが、最後の決断は任せる」
「は、はい、がんばります」
初々しい萌々子の姿に竜次の目が優しくなった。
二人は揃って店内を回る。
「このシャツは熱いな」
竜次は手にした長袖シャツを広げて見せる。萌々子は困ったような笑みを浮かべた。
「生地が黒いのはいいのですが、血飛沫の中の髑髏が手にしているのは心臓、ですよね」
「そうだな。熱い鼓動を感じる」
「抉り取られているので、それは……」
萌々子は言い淀む。竜次は一方に目を奪われた。シャツを手早く畳んでジャケット売り場に走る。見つけた一着を高々と掲げた。
「このシリーズは俺も何着か持っている。夏冬兼用でお買い得だ」
あとから来た萌々子はジャケットに顔を近づける。
「革製の長袖は、夏には不向きに思えるのですが」
「こうすればいい」
竜次は肩口に隠れていた引き手を摘まんで動かした。ジーと独特な音を立てて袖が取れた。
「袖は着脱が可能だ。夏はベストで使えばいい」
「これは便利ですね」
萌々子は興味を示す。それに合わせてアクセサリー売り場にも足を運んだ。
種類は豊富で目移りする。萌々子は一つを手に取った。
「デザインは素敵でも、耳に穴を開けるのは少し抵抗があります」
「イヤーフックにすればいい。耳に引っ掻けるタイプの物だ」
竜次は耳の輪郭を象ったようなシルバー製品に手を向ける。
「これなら心配ないですね。花やトカゲでしょうか。デザインが可愛いですね」
「組み合わせも重要になる。買う前には試着も必要だ」
「はい、先生」
明るい声で返した。
一時間を超える頃、萌々子は姿見の前でポーズを決める。小悪魔的な笑みを浮かべて、悪くないわ、と口調まで鮮烈な色に染め上げられた。
二人は店を出た。
萌々子は竜次と同様に堂々と歩いた。自身のロック魂を他者に見せつける。手に提げた買い物袋には過去の自分がこぢんまりと収まっていた。
竜次は足を止めずに言った。
「愛猫、ロック魂を感じるか」
「もちろん、熱いロック魂全開です」
「そうか」
歩きながら拳を合わせる。同士らしく、ワイルドな笑みを交わした。
その後、見つけた喫茶店に二人は乗り込んでいった。
空が赤く燃え尽きるまで、二人の熱い魂が冷めることはなかった。
寝子島高校の正門前、愛猫 萌々子の姿があった。白い長袖のブラウスはそこはかとなく気品を漂わせていた。合わせた薄桃色のロングスカートは今日の陽気に相応しい桜の花弁を思わせる。天候の急変に備えて腕には薄手のカーディガンも持参した。
明るい天気に反して萌々子の表情は暗かった。何度かの溜息のあと、掌に人の文字を描いて呑み込む真似をした。
「待たせたようで済まない」
横手の声に振り向くと泉 竜次は口の端に笑みを浮かべた。
萌々子は驚きの表情で固まる。自分の目を疑うかのように食い入るように見詰めた。
額には燃えるような色のバンダナ。黒いジャケットは朝陽でギラつき、片方の襟はヒョウ柄だった。胸元に見えるシャツは白で黒い髑髏が大口を開けて叫んでいる。青いスリムパンツは若々しい。ショートブーツはバンダナを意識した色で統一感を醸し出す。
「泉先生、おはようございます。今日はよろしくお願いします。その、私には少しハードルが高いようにも思いますが……」
「ロックを難しく考える必要はない。己の信じる道を迷いなく突き進むことだからな」
「はい、そうでした」
萌々子は照れ臭そうに返した。竜次は大らかな態度で受け止める。
「行き先は決めてあるのか」
「はい、事前に調べてきました」
萌々子は先頭に立った。相手に気付かれないように深呼吸をして案内に努めた。
キャットロードには多くの店が集まっている。飲食店に止まらない。スポーツ用品店、インテリア関係、雑貨と多岐に渡る。当然のことながら服飾関係も充実していた。
「ここになります」
無事に辿り着いた。萌々子の表情が緩む。軽やかな足取りで店に入っていった。
「これは……」
絶句に近い。眼鏡の奥の黄色い目が戸惑うように揺れ動く。
赤と黒で占められた世界。斬新なデザインの服はそれぞれの心酔する色を主張した。
「私に合う服はあるのでしょうか」
「己の道を突き進めばいい」
竜次は隣で腕を組んだ。眼鏡のブリッジを中指で押し上げて、悪くない、と口にした。
萌々子は緊張した面持ちで横目をやる。
「あ、あの、品数が多くて、すぐには決めらないと思うのです。泉先生のオススメを聞いてもいいですか」
「構わないが、最後の決断は任せる」
「は、はい、がんばります」
初々しい萌々子の姿に竜次の目が優しくなった。
二人は揃って店内を回る。
「このシャツは熱いな」
竜次は手にした長袖シャツを広げて見せる。萌々子は困ったような笑みを浮かべた。
「生地が黒いのはいいのですが、血飛沫の中の髑髏が手にしているのは心臓、ですよね」
「そうだな。熱い鼓動を感じる」
「抉り取られているので、それは……」
萌々子は言い淀む。竜次は一方に目を奪われた。シャツを手早く畳んでジャケット売り場に走る。見つけた一着を高々と掲げた。
「このシリーズは俺も何着か持っている。夏冬兼用でお買い得だ」
あとから来た萌々子はジャケットに顔を近づける。
「革製の長袖は、夏には不向きに思えるのですが」
「こうすればいい」
竜次は肩口に隠れていた引き手を摘まんで動かした。ジーと独特な音を立てて袖が取れた。
「袖は着脱が可能だ。夏はベストで使えばいい」
「これは便利ですね」
萌々子は興味を示す。それに合わせてアクセサリー売り場にも足を運んだ。
種類は豊富で目移りする。萌々子は一つを手に取った。
「デザインは素敵でも、耳に穴を開けるのは少し抵抗があります」
「イヤーフックにすればいい。耳に引っ掻けるタイプの物だ」
竜次は耳の輪郭を象ったようなシルバー製品に手を向ける。
「これなら心配ないですね。花やトカゲでしょうか。デザインが可愛いですね」
「組み合わせも重要になる。買う前には試着も必要だ」
「はい、先生」
明るい声で返した。
一時間を超える頃、萌々子は姿見の前でポーズを決める。小悪魔的な笑みを浮かべて、悪くないわ、と口調まで鮮烈な色に染め上げられた。
二人は店を出た。
萌々子は竜次と同様に堂々と歩いた。自身のロック魂を他者に見せつける。手に提げた買い物袋には過去の自分がこぢんまりと収まっていた。
竜次は足を止めずに言った。
「愛猫、ロック魂を感じるか」
「もちろん、熱いロック魂全開です」
「そうか」
歩きながら拳を合わせる。同士らしく、ワイルドな笑みを交わした。
その後、見つけた喫茶店に二人は乗り込んでいった。
空が赤く燃え尽きるまで、二人の熱い魂が冷めることはなかった。
あとがき
担当マスター：
黒羽カラス
ファンレターはマスターページから！
愛猫 萌々子さんの魂の叫びから始まった物語は無事に完結しました。
最初の不安は消し飛び、最後は熱いロック魂全開となりました。
購入された品々はちょっぴりぼかしています。想像の余地を残しているので、
お好きなようにアレンジしてくださいね（イラストにしてもいいかも）。
一人に向けたあとがきは初めてのことなので、私も少し緊張しています。
そこで私の中にあるロック魂を全開にして終わりたいと思います。
「参加してくれてありがとな！ また、別のシナリオで会おうぜ！」
そこそこにテンションの高い私なのでした。いぇーい♪
最初の不安は消し飛び、最後は熱いロック魂全開となりました。
購入された品々はちょっぴりぼかしています。想像の余地を残しているので、
お好きなようにアレンジしてくださいね（イラストにしてもいいかも）。
一人に向けたあとがきは初めてのことなので、私も少し緊張しています。
そこで私の中にあるロック魂を全開にして終わりたいと思います。
「参加してくれてありがとな！ また、別のシナリオで会おうぜ！」
そこそこにテンションの高い私なのでした。いぇーい♪
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2020年02月26日
- 参加申し込みの期限
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- 2020年03月04日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2020年03月04日 11時00分
