闘え！　天下一六魂祭｜リアクション

闘え！　天下一六魂祭

◆巨大にゃんこ大戦争！

　石畳の上で恵御納夏朝はきょろきょろとしていた。屈強な戦神と副官は彼女を見下ろし、品定めするように睨んでいる。

「ろっこんで、バトル……フツウを壊さず、大怪我もないなら頑張ってみようかな」

　彼女の相手はエロ・イーアールオー。髪は鴉の濡れ羽色、肌は雪のように白く、漆黒のキャミソールドレスを身に纏っている。

「とりあえずろっこんで大きくなるのです」

　そう決めたエロはぐんぐんぐんぐん大きくなっていく。戦神よりも大きくなっていく。副官はそれを見ながらデカすぎんだろ……。と呟いていた。

「ねこシール、猫さんにならないかな？」

　一方その頃夏朝は自分にねこシールを貼り、ろっこんを発動して身を軽くする。そうして巨大化したエロの足を避け、ろっこんの更なる力でねこシールを射出し――――ここで戦神の力による改変ッ！！！！　射出したはずのシールが小さくて愛らしい子猫に！！

「毛並みほわほわの子猫さん……可愛い……！」

　子猫はエロの足で爪とぎするが、ちょうど痒い所だったようだ。エロはびくともしない。子猫は満足したのか、ごろごろと喉を鳴らしてどこかへ行ってしまった。

「……お願い、猫さん！」

　夏朝は諦めずにシールを射出ッ！！！！　すると今度は普通の猫ッ！！！　縞々の……茶トラ！！　カワイイ！

「ほ、程々にね？」
「なんかむずむずしますー」

　茶トラはエロの足を噛むが、巨大化しているせいかマッサージを受けているのとそう変わりないらしい。エロは首を傾げながら茶トラを払った。巨体からの一撃を受けた茶トラはびっくりしてどこかに逃げて行った。夏朝はあわあわと見ていたが、はっとしてもう一度シールを射出ッ！！　出てきたのはクロアシネコ！！　クロアシネコだーッ！！！

「クロアシネコさん……クロアシネコさんなの！？」
「クロアシネコだと！？」
「知っているのか副官！？」

　クロアシネコッ！！　アフリカに生息する小型の野生猫ッ！！　世界で最も小さな猫と言われているッ！！　しかし侮ってはいけないッ！！　クロアシネコは非常に獰猛であり、自分よりはるかに大きい相手にも果敢に挑むといわれているッ！！

「もしかしたら火力、もとい猫力に期待でき……小っちゃくて可愛いなぁ……」
「ぷちっとしますー」

　夏朝がクロアシネコに和んでいると、突如エロがジャンプッ！！！　彼女はムササビの如く身体を広げ、ボディ・プレスッ！！！　決まったッ！！！　夏朝、戦闘不能ッ！！！　エロの華麗なる勝利！！！

「うーん、ろっこん変化が……猫さん可愛い……」

　帰ったら自分を鍛え直さなきゃ……と考えながら、夏朝は気を失った。

「気持ちいいのですー」

　副官に運ばれる夏朝を横目に、エロはのんびりと伸びをする。しかしッ！！！！　参加者残り九十人ッ！！！　闘争は続くッ！！！

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