ののこがむにゃむにゃ、夢の中｜リアクション

ののこがむにゃむにゃ、夢の中

☆吉住志桜里の場合

　貸し切りの道場で、吉住志桜里は詠寛美と向かい合っていた。
　すでに手合わせをしたことのある相手、合図はいらない。
　前回と違い音楽はないが、ノリノリの気分で志桜里はふと思った。
　生物の大きさを最小一寸まで変化させるろっこん『ウチデノコブシ』を自分に使うことはできないだろうか？
　
　寛美との間合いを取りながら、発動を念じ自分に拳で3秒間触る。
（これでろっこんが発動するはず……）
「何やってんだ？」
　寛美の踵落としが志桜里を襲う！
　だが――志桜里の身体が縮むことはなかった。
　むしろ幸いというべきだろう。
　飛び退いたが、小さくなっていれば寛美の技の巻き起こす暴風を食らい、吹き飛ばされていたはずだ。
（あえて己を弱める事はないわね）
　少し残念に思いつつ、他所事に気を取られている余裕はなかった。
　投げ、関節技、足払いと休みなく技をかけてくる寛美の迫力。
　それはろっこんを使わなくても大きく感じられるものだった。
　寝技に捕らわれた志桜里は、つい寛美にろっこんを使った。
「うわっ？！」
　小さくなった寛美の服が脱げる。
「さぁさぁ追い回すわよ！」
　怪獣になった気分で気持ちよく追いかけようとして――

「あれ？」
　――志桜里は、自分の部屋で目を覚ました。

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