ののこがむにゃむにゃ、夢の中｜リアクション

ののこがむにゃむにゃ、夢の中

☆小山内海の場合

　小山内海は、桜花寮の自室でいつも通りにろっこんを使おうとしていた。
　ろっこん『アクセラレイトライン』は、筆記具で描いた線の軌道に沿って物体を加速させるという能力だ。
　病気で声を失っている海は、遠くの人に自分の存在を気づいてもらうことが難しい。
　そんな時にこのろっこんは結構役に立つ。
　普通に遠くにゴミを捨てたい時なども便利なのだが、手元で描いて動かすとゴミ箱に入らないこともままある。
（……あれ？）
　手元に書いたつもりの線が、離れた所に描かれている。
（あれ？　私、線を移動させたっけ？）
　おかしいと思い、離れたところに向けてペンを動かしてみた。
（描ける！）
　試してみると、遠くに描いた線に沿ってゴミを加速させることができた。
（どうやら見えてるところなら離れた所でも好きな場所にかけるみたい）
　今まで手元で書いて動かしていたのが必要なくなったということのようだ。

（ゴミを捨てる時に外すこともなさそう）
　結果に満足して、海は再びデッサンの作業に戻ったのだった。

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