ののこがむにゃむにゃ、夢の中｜リアクション

ののこがむにゃむにゃ、夢の中

☆嘉渡洲稀跡の場合

　星ヶ丘寮の自宅・２階の私室で、嘉渡洲稀跡はコレクションの石類の整理をしていた。
　宝石・鉱石等のみならず路傍の石にも興味示す石好きの彼女は、勿論集めた石類の手入れも欠かさない。
　疲れていても、好きな石のこととなると後回しにできない。
（愛しい猫達が寝ている今の内にある程度……）
　と思って石に触れていた稀跡は、何かに気づいた。　
（あら……何か変わったかしら？）
　石を観察するが、別に形が変わったりはしていない。
　何となく、手入れ中の石を手に取った稀跡は、その石の事を強くイメージしてみた。
　すると、もう片方の手に石が出現したのである。
「……石が……増えた？」
　これは自分が作りだしたものだ、という勘があった。
（形状も元の石と同じように生成できているわね……）
　じっと観察した稀跡はつぶやいた。
「……いえ、この場合はもう『複製』というべきかしら」
　別の石を手に取る。
「同じ事、もう１回できるかしら……」
（もしかしたら別な石が増えると、前の石が消えてしまうかもしれない）
　石を変えて試したり、複製先の石が消えるかどうか眺めたりして色々試してみる。
　だがそのうちに、稀跡は疲れて寝てしまっていた。

（これは……夢、かしら？）
　どこかで見た少女がいる。
（あの子は、幾度か会った事が……確か寝子高の、先輩だった気がするわ）
　先輩とはいえ明るく元気な少女に、控えめな稀跡も気後れすることはなかった。
　こちらに気づいたのか、にっこり笑う。
（名前……聞いた事はあったかしら？）
　稀跡は思い切って話しかけてみることにした。
「こんにちは……私は稀跡」
「私はののこ！　ねえ、遊ぼう」
　夢の中で稀跡は、ののこに手を取られ楽しく過ごしたのだった。
　
　

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