まもの化！　きもだめし委員会｜リアクション

まもの化！　きもだめし委員会

★北校舎１Ｆ美術室

　信彦と千鶴は懐中電灯を持ち最初のポイントの美術室へと入っていく。
　絵画を専攻している千鶴にとっては慣れているはずの美術室だが……
「背後から仕掛けるのがセオリーだよ。だからこの辺に！」
　おもむろに後ろを指さす信彦。
「ひゃあっ！」
　まだお化けが脅かしてきていないのに、千鶴はその言葉に驚き。隣の信彦に抱き付いてしまった。
「おっと、どうやら何もいないよちーちゃん、大丈夫」
　役徳を堪能する信彦。その手がたまたま千鶴の胸に当たってしまった。
　千鶴のろっこん『神様ゲーム』が発動する。
　声をかけられて落ち着いた千鶴は、恐る恐るあたりを懐中電灯で照らしてみた。
「なんだ、いつもの見慣れた美術室だ……」
　ホッとした千鶴は、信彦に抱き付いていたことに気付いて慌てて離れる。
「な、なんでお化けじゃないきみが驚かすんだい」
　照れ隠しに八つ当たりしようとした時。

　ゆら……ゆら……

　美術室に並んでいる白い石膏像が、恐ろしげに揺れた気がした。
「うわあっ！？」
「うおっ！？」
　同じように驚いた二人。
　千鶴は助けを求めるべく懐中電灯を信彦に向けるが。
　そこに立っていたのは、毛むくじゃらで大きな舌を出した狼男。
「ぎゃあー！」
　新たなお化け役？
　いや、それは神魂の影響でまもの化した信彦の姿だった。
　ドンッ！　
　千鶴は思わず信彦を突き飛ばして逃げ出してしまった。

「えっ、ちーちゃん待っておくれよ……あれ、この匂いは」
　懐中電灯なしで残された信彦は、自分の身体の変化に気づいていない。
　しかし狼男の鋭敏な嗅覚でまっすぐに石膏像の中の碧南を見つけ出した。
「素晴らしいボディラインだね！　まさに彫刻のような美しさだ！　こんな美人に会えるなんて、今日はラッキーだね☆」
　そして目が慣れてきた信彦は、碧南のボディースーツ姿を見て、息をするような自然さで口説きだしたのだ。
「……？！」
　予想外の展開に碧南は固まる。
（あれ？　狼男なんてこの部屋にいたっけ？　それじゃさっき一緒に入ってきた男子はどこに行ったの？）
「だいたいなんで脅かさずにお化け役を口説いてるのよ？！」

　

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