暑中見舞い？　残暑見舞い？｜リアクション

暑中見舞い？　残暑見舞い？

☆魔法少女ミスティックアリア

　寝子島アニメーション学院の１年生、落合まゆらは、ツインテールを揺らしながら暑中見舞いのイラストを書いていた。
「さっきミスティの水着描いたから、次は浴衣……どんな柄がいいかな？」
　ミスティとは、アニメ『魔法少女ミスティックアリア』の主人公だ。
　今年の、いや毎年なのだが、ネコミケにまゆらはミスティのコスプレで参加するつもりで、すでに衣装も準備済みだ。
　今書いているのは、ネコミケ会場で配る予定の暑中見舞い。残暑見舞いも兼ねている。
　ミスティはもちろん、ほかのアニメや漫画のイラストや、他にオリジナルのキャラで夏をモチーフにしたものを何枚か描いている。
　綺麗な絵柄と色遣いが印象的なイラストを春先から少しずつ描き溜めていたので、結構な枚数になる。
　彼女のイラストの腕前は、一度ＰＢＷ運営会社にイラストレーターの審査を受けたら通ったくらいの腕前だ。
　もらった人はきっと喜ぶことだろう。
　ちなみにイラストレーター登録したあとはなんやかやでそのまま放置してるのだが。
「紺もいいけど……普段が白と赤とピンクを基調にした衣装だから、それを生かそうかな？」
　金魚とか朝顔の伝統的な柄か、いっそポップなリボンとか音符とかの柄にしてしまうか。
　２バージョン描いてみるのもいいかもしれない。

　高校2年の時にネコミケに参戦してからずっと手描きの暑中見舞いを描いているので、作業自体は慣れているが。
「けど、毎回構図やネタとかに困るんだよね」
（今年の初夏にやらかした「水着令騒動」をネタにすればそれで枚数稼げるけど……）
　水着令騒動とは、アニメに出てきた、一日中水着で過ごさねばならないという狂った法律『水着令』を、暑さのあまり現実とごっちゃにしてしまって、まゆらが実際に水着姿で外出してしまったという事件である。
（さすがにそれは遠慮したい）
　そのせいか、今年は水着イラストは少なめだったりする。
（水着キャラを描くのは好きなのだけど……）
　できればネタは恥ずかしくない方法で思いつきたいものである。

　そんなことを思いながら、着実に暑中見舞いを書き上げていくまゆらだった。

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