【星幽塔】隠し階層　アステリズムに休日を！｜リアクション

【星幽塔】隠し階層　アステリズムに休日を！

●じっくり、丁寧に……？

「～～～～～～！！」
　響くは言葉にならないうめき声。ふさふさの髭を一本の三つ編みにした老翁、バーガンディ・アッシュが上げたものだ。
　施術するのは、何故か艶っぽい水着姿のティオレ・ユリウェイス。彼女はバーガンディの腰の筋肉をぐりぐりと指で遠慮なく探り、解していく。
「確かにこっているわね。丁寧にもみほぐすわよ」
「確かに綺麗ねお姉さんにマッサージをと頼んだのはわしぢゃよ？　しかしのぉ、ちぃと刺激が……」
　かなり効くのか、バーガンディがちょっと弱りつつ頼もうとするが、ティオレは遠慮なくぐりぐり。
「あ“ぁぁぁぁ～～！」
「確かに効きそー……」
　その様子を、何故かアロハシャツ姿となったジェリコ・神威が少々強張った笑顔で見つめていた。

　――その、少し前
「え？　水着……？」
「そうぢゃ。スタイルのよいおぬしに是非これを纏ってマッサージしてもらいたいんぢゃよ」
　バーガンディから水着を渡され、ティオレは小さくため息を吐く。エリオナイトから話に聞いていたが、まさにエロじじぃムーブである。
「ティオレパイセン……大丈夫そ？」
　いつもウェイウェイしているジェリコが珍しくハラハラしながらティオレの様子を伺っている。……が、ティオレは一度強めに息を吐くと、にっこり笑った。
「OK。心行くまで思いっきりマッサージして『天国へ逝かして』あげるわ」
　そう言うと、ティオレは一先ず水着へ着替える為に工房の中へ。ジェリコはバーガンディに視線を合わせ「マジっすか？　やべーっすよ？」と問いかける。
「腰のマッサージをしてもらいたいだけぢゃて。どうせなら魅力的な姿でやってもらいたいんぢゃよ」
　とバーガンディがわくわくしながら待っていると……、魅惑的な水着姿のティオレが現れた。
「ティオレ、待っておったのぢゃ！」
「こっちよ。ここの台にうつ伏せになって」
　嬉しそうに（ジェリコに支えられつつ）施術台に向かうバーガンディ。ころん、とうつ伏せになると、ティオレの眼がちょっと光った……ようにジェリコには見えた。
　――そして冒頭に戻る。

　ティオレの施術は、ちょっと荒い気がする。
　そして上がるバーガンディの悲鳴。ジェリコの顔がちょっと青ざめる。
「だ、大丈夫っすか……？」
「大丈夫、大丈夫。これは普通のじゃないから相当に痛いけど、でもそれがだんだん快感になって、やめられなくなるのよ」
　ティオレは語る。冒険者はハードな職業で体を酷使する。とにかく肩こりや筋肉痛など日常茶飯事だ。故にハードなマッサージがあるらしい。そして、これを行えば生き返ったように体が軽くなる、とのこと。
　バーガンディの様子から疑わし気な眼差しを向けるジェリコ。だが、ティオレは微笑む。
「見ていて。だんだん全身が温まって蕩けるような筋肉の解れを感じて……、全身に甘く広がっていく感じで癒されるから」
　それは本当のようで、いつの間にかうめき声が「あ～……」と安堵の声になる。
「お加減はどうかしら？」
「気持ちええのぉ……。たまらんわい」
　そんなバーガンディの様子に唖然とするジェリコに、ティオレはウインク１つ。彼女の言った事は本当のようだ。
　暫くすると、心地よかったのだろう。バーガンディは幸せそうな顔で眠り始めた。
　ティオレは施術を終えると軽く体を伸ばし、一息つく。一部始終を見ていたジェリコは「お～」と拍手しながら感心していた。
「マジパネェっす、ティオレパイセン！」
　拍手するジェリコであったが、ティオレは「望むならやるけど？」とにっこり。
「……じ、自分は遠慮するッス」
　腰とか大丈夫だから、とぎこちない笑顔で首を横に振るジェリコであった。

（終）

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あとがき

担当マスター：菊華伴
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おまたせしました。菊華です。
今回はアステリズムの望む『おもてなし』の形を提示し、冒険者さんにお願いしてみよう！というシナリオでした。
いかがでしょうか？

アクション、それぞれ楽しませていただきました。
そして出来上がったお茶会と……マッサージ？
結果はご覧の通り、です。

また縁がありましたら宜しくお願いします。

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