全力疾走！　寝子島横断三人四脚駅伝！（第三区間）｜リアクション

全力疾走！　寝子島横断三人四脚駅伝！（第三区間）

●ラストスパート

　チェックポイントを通過した上位３チームは最終区間の開始地点を目指してラストスパートをかける。現在の順位は１位が【鹿】チーム。２位が【猪】チームで、１位との差はごく僅か。その少し後ろから追いかける【蝶】チームが３位。ここで【鹿】チームは樹がペースを上げることを提案。それに同意した２人は少しずつ樹の速度に合わせていく。急にペースアップするとバランスが崩れやすくなるのであくまで慎重に速度をあげる。
　それを見て【猪】、【蝶】両チームも速度アップをはかる。

（最終区間のランナーに確実にバトンを渡さないと）
（ここまで来たら、あとは向かうだけだよー。ゴールまで一直線だよー）

　【猪】チームの遠海。【蝶】チームのバナーテイル。それぞれの思いを胸に走り続ける。しかしここで思わぬ事態が発生する。遠海の足を結んでいた紐がほどけてしまったのだ。だがバランスを保って走っていたおかげで転倒することはなかった。焦ることなく、すぐにかがんで紐を縛りなおす。しかしその間に【蝶】チームに追いつかれてしまった。紐の結びをきちんと確認するとふたたび走り出す。
　これによって２位と３位が並び、１位がややリードしたままレースは続く。そしてこの順位は変わることなく、最終区間の入り口に最初に到着したのは【鹿】チームだった。続いて【猪】、その直後に【蝶】がゴール。そこから遅れて後続グループがやってきた。

「皆さんお疲れ様でした！　さあ勝負もいよいよ大詰め！　あとは最終区間を残すのみ！」

　リポーターの声で第三区間は幕を下ろした。　

●区間賞発表

　第三区間を走り抜けた一同が、息を整えたり水分を摂ったりと体をいたわっている。
　するとそこにアナウンスが流れた。

「皆さんお疲れ様でした。それでは、区間賞の発表です」

　視線がマイクを持つスタッフに集中する。
　スタッフが息を吸い込んだ。

「区間賞は……【猪】チームの楡宮遠海さんです！」

　沸き起こる拍手。そして一同の視線はスタッフから遠海へと一斉に移った。
　遠海は戸惑いつつも、姿勢を正した。

「楡宮さんはふぁんた爺ズの妨害に一切動じないという凄まじい集中力を発揮しました」
「第三区間のテーマを体現した走りを見せた楡宮さんに区間賞を授与します」

　スタッフが何かが入った袋を持って遠海の元へ向かう。それを手渡され中身を確認するとCDとアロマが入っていた。

「こちらのアロマとCDは集中力を高める効果があるそうで、ぜひ活用してください！」

　再び拍手が一帯を包む。遠海は袋を抱えると嬉しそうに微笑んだ。

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