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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
忘れた・落とした・どこいった
●大事な落とし物
伊藤 美緒は伊藤 佳奈との待ち合わせ場所へ向かっていた。旧市街から橋を渡り、シーサイドタウンへ。そのまま目的地へ向かおうとしたときに、何の気なしにスカートのポケットに手を入れると、普段入れている居候先の家の鍵が無いことに気付いた。
（そう言えば駅の近くでやけに急いでいる人とぶつかって転んだっけ？ あの時かな？）
ひとまず美緒はスマホを取り出して佳奈に電話をする。数回のコール音ののち、佳奈が電話にでる。
「もしもし」
「もしもし」
「ごめん佳奈、ちょっと遅れるわ」
佳奈の返事を待たずに美緒は電話を切ると、先ほどぶつかった辺りを目指して駆け出した。
（鍵も大事だけどあれにつけてるキーホルダーはもっと大事だもん！）
一方、佳奈はスマホを片手に持ったまま少し考える。突然掛かってきた電話だったが、美緒が慌てている様子だったのは間違いない。どうにも気になるのでろっこん『イマアイニユキマス』で美緒がいる場所周辺までのルートを探る。現れた光の線はどうやら駅のほうへ向かっているようだ。なぜそこにいるのか分からないが、ひとまず美緒を見つけるために佳奈は駅へ向かって歩き出した。
駅の近く。美緒は目を皿のようにして慎重に落とし物を探す。ぶつかってからそれほど時間は経っていないはずだが、駅周辺ということもあって人の往来が多く捜索は難航している。
「美緒ちゃん？」
美緒は下を向いていた顔をあげ声のするほうを向いた。そこには佳奈の姿があった。なぜここに居るのかと疑問に思ったのもつかの間、佳奈がさらに言葉を続ける。
「落とし物ならあたしも一緒に探すよ」
「あ、あっち行ってて」
「困ってるならほっとけないよ」
「大丈夫だから」
（あれを見られたら恥ずかしい……）
美緒はどうにかやり過ごそうとするが、佳奈に押し切られて鍵を落としたことを説明した。それを聞いた佳奈は早速捜索に加わる。美緒は断るのを諦めて自分も捜索を再開した。
美緒はさっき見たところから少しずつ範囲を広げ、佳奈はそこから少し離れたところを探し始める。人の往来は変わらないので、下ばかり見ているとぶつかりそうになる。それに気をつけながら捜索を続けていると、ふと美緒の視界に男性の靴が現れた。
「ねぇねぇお嬢ちゃん、俺らと遊ぼうよ」
顔をあげると、そこにはチャラい恰好をした3人組。どうやらナンパのつもりらしい。
「結構です」
「そう言わずにさぁ」
3人組の1人が美緒の腕を掴む。とっさに美緒は振りほどくが、彼らに諦める様子は見られない。
「いいから行こうぜ」
「佳奈！｣
「何してるの！？」
強引に連れて行かれそうになった美緒は佳奈の名を叫ぶ。それを聞いてすぐに駆けつけた佳奈。状況は説明されずとも明白だった。
「その子を離して」
「何だ、やんのか」
男たちは美緒から手を離すと佳奈を囲むように近づく。するとすぐさま拳が佳奈めがけて振り下ろされる。しかしそれを軽くいなし、手首を掴むと男の勢いを利用してひねりあげる。
「いだだだだだ！！」
男は手首を押さえながらうずくまってしまった。他の2人も負けじと殴りかかってくる。しかし古流剣術の心得がある佳奈からすれば、素人同然の面々など敵ではなかった。誰の目から見ても明らかな決着がつき、男たちは捨て台詞を吐いてどこかへ行ってしまった。
ものの数分の出来事だったが、どうやら思ったより騒ぎになっていたようで警官が駆けつけていた。事情を説明するため、美緒と佳奈は交番へ向かう。
あの光景を目撃した人たちの証言もあって、佳奈が咎められることはなかった。話のなかで駅付近に居た理由を聞かれたので探し物があったと伝えると、警官は心当たりがあるような顔をして引き出しのなかを探る。
「もしかしてこれかい？」
その手には美緒が探していたキーホルダー付きの鍵があった。
どうやら誰かが気付いて交番に届けてくれたらしい。
「……ってそれ」
佳奈はそれを見てすぐに気付いた。鍵についているキーホルダー。それは小さい頃に佳奈が美緒にあげたものだということに。
「まだ持っててくれたんだ」
「た、偶々物持ちが良かっただけよ！」
美緒はふん、と向こうを向く。
（お姉ちゃんとの大事な想い出。見つかってよかった）
（相変わらず素直じゃないなぁ）
佳奈は美緒の態度に心の中で苦笑した。
でもキーホルダーが見つかってよかったよ、と口にはせずに胸のうちで呟いた。
伊藤 美緒は伊藤 佳奈との待ち合わせ場所へ向かっていた。旧市街から橋を渡り、シーサイドタウンへ。そのまま目的地へ向かおうとしたときに、何の気なしにスカートのポケットに手を入れると、普段入れている居候先の家の鍵が無いことに気付いた。
（そう言えば駅の近くでやけに急いでいる人とぶつかって転んだっけ？ あの時かな？）
ひとまず美緒はスマホを取り出して佳奈に電話をする。数回のコール音ののち、佳奈が電話にでる。
「もしもし」
「もしもし」
「ごめん佳奈、ちょっと遅れるわ」
佳奈の返事を待たずに美緒は電話を切ると、先ほどぶつかった辺りを目指して駆け出した。
（鍵も大事だけどあれにつけてるキーホルダーはもっと大事だもん！）
一方、佳奈はスマホを片手に持ったまま少し考える。突然掛かってきた電話だったが、美緒が慌てている様子だったのは間違いない。どうにも気になるのでろっこん『イマアイニユキマス』で美緒がいる場所周辺までのルートを探る。現れた光の線はどうやら駅のほうへ向かっているようだ。なぜそこにいるのか分からないが、ひとまず美緒を見つけるために佳奈は駅へ向かって歩き出した。
駅の近く。美緒は目を皿のようにして慎重に落とし物を探す。ぶつかってからそれほど時間は経っていないはずだが、駅周辺ということもあって人の往来が多く捜索は難航している。
「美緒ちゃん？」
美緒は下を向いていた顔をあげ声のするほうを向いた。そこには佳奈の姿があった。なぜここに居るのかと疑問に思ったのもつかの間、佳奈がさらに言葉を続ける。
「落とし物ならあたしも一緒に探すよ」
「あ、あっち行ってて」
「困ってるならほっとけないよ」
「大丈夫だから」
（あれを見られたら恥ずかしい……）
美緒はどうにかやり過ごそうとするが、佳奈に押し切られて鍵を落としたことを説明した。それを聞いた佳奈は早速捜索に加わる。美緒は断るのを諦めて自分も捜索を再開した。
美緒はさっき見たところから少しずつ範囲を広げ、佳奈はそこから少し離れたところを探し始める。人の往来は変わらないので、下ばかり見ているとぶつかりそうになる。それに気をつけながら捜索を続けていると、ふと美緒の視界に男性の靴が現れた。
「ねぇねぇお嬢ちゃん、俺らと遊ぼうよ」
顔をあげると、そこにはチャラい恰好をした3人組。どうやらナンパのつもりらしい。
「結構です」
「そう言わずにさぁ」
3人組の1人が美緒の腕を掴む。とっさに美緒は振りほどくが、彼らに諦める様子は見られない。
「いいから行こうぜ」
「佳奈！｣
「何してるの！？」
強引に連れて行かれそうになった美緒は佳奈の名を叫ぶ。それを聞いてすぐに駆けつけた佳奈。状況は説明されずとも明白だった。
「その子を離して」
「何だ、やんのか」
男たちは美緒から手を離すと佳奈を囲むように近づく。するとすぐさま拳が佳奈めがけて振り下ろされる。しかしそれを軽くいなし、手首を掴むと男の勢いを利用してひねりあげる。
「いだだだだだ！！」
男は手首を押さえながらうずくまってしまった。他の2人も負けじと殴りかかってくる。しかし古流剣術の心得がある佳奈からすれば、素人同然の面々など敵ではなかった。誰の目から見ても明らかな決着がつき、男たちは捨て台詞を吐いてどこかへ行ってしまった。
ものの数分の出来事だったが、どうやら思ったより騒ぎになっていたようで警官が駆けつけていた。事情を説明するため、美緒と佳奈は交番へ向かう。
あの光景を目撃した人たちの証言もあって、佳奈が咎められることはなかった。話のなかで駅付近に居た理由を聞かれたので探し物があったと伝えると、警官は心当たりがあるような顔をして引き出しのなかを探る。
「もしかしてこれかい？」
その手には美緒が探していたキーホルダー付きの鍵があった。
どうやら誰かが気付いて交番に届けてくれたらしい。
「……ってそれ」
佳奈はそれを見てすぐに気付いた。鍵についているキーホルダー。それは小さい頃に佳奈が美緒にあげたものだということに。
「まだ持っててくれたんだ」
「た、偶々物持ちが良かっただけよ！」
美緒はふん、と向こうを向く。
（お姉ちゃんとの大事な想い出。見つかってよかった）
（相変わらず素直じゃないなぁ）
佳奈は美緒の態度に心の中で苦笑した。
でもキーホルダーが見つかってよかったよ、と口にはせずに胸のうちで呟いた。
あとがき
担当マスター：
星織遥
ファンレターはマスターページから！
この度は、シナリオへのご参加ありがとうございました！
落としたものに思い入れがあって、だからこそ懸命に探すということを皆さんのアクションから感じました。
そういった部分を思い描きながら書かせていただきました。
改めて、この度はありがとうございました！
落としたものに思い入れがあって、だからこそ懸命に探すということを皆さんのアクションから感じました。
そういった部分を思い描きながら書かせていただきました。
改めて、この度はありがとうございました！
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2018年01月07日
- 参加申し込みの期限
-
- 2018年01月14日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2018年01月14日 11時00分
