はじけろ！　いきなり食レポでしょう？！｜リアクション

はじけろ！　いきなり食レポでしょう？！

『対決の時間：ボタモチD　VS　遠海レポーター』

「ほほぅ、私と大食い対決……いいですよ」
　ボタモチは楡宮遠海の挑戦状ににっこりと受けて立つことに。見た目ちょっとぽっちゃりしたおじさんであるボタモチを見ながら、遠海はちょっと前の事を思い出していた。

　規格外の方向音痴である彼女は、迷子になっている最中にボタモチと名乗る男と出会う。
「君、ちょっと食レポしてみないかい？」
　唐突な誘いではあったが、彼女はおもしろそう、と頷いた。
　一見どこぞの名家のお嬢様然とした清楚な美少女ではあるが、その外見とは裏腹に、規格外の食欲魔人だったりする。本人曰くキーボードの演奏でお腹がすくらしいのだが。
　まあ、食レポの話を聞いた際口の端からよだれがこぼれ落ちそうになるのをなんとか堪えたのはここだけの話である。

　サイコロを振った結果長野へ飛び、しかもボタモチとの大食い対決を引き当てた彼女。
（え、そんなのでいいの？）
　ととびついてボタモチとの対決を選んだのだが対戦相手の彼がいない。
「これは不戦勝……？　せっかく信州そばがあるのに……」
ちょっと残念そうに言う遠海であったが、不意に影が下りる。その正体はボタモチであった。彼はにっこり笑い、握手を求める。
「食べ比べ、負けませんよ？」
「私だって！」
　二人は固く握手をすると、それぞれの席に着く。今回のお題は長野県という事で信州そば（シンプルにざるそばのメガ盛り）をどちらが、どれだけ多く食べられたかで勝敗は決まる。
「では、いきます！　よーい、スタート！！」
　スタッフの一人がカウントをし、火ぶたは切って落とされた。
「むむっ、これはこれは……」
　ボタモチはその味わいを楽しみつつハイスピードは食べていくが、遠海だって負けてはいない。
「こちらのつゆにわさびとネギを少々。こちらのお蕎麦をこちらにつけて……」
　彼女は説明しつつも冷静に山盛りになったざるそばから箸で手繰り寄せ、つゆにつけて一気に啜る！　風味は勿論歯ごたえも良く、のど越しも良い。音を立てて啜る２人は、麺しか見ていない。
「これって、フードファイト番組でしたっけ？」
　思わずスタッフの一人が呟くが、それだけ番組の空気が変わりそうなほど、真剣だったのだ。周りから見た２人は。だが、当の遠海はというと？

　――こののど越し、たまらんわ！

（手が止まらない♪　すっごく美味しい……！　何枚でも食べられそう！！）
　と至福の一時。隣のボタモチもまた幸せそうな顔で蕎麦を啜っている。
　どうにも止まらない！　という言葉がぴったりくる２人。そんな二人は沢山のそばを食べたのだが……満足したところで集計すると、同じ量だけ食べていたことが判明する。消費したつゆの量もである。
「よって、引き分けです！！」
「高級ホテルで一泊はどうなるんですか？」
「そちらは……ナイスファイトを見せたのでお泊り下さいっ！」
「やったあっ！」
　スタッフたちの言葉に、遠海は思わず飛び跳ねる。一方のボタモチは「そうか、引き分けか……」とちょっと残念そうであった。

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