恋愛シミュレーション・らぶねこ！｜リアクション

恋愛シミュレーション・らぶねこ！

■回田はつなルート
　（※コンシューマー移植版初回特典ＣＤ収録、ボイスドラマ『はつなルートはつなサイド』より）

　はじめてのお友達ができました。
　生まれて初めてじゃあ、ないけれど。学園で、別のクラスで、男子のお友達は初めてでした。
「やっほー。これから体育館なの？　うひ～、そかそか！　がんばってねー」
　ハグで挨拶をして、ハイタッチをしてお別れ。
　仲良くしてくれる人がいるって、とても幸せ。
　幸せだってことを知りたくて。
　幸せだってことを教えてたくて。
　ずっとずっとお友達のままでいて欲しいと思って、たくさんたくさん、思い切りました。
「好きな人ー？　うひ～、なんか難しい！　うーんと、そういうのわかんないやー」
　思い切りすぎたのかも、しれません。
　止まない雨がないように。
　明けない夜がないように。
　お友達のままでいてくれる男の子なんて、いないのかもしれません。
「ほんとの私が、なんだか、とっても恐いものだったらどうするー？」
　ずっと雨が降っていればいいのに。
　いつまでも夜のままだったら、幸せだったのに。
　君は、私を信じて笑うのですね。
　君は、私を朝の光だと、思ったのですね。

「ごめんねー、この後約束があるんだー」
　雨が止まないように祈ること。
「うひ～、忘れ物しちゃった。先に帰っててねー！」
　朝が来ないように目を閉じること。
　私に出来たのは、それだけでした。
　けれど雨はやみ、夜は明け、私は屋上にいました。
　君と私、ふたりだけ。
　光さす、二人の世界でした。
「どうしてって……なんのことかなー？」
　朝が来ないふりをする私を、君は許しませんでしたね。
「本心、かぁ」
　もう雨が降らないことを、君は私に告げました。
「それを知って……しってさ、君は……」
　だから私は。
　だから私は。
　だからこそ私は。

「どうするの？」

　青空は雲一つ無く、どこまでも広がっていました。
　光さす、ひとりきりの世界でした。
「いなくなっちゃったなー、折角の友達」
　雨はやんだのに。
　足下には、水がぽたぽたと落ちていました。
「ふふ、ひどいやつ。ひどいやつだなー、わたし……」
　私からふる雨を手で受けて、光を拒みました。
「無理だよー……恋なんて」

（※特典のポストカードにはなつはの『夜明けの笑顔』のイラストがついていました）