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剣道の稽古を終えての銭湯帰り。
朝比奈 岳人
はのんびりと歩きながら、早春のまだ少し冷たい風をその火照った体に心地良く受けていた。
商店街には雛祭りののぼりや垂れ幕が緩やかにはためいている。その美しい光景を見ながら、岳人は幼い日の雛祭りを懐かしく思い出していた。
上に3人も姉がいるから、それは賑やかな雛祭りだった。姉が雛壇に上って壊したり。甘酒で酔ったり。自分に振り袖を被せてきたり…………あれ?
思い出がどんどん強烈な色を帯びてきて、岳人の目が心なしか遠くなる。そして現在の姉達が脳内で暴れ出しそうになり、岳人がふるふると頭を振り気を取り直した時、その目に1人の知人の姿が目に入った。
あの姉達とは似ても似つかないその可憐な姿を好ましく思いながら、岳人は声をかけた。
「緋紅朱じゃないか。奇遇だな」
「あ、先輩……」
声をかけられた
緋紅朱 赫乃
は初めて気が付いたかのように、ハッと顔を上げた。しかしすぐにその可愛らしい顔に柔和な笑みを浮かべ、ペコリと岳人にお辞儀をした。
「先輩は、帰り、ですか?」
岳人の竹刀袋を見て稽古帰りだと察したらしい。岳人はああと頷いた。
「そうだ。稽古の後に銭湯でもと思ってな。今はその帰りだ。緋紅朱は?」
「私は、さっきまで、お店で、桃の節句の、生け込み、して、きました」
「店の?」
「はい。たまに、頼まれるんです」
「へえ。頼まれるとは、凄いな」
「いえ、こっちも、お勉強に、なります、から」
岳人の素朴な称賛に、赫乃は少し恐縮して小さく首を振った。岳人はそんな彼女を見ながら、その生けた花とやらを想像しようとしたが……すぐにあきらめた。体を動かす事は得意だが、花の事など良く分からないのだ。ただ、少女のような可憐さを持ち合わせていながら、その紅玉の瞳に静かな情熱を湛えている目の前の少女を見れば、きっとその作品は華やかでありながら厳かさもある、素晴らしい物であろう事は分かった。
その作品を見たかったな、と岳人は思う。岳人は少し詳しく話が聞きたいとひょいと彼女の方を振り向き、その足が止まった。いると思っていたはずの赫乃がいないのだ。しまった、知らぬ間に小柄な彼女を置いてきてしまったかと岳人は慌てて赫乃を捜す。すると後ろの方に彼女の姿を見つけた。
岳人は足早に彼女の許に戻り、「すまなかった」と声をかけようとした。しかし、赫乃の顔を見て、岳人はこう言った。
「……どうしたんだ?」
―――それは、赫乃の表情。
赫乃は、立ち止まり硝子越しに店の中を覗いていた。店内には、美しい内裏雛が飾られていた。それは男の目から見ても見事で、岳人は最初、赫乃は人形に見惚れているのだろうと思ったのだ。しかし、違った。
彼女は、その仲良く並んだ雛人形を、寂しさとも、哀しさともつかない表情で見つめていたのである。
赫乃は、岳人の声にすぐには反応せず、じっと内裏雛を見ている。岳人も彼女の辛そうな様子にそれ以上声がかけられない。やがて、赫乃の唇が、絞り出すように呟いた。
「すみません、……少し、前のことを、思い出して、ました」
そして、赫乃はその瞳を雛人形から逸らさずに言った。
「……先輩は、好きな人、いましたか?」
「え……」
突然の問いに岳人は答えに窮する。しかし赫乃は岳人を待たずに口を開いた。
「私は、いました。とっても、好きな人……。事情があって、別れることに、なって」
赫乃はそっと手を伸ばした。仲睦まじい内裏雛に、少しでも近付こうとでもいうように。しかし、透明な硝子がその邪魔をする。彼女の瞳には確かにその姿が映っているのに。硝子は無情に赫乃の姿すら跳ね返す。
赫乃は自分の姿を映した硝子に、額をつけた。
「もう、何ヶ月も、前なのに、ふと、思い出して、しまって……。変、ですよね。急にそんなこと、聞かされて、迷惑、でした、よね……?」
そう言うと赫乃は静かに目を閉じた。
岳人は、心が痛んだ。
赫乃が、その小さな体で、寂しさと恋しさに耐えているのかと思うと、心が痛んだ。
そんな顔で目を閉じないで欲しいと思った。そんな、世界を終わらせてしまいたいというような顔で。
しかし、それを言葉にはしなかった。岳人は、静かに言った。
「迷惑ではない」
その真摯で誠実な声は、赫乃の心を動かす。岳人の真っ直ぐな力強さに驚いたように、彼女は煌めくその赤い瞳を開けた。
「……俺でよければ話せ」
岳人には、恋を失うというのがどういうものかは分からない。けれど。
忘れられないなら、話せば良い。
胸に仕舞うより出した方が良い。
―――いつかそれも大切な経験だったと言える日が来るように。
2人は、人が行き交う中、そこだけ時間が切り取られたかのように見つめ合う。やがて、赫乃が言った。
「……朝比奈先輩、優しい、です」
「! い、いや、そんな事は」
まさか自分が褒められるとは思っていなかった岳人は、突然の赫乃の言葉に少し色を失う。その慌てぶりを見て赫乃はくすりと微笑み、岳人もそんな彼女を見て頭を掻きながら笑った。
「―――神社で流し雛の催しをやってるらしい。行かないか?」
岳人が赫乃に向かって優しく誘う。赫乃はこくんと頷いた。
2人は神社に行き、流し雛に願い事を書くと、一緒に猫又川に流しに来た。
自分の笹舟を流した岳人は、赫乃の荷物を持ち、彼女が笹舟を流すのを見守っていた。
両手でそっと、包み込むように笹舟を川面に浮かべる赫乃。その願い事はなんだろうか。彼女の想いは、川を流れ、海の果てまで行き、空へと昇華するのだろうか。
すると、赫乃がふと顔を上げた。岳人と目が合うと、彼女はふわっと微笑む。その落ち着いた様子に岳人は安堵し、同時に自分でも驚くくらい己の表情を和ませている事に気が付いた。
―――彼女は、まるで冬の寒さに耐えて咲く花のようだ。
岳人の心に、何故か赫乃の姿が心に残る。この気持ちが何かは岳人は良く分からない。しかし、穏やかで悪くない感覚だと思った。
赫乃は、岳人と目が合うと、自然と笑みが零れていた。
どうしてだろう。戻らない時に心を痛めていたはずなのに。隣に立ってくれている岳人を見ると、とても安心したのだ。
静かに、傍らにいてくれる岳人。まるで、彼が見えない冷たい風から自分を守ってくれているようだ。
それは、温かな感覚。赫乃は、自分の心の中で岳人の存在が大きくなっている事に気が付いていた。
(また、恋をして、いいのかな……?)
それは自分にもまだ分からない。けれど、この心の温かさは大事にしようと、両手できゅっとその胸を押さえた。
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担当ゲームマスター
KAN
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
NPC交流
定員
1000人
参加キャラクター数
62人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年01月21日
参加申し込みの期限
2017年01月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年01月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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