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【バレンタイン】学生達のValentine's Day!
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●可愛らしい君
朝からずっと、休み時間の度に1年1組の廊下の前にはモブの姿があった。
いや本当はモブではない。
浮舟 久雨
という立派な名前の持ち主だが、1年4組の彼女は休み時間の度、1組の廊下の前で通行人Aの役を演じ続けていた。
―――ひょこり、ちらり。
久雨は3限後の休み時間も、相変わらずモブをしながら1組の教室を盗み見ていた。
(渡すだけだと言うのに、何故勇気が必要なのだ)
チョコの入った箱を大事に持ちながら、久雨はううと唇を噛む。それでもしっかりと、視線は想い人
畑生 言嗣
の姿を捉えていた。
別に久雨の片想いではない。言嗣も同じように久雨のことを想っている。(いや、彼に訊けば「私の方が愛してるに決まってるだろう?」と言いそうだが)
では、何故ここまでチョコを渡すのに苦労しているのか。それはもう彼女の性格故としか言いようがないだろう。
今日は1日何回もこの教室の前まで久雨は来ていた。そしてうろうろと遠巻きにチャンスを窺うのだが……。
(―――しまった、鐘が!)
休み時間いっぱいまで悩んでは、授業開始の鐘に戻される。そんな事を繰り返して今に至っているのである。
(情けない。これだから未だに、昼の弁当を作ってみても届けられんまま1日が終わるのだ……)
久雨が過去を思い返し、チョコを手にうな垂れる(……この状態初めてじゃないんですね、久雨さん)。そしてまたもや無情にも授業開始の鐘が鳴り響き、久雨は端から見ても可哀相なくらい、ガックリと肩を落として自分の教室に戻って行った。
(で、先ほどから教室の外で久雨君は何をやっていたのだろうね)
4限目の授業を受けながら、言嗣はちらりと久雨がさっきまでうろうろしていた廊下を眺めた。
言嗣が知る限り、本日全ての休み時間に久雨の姿があったはずだ。彼女の気配があるところ、自分が感じない訳がない。言嗣の久雨センサーは非常に優秀だった。
以前もよく昼休みには彼女の気配があったが、休み時間ごとというのは今までなかった。
ふむ、と言嗣はその細い顎に手を当て考える。ああ、とその端正な眉が上がった。
(おそらくは私と同じように常に会いたい気持ちに駆られ、つい来てしまったのだろう)
合点がいったというように授業中にも拘わらず言嗣は大きく頷く。そしてポンと手を叩いた。
(いかんね、そういう時は彼女が来るのを待っているのではなく、こちらから行くべきだろう。私としたことが、失念していた)
ウンウンと腕組みをして頷く言嗣を、教師がたまらず当てた。
「畑生、この問いが分かったからそんなに頷いているんだろうな?」
言嗣は初めてその存在に気が付いたかのように、きょとんと教師を見る。言嗣ははらりと落ちる前髪を長い指で押さえながらカタンと席を立った。
「私は今愛する者について考察しているのです。そんな些細なことで思考を乱さないで頂きたいですな」
そして何事もなかったかのように着席する。そして目を白黒させている教師は置いてけぼりで、言嗣はくすりと笑った。
それにしてもあの廊下での彼女の挙動不審さ。まるで可愛らしい小動物のようではないか。ああ、今日は何と心躍る日よ!
放課後。久雨は図書室前に場所を移し、やはりうろうろしていた。
そう、後のない彼女は、放課後図書室に向かった言嗣の後をつけてきたのである。現在彼は机で何やら資料や地図らしきものを広げ、熱心に見入っていた。
久雨はその姿を確認すると、小さなメモに何やら書き付け、自分の持っているチョコの箱に載せた。メモには久雨が書いたメッセージ。
『言嗣へ。2月14日、バレンタイン』
(……よし、と。これなら上手く行くのでは)
字数制限があったのかというくらいシンプルだが、非常に分かりやすい。久雨はメモを見直し、うんと頷いた。
このメモをチョコに付け、言嗣が座っている席に近付き、机の上に箱を置いて速やかに去ろう。これなら箱を置くだけだから何とか出来るはずだ。
チョコの箱をしっかりと持ち、久雨は決意を持って目の前の扉を見据えた。
図書室は、静かだった。ここは読書をしたり調べ物をしたりする場所なので、騒がしくしない限りは誰も周囲に注意を払わない。
久雨はなんでもない顔で図書室に入った。が、しかしその内心は緊張し通しだ。すぐに言嗣の姿を見つけ、スタスタと歩み寄る。両手両足が一緒に出ないように必死に気を付けた。本当は走り出したい気持ちをぐっと抑え、久雨は言嗣の机まで辿り着く。
背中を見せている言嗣。熱心に資料を読んでいる。久雨はその背後からそっとチョコの箱を机に置くと、早回しではないかというくらい足早に、一直線に図書室の扉に向かう。そして振り返ることなく図書室を出た。
そのまま久雨はもの凄い早さで北校舎の廊下を走り抜け、屋上に続く階段付近まで来る。その誰もいない踊り場でようやく立ち止まると、突然その場にへたり込んだ。
「や、た……渡せたっ……」
緊張の糸とともに筋肉の繊維も切れてしまったのだろうか。久雨は全く力の入らない体を壁に預ける。ドキドキしすぎて呼吸もままならない。でも本当に渡せたのだ。久雨は嬉しくて胸に両手を当てながらぎゅっと目をつぶり俯いた。ああ、渡せて本当に……。
「うむ、本当に良かったね」
頭上から声が振ってきた。久雨が目を閉じたままうんうんと頷く。
「うむ。本当に良かっ……!?!」
え。
突然現状を把握した久雨が目を見開いて振り向き、叫んだ。
「言嗣!? 貴様、いつから其処に!」
彼女の目の前には、図書室にいるはずの言嗣が涼やかな笑顔を浮かべている。そして言嗣はふむ、と顎に手を当てた。
「いつからと聞かれれば……先ほどからずっと?」
言嗣が小首を傾げて微笑む。その綺麗な黒髪がさらりと落ちた。
「何だか呼吸も乱れていたようだったが、走り疲れたのかい?」
言嗣は久雨の隣に一緒にしゃがみ込む。ぼぼっと久雨が赤くなった。
「違う、そうではない! と言うか貴様何で此処にいる!」
「いや、君が置いていったコレ……は何かと思ったものでね」
言嗣はにこやかに久雨の目の前に、彼女のチョコの箱を取り出した。
「何だとは何だ。見れば分かるだろうに」
そっぽを向いて久雨が言う。その姿に言嗣は目を細めて言った。
「ふふ、置き手紙も良いが、今は君の口から聞きたいのだよ」
その言葉に久雨の顔が可哀相なくらい真っ赤になる。怒った顔と困った顔をしばらく交互に見せていたが、仕方がないと膝にぐっと手を置き、口を開いた。
「バ、バレンタインのチョコレートだ」
「ふむ」
相槌を打つ言嗣に促され、久雨は続ける。
「想いを伝える日だとの事で、日頃の感謝と」
「うん」
「その……」
「その?」
「……す、好き、の……」
久雨の声がどんどんと小さくなる。反対に言嗣は嬉しくてしょうがないという顔だ。
照れ臭そうにする可愛らしい彼女。ずっと眺めていたいものだが……そろそろ意地悪するのもやめにしようかね。
言嗣はそっと彼女の美しい青い髪に触れた。
「……私への思いがこもったチョコレートなんだね」
「! そう、そうなんだ!」
弾かれたように久雨が顔を上げる。そして肩を震わせおかしそうに自分を見つめる言嗣に気が付いた。
「言嗣。貴様まさか……知っていたのか?」
「あぁ、そうとも。久雨君の一挙手一投足、何を思い何を行うかは常に想定せねばならないからね……」
笑いを含んだ声で言う言嗣を前に、恥ずかしさといたたまれなさで久雨はもう耳まで赤い。その熱い頬に言嗣はそっと手を差し伸べた。
「それにしても本日は特に愛らしかった。もっと顔をよく見せてくれたまえ」
「み、見るな! おい、よせ……!」
久雨は身を捩って言嗣の視線から外れようとする。しかし言嗣の手はしっかりと久雨の頬を押さえている。
「ハハハ、やはり良い表情をしてくれるね」
「う、あ……だ、だから言っただろう……こんなの、変で……」
そう、変なのだ。久雨はぎゅっと目をつぶる。言嗣の前ではどうしても自分を保てない。知らない自分が引きずり出されてしまう。恥ずかしいくらいにしおらしい自分。言嗣への想いで溢れてしまう自分。
「でも、抑えられなく、て」
もう恥ずかしさにどうにかなってしまいそうだ。久雨は力を込めて言嗣から逃れようとする。その彼女の両腕を、言嗣が掴んだ。
「……変ではないさ、フツウだよ」
彼女の耳元にぞくりとする声で囁く。その熱さにますます久雨の熱も上がった。
「か、帰るぞ! 私は帰る!」
久雨は暴れるが、言嗣は放さない。
「いや待ちたまえ、これからもっと君を愛でていたいのだ」
そう楽しそうに言うと、言嗣はぐっと久雨を引き寄せ、その腕で彼女をしっかりと抱きしめた。
「うわぁ!?」
驚く久雨を言嗣はますます強く抱きしめる。そして彼女に頬を寄せた。
「そう、しっかり抱きしめて体温を感じなければ」
意外に力強い言嗣の腕の強さを感じ、久雨はもう恥ずかしさMAXのパニックだ。
「は、放せ! 放してくれーッ!」
「ふふ……大丈夫だ、安心したまえ」
暴れる久雨を言嗣はものともせず。
抱擁は彼女が恥ずかしさで煮え死ぬまで行われたのだった。
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シルバーシナリオ(150)
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3人まで
シナリオジャンル
学校生活
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定員
1000人
参加キャラクター数
46人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年09月15日
参加申し込みの期限
2016年09月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年09月22日 11時00分
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