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2月、春に向けて
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【バレンタイン】学生達のValentine's Day!
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●特別
バレンタイン前夜。もう夜も遅い時間だというのに、
美味荘
にある一室の電気は、まだ煌々と点いていた。
(うー、バタバタしてたら気付かれちゃうかな。でも台所だから大丈夫よね)
その部屋の住人
仲村渠 鳴
はお隣さんを気にしつつもせっせと忙しそうに動いている。彼女の前には沢山のチョコにまみれたボールや鍋が積まれていた。
今年鳴は―――本人曰く柄にもなく―――チョコ作りに挑戦していた。
柄にもなく、というかそもそも鳴は料理を作る事自体挑戦しにくい。それは彼女が先天性の味覚異常であるせいだ。
それでもチョコを作ろうと思ったのはどうしてか。それは……本人にもよく分からないのかもしれない。ただ、彼にはどうしても自分の手で作った物を渡したくなったのだ。
彼女は味見が出来ないので、美味しいものを作れたかどうか分からない。出来たばかりのチョコを前に、鳴はこう思うしかないのだ。
―――これは、彼が美味しいと思ってくれるかしら?
ラッピングまで終えてもどうしても不安になり、また新しいチョコを作る。そんな事を繰り返しながら夜は深々と更けていった。
そして朝。
バタンと勢いよく自宅から飛び出す鳴の姿があった。手には大きな袋。そこには昨夜作ったチョコや、他に用意したチョコなどが全部詰められていた。
袋を持ち、急いで鍵を閉めようとしていた彼女の手が、ふと止まる。鳴はお隣―――
乃木 成美
の部屋の扉をちょっと見つめていたが、ふるふると首を振る。そしてしっかり鍵を閉めると、袋をよいしょと持ち直し、学校に向かって走り出した。
放課後の校舎はまだまだ騒がしい。
もう部活も終わる時間だというのにちらほらと生徒達が残り、チョコを渡したりしている姿を横目で見ながら、成美は考えていた。
―――鳴も、チョコを渡したりしているのかな。
仲の良いお隣さんの鳴。今日のバレンタインをどう過ごしているのだろうか。
成美は自分の鞄に目をやる。その中には鳴へのプレゼントが入っていた。
海外ではバレンタインは男性から女性にプレゼントを贈るものだというのを、成美は以前友人から聞いた覚えがあった。その時はああそうなんだくらいにしか思わなかったけど。
今年、バレンタインが近付いてきた時、鳴の笑顔が浮かんだ。今までバレンタインにプレゼントなんて思いもしなかったけど、彼女になら渡したいと思ったのだ。たとえ、彼女が誰にチョコを渡そうとも。彼女の笑顔が見られれば。
成美は音楽室に足を向けていた。
軽音部
のメンバーは戻ってきたのに、彼女の姿はない事に気が付いたのだ。成美は音楽室に向かう。彼女と、
最初に出会った場所
に。
音楽室。軽音部の部活も終わったその室内に、鳴の姿があった。
朝自宅から飛び出した時に持っていた大きな袋は、今は空っぽだった。
用意していた市販品のチョコは、友達や部活仲間にほぼ配り終えていた。
残ったのは、成功したかどうか分からない手作りのチョコの箱が10個ほど。
彼女の目の前にタワーのように積まれていた。
(はー、どうしようこれ……)
彼女は目の前のタワーを解体しようとして、いい加減その手を止めた。もう先程から彼女は何回とこのタワーの構築と解体を繰り返していたのだ。
無造作に積まれたチョコのタワー。それを見ながらもう何度目かも分からない溜息をついた時、背後から落ち着いた声がした。
「……鳴」
「きゃああ!」
思わず立ち上がりながら鳴が叫ぶ。タワーがグラリと揺れた。
「……び、びっくりした……」
後ろを振り返りながら鳴が言う。でもけして「誰?」とは言わなかった。そんなの、分かっていたから。今の今まで彼の事を考えていたから。
鳴の顔を見て、成美はちょっと申し訳ないように笑った。
「驚かせるつもりはなかったんだけど……その箱は?」
成美は鳴の前に出現している謎の箱タワーに目をやる。ぐっと鳴は言葉に詰まったが、観念したように口を開いた。
「……その、チョコ作ってみたんだけど、上手くできた自信なくて……これだけあれば、ひとつくらいはまともに作れたんじゃないかなって思って」
「ああ、そうなんだ」
ちょっと他人事のように言う成美に、鳴は思いきって打ち明けた。
「もし成美が食べてもいいなら、この中のどれでもいいからもらってくれる?」
「え? 僕? もらっていいの? 試食係とかじゃなくて?」
うんうんと鳴は頷く。そんなの、当たり前だ。だって、これは他でもない成美に渡そうと思って作ったものなんだから。
成美はタワーを静かに見つめている。そして鳴を振り返り言った。
「……全部ってダメかな?」
「え、全部? だ、だって上手に出来てる保証はないわよ?!」
「鳴ちゃんが一生懸命作ったチョコが不味いなんてないよ」
成美がにっこり微笑む。ううと困った鳴は、小さな声で言った。
「じゃ、じゃあ食べてみてよ……」
「これはチョコに柚子の香りづけをしてみたの。成美、和食好きでしょ?」
成美が開けた箱のチョコに、鳴は説明をする。成美は「じゃあ頂くね」と言って、鳴の目の前でチョコを口に運んだ。
もう鳴は心臓が止まりそうだった。美味しいかどうか、何せ確認ができていないのだ。不味かったらもうこの残りのチョコを全部ひっつかんで逃げだそうとギュッと目をつぶって決心した時、成美の声がした。
「うん、美味しいよ、鳴!」
「ほんと?!」
鳴がパッと目を開ける。目の前の成美が優しく頷いた。
「ほんとほんと。凄いね、鳴」
成美の言葉にほうっと鳴は胸を撫で下ろす。すると成美が言った。
「今年はみんなに手作りを渡したの?」
成美の言葉に鳴は眉を上げた。
「え? 他の人に手作りは渡してないわよ。ほら、成美にはいつもお世話になってるから、特別で」
「……特別?」
はっと鳴は口を押さえた。
「いや、そのっ、変な意味じゃないから! そ、そんな事より……」
打ち消すように慌てて言葉を継いだ鳴が、ぺこりと頭を下げた。
「食べてくれてありがとう……成美、いつも優しいよね」
「え、何言ってるの。本当に美味しかったよ」
成美の言葉に鳴は少し眉を寄せ、苦笑しながら首を振った。
「たまには怒ってもいいのよ? こんな無茶させるなって。でないと……申し訳ないわ」
本音だった。いつも、いつも優しい成美。こんな味覚障害の自分が作るチョコなんて、食べるのに相当勇気がいるはずなのに。彼に優しくされればされるほど、嬉しさと罪悪感が募る。―――あたしは、彼に何を返してるというのだろう。
鳴は俯き、2人の間に沈黙が落ちる。ふっと成美が静かに笑い、口を開いた。
「そうそう鳴……知ってる? 外国だとバレンタインは女の子が男の子にチョコ渡すだけじゃないんだって」
突然の成美の話に鳴は顔を上げる。「あ、ようやくこっち見てくれた」と小さく笑うと、成美は鞄の中から何かを取りだしながら言った。
「僕も実践するのは初めてなんだけどね……はい、どうぞ」
成美は綺麗にラッピングされた箱を鳴に手渡した。
中身が見えるようにラッピングされたそれには、ブリザードフラワーになった赤い薔薇が収められていた。その上にはメッセージカード。そこには『南の国からやってきた僕の歌姫へ』と記されていた。
「え……これ……あたしに?」
頬を染めながら鳴が言う。その姿を薔薇のようだなと思いながら成美が頷いた。
「いつもありがとう、鳴。僕は君の隣にいて、本当に楽しいよ」
「ううん……ううん……こっちこそ、ありがとう成美」
プレゼントをしっかり胸に抱いて、鳴が言う。その嬉しそうな顔を見ながら成美は思っていた。
鳴。さっき、僕へのチョコを特別って言ってくれたよね。嬉しかった。
僕にとっても君は……特別な子なんだと思う。君の特別とはちょっと違うかもしれないけどね。
口で言うのはまだ恥ずかしいけど。いつか伝えられたらいいな。
成美は1人微笑むと、鳴に言った。
「……それじゃ、帰ろっか」
成美は鳴からのチョコを、鳴は成美からの花をそれぞれしまい、音楽室を出た。
空いている片手が、お互いの手に触れる。そしてそれがとても自然であるように、成美は静かに鳴の手を握った。
鳴の肩は少しだけ動いたが、何も言わない。
お互いがほんの少しだけ温度を上げ、2人は美味荘に帰って行った。
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あとがき
担当マスター:
KAN
ファンレターはマスターページから!
【バレンタイン】学校編を担当させて頂きましたKANです。
シナリオにご参加の皆様、ありがとうございました!
た の し か っ た ! ! !
学生さん達の甘酸っぱさや青春が、こう……!
バレンタインって『あなたが大事だよ』っていう意思表示の日だと思うのです。
それぞれのPCさんのそんな大事な1日を描写させて頂けた事、大変嬉しく思います。
少しでも皆様の大切な人との交流のお手伝いが出来ていれば幸いです。
至らぬ所ばかりですが、これからも是非是非お付き合い下さい。
またシナリオでお会いできること、楽しみにしています!
(運営部より)
星ヶ丘とシーサイドタウンのリアクションは、鋭意制作中です。
気長にお待ちいただければ幸いです。
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担当ゲームマスター
KAN
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
学校生活
恋愛
NPC交流
定員
1000人
参加キャラクター数
46人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年09月15日
参加申し込みの期限
2016年09月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年09月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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