花は散り、葉桜の季節を迎えた校庭の桜の木。
今年は少し、いや、かなり毛虫の数が多いようだ。
枝によっては既に冬枯れのように何も無い状態になりつつある。
「やれやれ、あまり気は進まないが、仕方ない」
雲ひとつない、穏やかな日差しの射す昼下がり。
桜の下に立つのは校長、
雨宮 草太郎。
数が少なければ気にも留めなかっただろう校長も遂に見かねて殺虫剤を手に毛虫の駆除に乗り出した。
プシューッと勢いよく噴射されたそれの威力は絶大だった。
木の枝に止まっていた毛虫が、ぽとぽとと地面に落ち始める。
しかし、何分にも数が多い。この分だと殺虫剤があと何本要るだろうか…。
校長は箒で毛虫の死骸を片付けながら、桜に取り付いているまだまだ沢山の毛虫を見やって溜息を吐く。
少し日が翳ったのだろうか?
校長の影に、もっと大きな影が重なる。
ふと、背後に気配を感じて校長が振り向く。
「ぎゃーーーーー!」
折しもホームルームの時間中。
誰も居ない校庭に絶叫が響く。
気を失って倒れていた校長を介抱したのは部活を始めた運動部の生徒だった。
その日を境に、校長以外にも校庭周辺で毛むくじゃらな怪物を見たという学生達が現われる。
共通しているのはいずれも桜の木の側だったという。
「本当に恐ろしい怪物だったよ。身の丈は3mくらいだったかな。目が煌々と輝いていてね、覆い被さるように襲いかかって来たんだよ」
証言する校長は手や首筋が痒いらしく、しきりにぽりぽりと掻いている。
「その後は気絶してしまったので良く覚えていないんだが、生徒の中にも目撃した人がいるようだから、皆も注意した方が良いかもしれないね」
実のところ校長の記憶はかなり曖昧だったのだが、何度も話を聞かれている内にどんどん脚色してしまっていたのだ。
しかし、そんな事実を生徒達は知る由もなかった。そして、毛むくじゃらの怪物の噂は校内で静かに広まっていった。
いずれにせよ既に数人の犠牲者が出ている。このまま怪物を放置しておけば被害は寝子島中に及ぶかも知れない。
この噂はまだ校内に留まっているが、ほどなく寝子島中に広まってしまうだろう。
そうなれば、好奇心に駆られて危険な目に遭う人達が出てくるかも知れない。
それに、未確認生物の第一発見者の名声を誰かに攫われてしまうかも知れない。
ともかく、怪物の正体を暴き、もしも有害なものであれば退治しなくてはならないだろう。
そんな空気が寝子島高校を包み始めた。
怪物を一目見ようと好奇心のままに行動する者、怪物を捕獲して一攫千金を狙う者、怪物を退治して名を上げようとする者などが行動を開始した。
果たして彼ら、彼女らは未確認生物の正体を暴き、寝子島高校の危機(?)を救えるのか!?
そう、『彼ら』、『彼女ら』とは、他でもない君たちだ!
未確認生物の正体はガイド中に出てきているアレだと思われますが、ろっこんを得て何か特殊な能力を持ったようですのでお気を付け下さい。
正体は所詮アレですのですっきりすっかりスカッと退治しちゃって下さい。
仮に、保護・愛護系の行動をされた場合、ご期待に添いかねる結果になる可能性が高いと思いますが、冴えた解決策を提示された場合は、出来うる限りアクションを尊重し善処します。
しかしながら、深く考えずドタバタアクションバトルとして楽しんで頂くのが手っ取り早いと思います。
皆様のご参加お待ちしております。
【プチ情報】
・証言者には直接会って話を聞けますが基本的にガイドの内容と同様です。
・噂話には往々にして尾ひれが付いて肥大化します。話半分に聞いておきましょう。ですが、正直に信じ込んでも構いません。
・目撃情報によれば怪物は1体だけだと思われます。
・正体はアレですので、苦手であれ、気にしないのであれ、見た時の反応を書き添えて頂けると動かしやすくて助かります。
・割と地味な手段でも退治可能ですが、面白おかしく工夫していただいた方が盛り上がる事請け合いです。
・自分のろっこんの使い道を工夫して退治に活かしてみるといいかも知れません。
・桜に付いている毛虫は毒を持つタイプです。触れると暫く傷みがありその後、かゆみに変わります。対処としてはセロテープなどで毛を取ったのち市販の虫さされの薬を塗ります。
・正体を予測できた人は、虫さされに対する準備は怠らないようにしましょう。
・怪物のろっこんに関する考察などもお待ちしております。ヒントは「超個体」「群体」です。(頭のいい、生物に造詣の深いPC向け)