シナリオ「白黒レインボーな秋のはじまり」

白黒レインボーな秋のはじまり

　体育祭実行委員の剣崎エレナは、校内のとある物置をあさっていた。
「えっとたしかこのあたりに去年の残りをおいたはず……」
「残りって何っすか？」
　いっしょに来ていたのは、同じく実行委員の楢木春彦だ。
　エレナの後ろからチラチラのぞいている。

「剣崎せんぱーい。それってもしかして白黒の――」
「あったわ！」
　ドサッと渡されたのは、大量のハチマキだった。
　体育祭では、黒猫組は黒の、白猫組は白のハチマキをするのが伝統だ。
　ハチマキは生徒が各自で好きな長さや太さの、あるいは凝ったデザインのものを作ったり買ったりすることになっているが、用意できなかった生徒のために実行委員が提供することもある。
「あなた、たしか黒猫組だったわね。してみる？」
「あぁ……えっと……」
　何かデザインを入れようかどうかと迷っていた春彦が答えに迷っていると、エレナは黒のハチマキをささっと自分の額に締めた。
　輝く金色の縦ロールに黒のハチマキは強烈な組み合わせだったが、エレナが背筋を伸ばして堂々と立ち、シャンプーの宣伝のように髪をふわっとさせると、不思議と魅力的だった。
「どう？」
「お……お似合いっす！」

　エレナに見つめられて、思わず照れてしまった春彦が頬を少し赤らめた。
　それを見たエレナは自信過剰に微笑んだ。
「あなたのハチマキに、何か書いてあげてもいいわよ」
　とポケットから白いペンを取り出した。
　ハチマキに好きな人から応援メッセージを書いてもらうことも、恋多き寝子高生の間で受け継がれている、裏の伝統だ。
「は、ははは。これ、持っていきますね～☆」
　春彦は、エレナの魅力に圧されたのか、自信過剰っぷりに呆れたのか、大量のハチマキを抱きしめると急いで物置を出て他の委員のもとへと走っていった。
「おおーい、みんなハチマキあったよー！」

　エレナはその背中を見て、ひとり確信していた。
「あれは……完全に私に惚れたわね。委員同士でやめてほしいわね、まったく」

ゲームマスターより

担当ゲームマスター

風雅宿

マスターコメント

こんにちは、風雅宿です。
体育祭の準備シナリオをお届けしますよー！

体育祭では、黒猫組と白猫組を識別するための「白黒アイテム」、黒と白のハチマキをするのが伝統です。
ハチマキ以外でもカチューシャ、バンダナ、リボン、シュシュ、猫耳など各自の自由だそうです。

また、体育祭には、テーマを表現したコスチュームやＴシャツなどを用意して参加します。
今年のテーマ「虹」にあっていれば、ワンポイントでも全身レインボーでも、なんでもオーケーだそうです。

というわけで……

このシナリオでは、「白黒アイテム」と「テーマ衣装」に関するアクションであれば、なんでも自由！
その他にも実行委員が身に付ける腕章や、体育祭のための話し合い風景などもオーケーです。

もちろんこのシナリオに参加しなくても、イラストや他のシナリオで自由に身に付けられるので、ご安心を。
でも、せっかくだからシナリオで楽しもう～！　というノリのいいあなたのためのシナリオです。

このシナリオでできることは、以下です。
主な舞台と登場可能なＮＰＣも参考に。時間帯は放課後～夜まで。

◆ハチマキを作る（被服室や寮など／白沢絢子先生）

・可愛い猫のアップリケを付けたり、オシャレなラインを入れたり。
・長いほどカッコイイ！という謎の伝統が一部にあるようです。ロングハチマキをつくろう！
・太いほど男らしい！という謎の伝説も一部にあるようです。太いの作ろう！
・白猫組の人はついついやってしまうよね、幽霊の三角頭巾の形にしちゃおう！
・猫耳をつくろう。カチューシャに耳付ける？
・裁縫に失敗してとんでもないバケモノハチマキ完成
・裁縫中に怪我をしちゃって、保健室へ

◆ハチマキにメッセージ（校内どこでも／剣崎エレナが書く気満々）※ＧＡ推奨

・屋上、体育館裏、非常階段などでハチマキを渡したり渡されたり。書いてもらったり書いたり。
・野良猫の手に無理矢理ペンを持たせて『がんばってにゃん。たまこ』と書かせたり。涙……

◆体育祭実行委員とお手伝い生徒用（会議室やファミレスなど／剣崎エレナ、野々ののこ）

・ハチマキを整理したり発注したりしよう。
・物置から何か面白いものが出てきたり？
・今日から配付することになってるので、取りに来る生徒には渡してあげよう。
・腕章を用意しよう。
・正門やグランドに設置する飾り付けを話し合おう。どんなのにする？（実際に作り出すのは時期尚早です）
・体育道具のリストアップや確認、整理をしよう。
・ポスターやチラシをつくろう（地域の人も参加できる「公開行事」です）
・ポスターを貼ったりチラシを配ったり置いてもらったりしよう。
・その他なんでも話し合おう。
・下校時間がきても話し合いが止まらずファミレスへ行ったりして、ついついパフェ食べたり恋バナに話がすり替わちゃったり……？

◆テーマ衣装を作る（被服室、工芸室など／白沢絢子先生）

・レインボーな染め物に挑戦！
・レインボーなプリントＴシャツに挑戦！
・レインボーな手書きＴシャツに挑戦！
・レインボーなふんどしに挑戦！
・レインボーな魔法少女衣装に挑戦！
・レインボーなサンマさん着ぐるみに挑戦！
・レインボーな巨大ロボット（段ボール）に挑戦！

◆その他（寝子島内の無理のない範囲で）

・カツラなんて生温い！　レインボーなアフロに挑戦！（美容室）
・レインボーな衣装を買おう！（キャットロード）
・レインボーな豆腐をつくろう！（豆腐屋）
・去年Ｓ子に書いてもらったハチマキ、フラれたから神社でお焚き上げ（寝子島神社）

※２年生以上（またはダブってる１年生）は、去年のハチマキを持っていても、なくしててもオーケーです。
　去年までのクラス（黒猫か白猫か）は自由に決めて構いません。

※白沢先生は被服室ではなく、調理実験室で焼きプリンを作ったり食べたりしてます。
　被服室にはたまに見に来るだけで指導の予定はありません。つまり、裁縫の専門的な描写はできません。
　焼きプリンを食べたい人は、調理実験室にのぞきに行くともらえるかもしれません。

以上、フリーなシナリオということでその分説明を長めにとりましたが……。
要するに、体育祭に向けての日常風景を楽しもう！　ということです。
楽しもう！

サンプルアクション（1）

プレイヤーの目的・意図: ぶっちゃけハチマキとかどうでもいいけど、それを使って青春っぽいことしたい
キャラクターの目的・理由: 恥ずかしがり屋の親友Ａ子に頼まれて、うちのクラスのＢ男にハチマキを渡す
Ｂ男って全然イケてないのにね
キャラクターの行動・手段: ＧＡ【三角】

午後の授業がおわって、部活に行こうとするＢ男を呼び止める
「ちょっといい？」

いやがるＢ男をひきずって、誰もいない非常階段へ
「ほんと、あんたのどこがいいんだろね？」

黒いハチマキを渡す。（私とＢ男は白猫組）
Ｂ男が黒、黒……とつぶやいてるから、「大丈夫よ」と白いペンをポケットから出す。

「Ａ子に書いてあげてよ」と言って渡したら、Ｂ男が戸惑ったまま

「は、はあ～～？　ば、ば、ば、ばっかじゃないの！！！」
と顔まっかになる私。

「とにかく、書いてあげてよね！」と押しつけて、逃げるようにその場を離れる。

ぶつぶつ言いながら校内か寝子島のどこかを歩いて、他のＰＣさんにぶつかったりしたいです。

「なんであんなこと言うの？　なんで？
　ほんとやっぱりＢ男ってバカだわ。全然イケてないわ
　Ａ子めっちゃかわいいのにもったいない。私が付き合いたいわ
　つーか、どうすんの明日からどうすんのどうすんの
　だって、意識しちゃうじゃん！
　やばい……」

自分の白いハチマキを握りしめる。Ｂ男のメッセージが浮かび上がる妄想。

「バカバカバカ！」

サンプルアクション（2）