それはまだ残暑の続く九月のある日のこと。
すっかり夜も更け、乗客の姿もまばらな寝子島電鉄の車両の中で。
「……ん?」
座席で一冊の文庫本を読んでいた
如月 庚くんはふとなにか違和感を抱いて、顔を上げて窓の外を振り返り、
「…………っ」
思わず息を詰まらせました。
なんと、そこにはまさに今読んでいた小説と同じように、美しい星の海が広がっていたのです。
「やれやれ、また神魂の仕業か……」
庚くんは静かにため息を一つ吐き、
(まあ、せっかくの不思議体験だ。めいいっぱい楽しませて貰うとするか)
無限に広がる銀河にゆっくりと視線を向けるのでした。
ごきげんよう。水月 鏡花です。
さて、拙作三本目となる今回のシナリオは夢と希望に満ちたほのぼの系シナリオ(の予定)です。
それは偶然か、あるいは神魂の導きか、とにかくなんらかの理由で、あなたは気がつけば銀河鉄道に乗っていたという状況にあります。
せっかくの機会ですから、束の間の幻想旅行を思う存分に楽しんで頂ければと思います。
もちろんちゃんと最後は寝子島に帰って来れます。罠とか、クローネの陰謀とか、そういった心配はまったくありません。
ですので、どうか安心してご参加下さい。
アクションは基本的に自由です。
お友達や大切な人と一緒に窓から星を眺めてみるもよし、月で降りてかぐや姫に会いにいくもよし、うさぎさんと一緒に餅つきなんかをしてみるもよしです。あるいは火星で火星人とろっこんで戦ってみるのもいいかもしれません。
え? いくらなんでも荒唐無稽すぎやしないかって?
大丈夫、全部神魂の仕業だよ!!!
以下、アクション記載のための補足事項(PL情報)です。
・神魂の影響で色々と揺らいでいます。本来ならありえない光景が目に飛び込んでくるかもしれませんが、合言葉は「大丈夫、神魂の仕業だよ!」でお願いします。
・停車駅は「月」と「火星」です。月にはかぐや姫(♂)とうさぎさん、火星には火星人(タコっぽい)がいます。
・かぐや姫(♂)は地球からやってくる殿方を熱烈に歓迎してくださるそうです。
・うさぎさんはおいしいお餅をごちそうしてくれます。
・火星人は非情に好戦的らしいので接触する際は注意してください。車内にいれば絶対に安全です。
・神魂の影響(?)で、かぐや姫(♂)、うさぎさん、火星人、いずれも日本語は通じます。しかし、会話が成立するかどうかは別問題です。なにしろ相手は宇宙の住人です。
・アクションに特段の記載がない場合はほかのPCさんと同じ銀河鉄道に乗って頂くことになります。
(お一人様、あるいはグループでの全車両貸切乗車も可能です。その場合はアクションで【貸切】、GA【グループ名】などを明記してください。その場合、原則としてグループ以外のPCさんとの絡みはなくなります)
・内装・外装はいつもの寝子電と同じですが、車両は四両編成となっています。
・月と火星に停車してそれぞれ一時間ほど自由時間があります(かぐや姫の家も、うさぎさんのもちつき場も停車場所から徒歩五分圏内です。火星人は火星のそこいらにふよふよ浮いています)
・万が一、月や火星に置いていかれてもちゃんと翌朝には寝子島に帰れます。ただし、旅行中の記憶の喪失、筋肉痛などの若干の後遺症のようなものは残るかもしれません。いずれにせよ命に別状はありません。
・乗務員はいません。ときおり聞こえる車内アナウンスは神魂の意志のようなものとお考えください。
・基本、ほかのPCさんに迷惑をかけない限りはできるだけフリーダムに展開させていきたいと思っておりますので、是非楽しんで頂ければと思います。
・また、残念ながら不参加のPCさんやNPCに関する描写は採用できないことがほとんどです。そちらもあらかじめご了承頂ければと思います。
補足事項は以上です。
最後になりましたが、本ガイドにはPCの如月 庚くんにご登場頂きました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
それでは物語の始まりです。