旧市街で祖父母の営む駄菓子屋の店番をしていた
折口 ゆづきは、ふと店の外を徘徊するクマ――じゃなかった、寝子高教師の
吉田 熊吉がウロウロしているのに気付いて、声を掛けた。
「吉田先生、こんにちは。今日はチカちゃんは、一緒じゃないんですか?」
ゆづきが言う「チカ」とは、6歳になるクマの一人娘だ。
この駄菓子屋の、お馴染みさんでもある。
声を掛けられ、クマはあからさまにビクリと肩を震わせた。
そしてぎくしゃくと振り返ったものの、ごにょごにょ歯切れが悪い。
「あ、ああ……折口か。いや、その……奇遇だな」
「はい? 先生さっきからずっと、うちの前で行ったり来たりしていたから、てっきりチカちゃんをお探しなのかと思ってましたけど」
指摘にクマは、うぬぅと苦虫を噛み下したような顔になる。
「先生? ……本当に、どうしたんですか?」
答えを急かさず、待つことしばし。
「折口、お前裁縫は、得意か?」
クマはようやく、口を開いた。
「ええ、出来るほうだと思います」
ゆづきの笑顔に安心したのか、クマはぽつりぽつりと説明し始めた。
先日、チカのお迎えに行った時、すれ違った同じくらいの年頃の女の子が、お母さんの手作りのトートバッグを持っていた事。
チカがそれを、羨ましそうに目で追っていた事。
「チカには、寂しい思いばかりさせちまってる。俺じゃ母親の代わりにはなれねえが、せめてチカが欲しがるものくらいは、与えてやりたいと思って……俺も、その、何だ……作ってみたはいいんだが」
クマは背中に隠し持っていた、ほつれにほつれた、布の塊を見せた。
頑張ってくっつけたらしき、ドハデなリボンは、糸が伸びてぷらぷらぶら下がっているだけ。
本体部分の素材の選び方も、間違っている。
更に柄物に柄物を合わせるセンスが、うるさい感じで、最悪そのものだった。
ゆづきは大いに納得する。
そして、クマの指にたくさん巻かれた絆創膏が目に入って。
「良かったら、先生がトートバッグを作れるように、手助けしましょうか?」
そんな ゆづきの申し出に、クマは渡りに船と喜んだ。
「おお……頼まれてくれるか!? とにかく、かわいい感じになればいいんだ! 不出来な生徒かもしれんが、よろしく頼むぜ。先生!!」
クマはゆづきの手を取ると、力強く握手した。
「バッグだけじゃなくて、ヘアアクセサリーなんかも一緒に作ってみましょうか。せっかくだから、お茶でも飲みながら皆で楽しんで作りましょう」
【ミッション】クマがかわいいトートバッグを作れるよう指導しよう!
今回のクマは攻めのベア。
娘のチカちゃんのために、手作りトートバッグに挑戦するらしいよ? 皆で見物に行こう!
クマへのアドバイスはお一人様、一回まででお願いします
またクマは愛娘のため、自力で成し遂げる事を目標にしていますので、代わりにやってあげるのはNGです。
寝子島高校の生徒でない方も、ご自由にご参加ください。
クマが作っている間に、自分のバッグを作ったり、カチューシャやシュシュなど、ヘアアクセサリーを作るのも良いかもしれません。
他にも短時間で作れるものであれば、何でもOKです。
■場所
・手芸店
トートバッグなどを作るのに、必要な材料を購入します。
クマは何を買ったらいいのか、イマイチわかっていません。
優しくアドバイスしてあげてください(これもアドバイス1回に入ります)。
・被服室
作業のため、学校の被服室を借りています。
許可を得ているので、特別に飲食しながら作業をしても構いません。
■登場NPC
・吉田 熊吉
鬼の熊吉と恐れられる熱血教師ですが、今回は熱心な生徒です。
何事にも、真っ直ぐで一生懸命なのですが、慣れない作業で針を指に刺したりしています。
女の子が喜ぶものへの、理解はありません。
・その他
モブなど必要に応じて。
ちなみに白沢 絢子先生はお留守です。
つまりどんな事が出来る?
・クマのトートバッグ作りのアドバイス(一人一回)
・簡単な手作りアイテムの作成
・息抜きにお茶しつつおしゃべり(手作りの品を何に使う、どこへ持って行くなど話す)
ではでは、お気が向かれましたら。