「今日はイイ天気デスね。音を集めにいきまショウ」
夏休みのある日、寝子島高校教師である
ジャン・ポランスキーは唐突に思い立ち、
録音機材を手に外へ飛び出しました。
彼は何を隠そう、自然の音を集めるのが趣味という一風変わった人間だったのです。
「聞こえる……オー、聞こえますね、風の音、波の音……そして砂の音が」
寝子ヶ浜海浜公園。
ここに到着したジャンは、早くもうっとりした様子で音を集めています。
耳を澄ませば、海が聞こえるよう。
「ここの音を集めて、一曲つくれそうデス」
きっとジャンの頭にはもう、曲の設計図は出来ているのでしょう。それも、とびっきりの名曲の。
「しかし今日は日差しが眩しいデスね。サングラスをかけまショウ」
ただ、この暑さで集中力が削がれる恐れがあることもまた事実。
ジャンは額の汗を拭いながらそう呟くと、たまたま海浜公園に露店が出ていたのを見つけました。
運良く、並べられた商品の中にサングラスがあったのも。
「ナイスタイミング! ユーはとっても商売上手デスネ!」
迷うことなく、ジャンは黒いサングラスを購入しました。
早速装着した彼ですが……その時、事件は起こってしまいました!
「……アレ? 音が遠くなったデスカ……?」
ジャンが、耳に違和感を覚えます。
どういうわけか、今まで何不自由なく聞こえていた音が聞き取りにくくなっていました!
自然の音はおろか、常人が聞こえるはずであろう音まで、彼の耳には弱々しくしか届きません。
「ドウシテ? これはなんなんデスか!?」
パニックに陥ったジャンは、自分に起こった出来事を受け入れられずにいるのか、
混乱し、その場から走りだしました。
「ミーの耳は、もうミーの耳ではナイ……!?」
頭を抱えながら行き先も分からず走るジャン。
せっかく出来つつあった名曲も、このままでは闇の彼方に消えてしまうでしょう。
「もうミーは、曲をつくれない……!? そうなったらゴーストライターに……イヤ、それは私のプライドが許しマセン!」
天地神明に誓っても、音に関して誤魔化したくはないのでしょう。
が、さしあたり今は曲よりも命の危機が迫っています。
車の音なども聞こえないので、彼の行く先々でクラクションが鳴り放題ですし、
ヤンキーに絡まれても声が聞こえないのでシカトしたと勘違いされ、怒りを買ったりする状態です。
そしてタイミングの悪いことにそれを目撃してしまったのは、天然少女、
野々 ののこでした。
「あれー、ジャン先生あんなにダッシュしてどうしたんだろ。あ、もしかして鬼ごっこしてるのかな?」
その残念な頭で勘違いしてしまったののこは、ジャン先生を無邪気に追いかけ始めます。
「待ってーっ、私も鬼ごっこ混ぜてくーださいなっ!」
もちろんジャンは、それどころではありません。
耳に異変が起こったジャン、そして騒ぎを大きくしそうな予感しかしないののこ。
はたして彼らが寝子島に起こした騒動は、無事収まるのでしょうか?
マスターの萩栄一です。
今回の舞台は寝子ヶ浜海浜公園(J-11付近)からエノコロ岬(E-12付近)にかけてです。
ジャン先生は海浜公園から寝子ヶ浜海岸を抜け西に向かい、エノコロ岬に向かって走っているようです。
しかしガイドにもある通り、道中は危険がいっぱいです。
以下はこれから起こる出来事です。
(まだ起こっていない出来事なのでキャラクターはこれらを知りません。あくまでプレイヤー情報です)
※アクションでは、どこか一箇所を指定して行動してください。複数箇所を選ぶことは出来ません。
◇海浜公園を出てすぐ
パニック状態で信号もろくに見ていないジャン先生が、車にクラクションを鳴らされまくります。
また、自転車やバイクなどの音も聞こえないのでそれらとぶつかる可能性があります。
◇寝子ヶ浜海岸
夏でテンションが上がった地元のヤンキーがいます。大学生くらいの男3人組です。
ジャンに絡んだらシカトされたので、喧嘩をふっかけようとします。
◇エノコロ岬
ジャン先生が絶望の果てに身投げをするかもしれません。
先生に光を与えてあげてください。
また、ジャン先生との会話は今回基本的にほとんど通じません。
コミュニケーションを取る場合は、声以外の手段でお願いします。
なお、ののこは基本的にジャンを追っかけてるだけです。
アクションなどで名前が挙がらなければリアクションではほぼ登場しません。
今回は軽めのノリでいきたいなと思っています。
そこまで真面目に解決策を考えなくても、むしろ多少ふざけていた方が簡単に解決するかもしれません。
皆さんのアクション、楽しみにお待ちしています。