7月のある日の放課後、
海原 茂は寝子ヶ浜海岸で読書をしていた。
カバーのかけられた本のタイトルは、『おちこぼれ姫のびしょぬれ海水浴場』。
シリーズの最新刊である。
7月といえば、海開きシーズン。
本の中では、おちこぼれ姫が今日もお色気満載で、各地の浜辺を紹介していた。
そして茂がちょうど寝子ヶ浜海岸のページを開いたとき――、
「ひゃぅん……っ」
ページから、おちこぼれ姫が飛び出してきたのである。
「……君は、もしかして――」
さすがにぎょっとする茂と、姫はしばらく見つめ合った。
「私……、あらら、ここはどこなの? 私の国と、似ているけれど違うみたい……?」
間違いない。目の前にいるのは、茂がよく知るおちこぼれ姫その人だ。
ただし、本のページ越しに見ている間は気がつかなかったが、姫はどこか元気がなかった。
目を皿のようにして姫の肢体を凝視する茂だったが、はっとして姫に名乗った。
「はじめましてになるのだろうか。俺は、
海原 茂。寝子島高校の三年生だ」
「まあ、ご丁寧にありがとう。私は、シャルロット・シャッボーネ。放浪の旅の最中なの」
「ああ、よく知っている。……驚いた、どうしてここに?」
「さあ……? どうしてかしら?」
首を傾げる姫だったが、やがてぽつりとこうこぼした。
「私、海を見ながら考えていたの。ラブって何だろうって。……そうしたら、ここにいたのよ」
「ラブ……。それはつまり、愛のことか?」
「愛も恋も、素敵なものだというでしょう? ときめきってどんな感情だったかしら、あなたは知ってる?」
「……俺は、君を見ているときに、確かなときめきを覚えるんだが。ああいや、もちろん、ファンとしてだが」
茂の告白まがいの言葉をうけて、姫はぷくりと頬をふくらませた。
「いいなあ、ずるいわ! 私もときめいてみたいのに!」
ぱっと姫はスカートをひるがえし、駆け出した。
「私も、ラブが見つかるかどうか、探してくるわね!」
茂が引き留めようとする間もなく、姫は寝子ヶ浜海浜公園の方へと走っていった。
皆様こんにちは。
今回は、おちこぼれ姫と一緒に遊びながら、姫にラブの何たるかについて教えてあげようというシナリオです。
おちこぼれ姫っていうのは、海原 茂の愛読書、「おちこぼれ姫シリーズ」の主人公。
一応、旅行ガイドということになっています。
ラブが不足していて困っている姫に、ハートフルな体験をさせてあげてください。
ラブ=恋愛感情ではありません。ラブ=ハッピーです。
たくさんときめいて満足したら、茂の持つ本の中へと帰っていきます。
ちなみに茂は、姫を見失って、浜辺でうろうろしています。
日時は平日の放課後。だいたい、日没までに帰してあげられるといいですね。
姫は、海岸から公園を経由してアウトレット方面に移動中です。
今回、指定できる場所は以下の通り。
・寝子ヶ浜海岸 (海水浴はできません)
・寝子ヶ浜海浜公園 (のんびりお喋りできそうです)
・大観覧車 (一度に乗れるのは6人までです)
・シーサイドアウトレット (お買い物や買い食いができます)
アクションには、場所を一カ所指定したうえで、姫と一緒に何がしたいのかご記入ください。
姫を元気づけるためにプレゼントをしたり、
ラブとは何なのか、一緒に悩みながらお喋りをしたり、
ときめくようなかわいい小物を一緒に選んで、ショッピングを楽しんだり、
姫の前で恋人や配偶者との親密さを見せつけたり、
セクハラをして蹴飛ばされたり。
寝子島の良いところを紹介してあげたり、きれいなものを見せてあげるなんていうのも素敵ですね。
さて、ここで、おちこぼれ姫の人物紹介です。
名前は、シャルロット・シャッボーネ。
通称は、「姫」。16歳です。
日本に地形のよく似たシャッボーネ国のお姫様。
ピンクのふわふわウェーブの髪に、長袖膝下丈の白いワンピースを着ています。
姫なので、頭に小さなティアラが乗っています。
スタイルは抜群。肉感的なボディと、あどけない精神のギャップが、一部の熱烈なファンの心をくすぐるようです。
残念ながら、頭はよくありません。おばかさんです。
少しでも賢くなるために、王様の言いつけで全国を放浪中。
行脚中につき、足腰はそうとう鍛えられています。キック力に自信あり。
今は、ときめきが足りていません。
ラブを見失い中ですが、実は、いつか王子様が迎えに来てくれるといいなと、夢見ています。
食べ物とか、きれいなものとか、かわいいものとかが大好きで、誘惑には弱いタイプ。
本の中では、いつもお供のウサギと一緒だけれど、今は無一文で一人ぼっちです。
優しくしてあげてくださいね。
それではよろしくお願いいたします。