それは、夏の日差しがさんさんと降り注ぐのどかなとある日の朝。
寝子島駅には、今日もくつろぐ数匹のお猫様が日向ぼっこをしておりました。
にゃぁんと時折鳴いては、前足で顔を撫でる三毛猫。
まん丸にじっとまるまって、影のように景色に溶け込む黒猫。
そして、日向ぼっこに飽きたのか、それとも朝方とはいえ初夏の今。
毛皮を纏っている身体には日差しが暑いのか、木陰に移動し始めた虎猫。
他にも数匹のお猫様が駅でたむろすのは、猫の多い寝子島ならではのごくありふれた風景で、だから、誰も気にとめることなどなく。
……そのお猫様達の身体が、いつもより一回りもふた周りも大きくなっている事に気づける事など、朝の忙しい時間に到底なく。
気づいた時には、もう手遅れだった。
「なんだあれ」
学校帰りの
蜂須賀 ルドが、駅前の風景に絶句する。
どうしても見過ごせないものが、そこにはあった。
「イベントじゃん? 確かフリマかなんかやってたきがするし」
隣にいたルドの同居人
霧谷 朧は、長い前髪に覆われた瞳をほんの少しだけあげる。
二人の目の前には、どう見ても巨大すぎる猫が三匹、堂々と存在していた。
「いや、でもさぁ、本物っぽくね?」
「ルドの同類なんじゃないかな」
首を傾げるルドに、あんまり動じていない朧。
つねに猫の着ぐるみを身につけているルドと同居していれば、巨大な猫が道端にいても違和感など感じないのかもしれない。
「本物って、あんなにでかくないだろ」
のっそり、もっふり。
ルドの目の前を悠然と通り過ぎていく『たぶん』お猫様。
多分、とつけなければならないのは、その大きさが尋常ではないからだ。
普通の大きさを1とするなら、いま目の前のお猫様達は5倍はある。
動物園の虎並みにでかい。
幸か不幸かとっても大人しく、いまは丸まって寝ているだけのものもいるのだが、どう見ても本物にしか見えないのだ。
「んー、まぁ、どうにかなるんじゃん? 面倒じゃなきゃ」
ケタケタと笑って、朧は呆然としているルドをぽふぽふと片手で叩いた。
はい、こんにちは?
今回はずばり『巨大なお猫様ともふろう!』シナリオです。
驚きつつももふりまくってよし。
問題解決に奔走してもよし!
むしろ問題の元凶になってしまってもよし!
現在超巨大化したお猫様は、三毛猫、黒猫、虎猫の3匹。
他の駅前のお猫様達は、少し大きめのものもいるようですが、せいぜい3倍程度。
太りすぎのお猫様ですといえば、ごまかせるレベルです。
ちなみに『ミエコ』ちゃんのシナリオとは今回の件は全くの無関係です。
お間違えなくっ。
そんなこんなで、どうぞよろしくお願いしまっす♪