Extension round
時刻は昼の12時を過ぎ、寝子島内全ての交通機関はその動きを完全に止めていた。
防災無線用のスピーカーからの放送は、それらの再開の目処が立っていない事を島内全域へと伝えていく。
――今なお続く厳重な封鎖体勢。
それは、マフィア達が寝子島で未だに捕まっていない事を意味していた。
「いやはや、こんな大勢たぁ、あっし等も随分好かれたこって」
「ふざけろ、何やらかしやがったらこんな状況になるってんだ……」
隣でケラケラと笑いながら走る高校生と思しき小柄な男とともに、両耳にピアスを着けた男が呆れるように声を掛ける。
状況は決してよくはない。というより最悪に近い。
背後からは既に多くの警官が迫ってきており、二人はそれから必死で逃げているのだから。
「いんやぁ、あっしはなんもしちゃいないさ」
「嘘つくんじゃねぇ。ガキの癖に胡散臭すぎるんだよ、てめぇは……!」
シーサイドタウンに建っているビルの間を抜け、一時的に警官を撒いた上で、ピアスを着けた男が携帯を取り出す。
画面に表示されるのは、他のマフィア達からの情報。
その中には、既に彼らが逃げ込んだ廃ビルの位置を示す物も含まれていた。
「ったく、面倒な事になっちまったもんだ……」
ため息を漏らしつつ、ピアスを着けた男はその情報を一応の仲間である小柄な男に伝える。
「……なるほどねぇ。確かに、今はおとなしくしとくのが身の為って事かぃ?」
「そういうこった。こんな状態じゃ、どこにも逃げ場なんてありゃしねぇよ」
少なくとも、各交通機関が封鎖を受けている間は。
それを付け加えた上で、ピアスを着けた男は携帯を仕舞い、目的の廃ビルへとアタッシュケースを持ったまま歩きだしていく。
「はっは、そりゃ仕方ない。あぁ、仕方ないねぇ」
小柄な男もまた、ケラケラと笑いながらその後に続き歩き出す。
――歪んだ笑顔とともに、アタッシュケースから一つだけ物騒な物を取り出し、袖に仕舞いながら。
三々五々に逃げたマフィア達は、それぞれが送られた情報を元に廃ビルへと集まっていく。
だが、その中に捜査官よりも性質の悪い者達まで含んでいる事を、マフィア達はすぐにでも知る事となる。
シーサイドタウンに有る雑居ビルの中の一室で広げられたゲーム――マイスターは静かに光を放っていく。
逃走マフィアの拡張版【HITMAN】
それがこのゲームの名前であり、廃ビルに逃げ込んだマフィア達の中には、裏切り者であり、その金を奪おうと企むヒットマンの姿も含まれている。
果たして、マフィアは金を持ったまま廃ビルから逃げ切れるのか。
それとも裏切る事で敵に回ったヒットマン達が金を奪うのか。
【Let the game begin(さぁ、ゲームを始めよう)】
まずはご覧いただきありがとうございます。
ガイドで使用させていただいたイラスト、及び配役が変動する為に名前は記載できませんが、イメージとして登場していただいたジニー・劉様、骨削 瓢様にはこちらで感謝を述べさせていただきます。
ガイドに登場しているマイスターとNYARO区分の詳細についてはこちらをご覧ください。
本シナリオにおけるPCの状況を整理します。
【1】ボードゲーム「逃走マフィア拡張版:HITMAN」(以後HITMAN)の世界に、
PCの「意識」が引きずり込まれました。
PCの「身体」は、元の世界で眠っています。
【2】PCの意識は、聞こえてきた声から「HITMAN」のルールや自分の状況を把握しました。
PCの身体は、元の世界と酷似した「身体」が再現されています。
身体的な障害を持っているPCは、望んだ場合それらの障害が無い状態で再現されることも可能です。
【3】「HITMAN」のプレイヤー兼キャラクターとして、行動してください。
ゲームが完結すると、PCは元の世界、元の自分に戻ります。
【4】拡張版としては、同タイトルシナリオの違った結末を迎えた最終ラウンド終了後の状況となりますが、
直接の繋がりはありませんので、そちらを読まずとも問題はありません。
▼「HITMAN」の基本
参加PCの意識は、ゲーム開始から終了までの間、配役そのものになっています。
参加が確定したPCのプレイヤー宛てにメールにてお知らせします。(詳細は後述)
配役
2種類【マフィア・ヒットマン】
目的
マフィア:ヒットマンから逃れつつ、逃げ込んだビルから金を持って脱出する
ヒットマン:脱出される前に、マフィアから金を回収する
NYARO区分
区分:C
▼「HITMAN」の舞台
ゲーム用に作られた廃ビル(以下を参照)
※脱出可能ブロックはC3のロビー入口と、D1・E1の窓
※D1・E1ブロック以外の窓は、全てはめごろしと鉄格子で補強されており、全PC共通で破壊不可
※各テナントは二部屋で1ブロックの扱い
※テナント等のブロック内には放棄された資材(壊れかけたテーブルや椅子等)があるが、
トイレ内の洗剤などは空のボトルのみが有る状態
▼「HITMAN」の進行
・PCは「ラウンド」ごとに行動
・ラウンド数は全6回(シナリオの状況によっては早期終了の可能性有り)
・ラウンド数の増加はできない
・ラウンド時間は、午後1時~午後2時まで
両サイド共通
・全てのPCがアタッシュケースを所持している
・中身は【金】【小型拳銃】【空】の三種類(後述)
マフィアサイド
・【金】と【空】のどちらかを所持しており、【小型拳銃】は所持していない
・金を所持しているPCは2名
・マフィア側はヒットマンの内、1名の名前を知っている
・初期位置は【A1・A2・B1・B2】のどれか
ヒットマンサイド
・アタッシュケースの中身は必ず【小型拳銃】
・小型拳銃による攻撃は2ラウンド目から可能
・マフィアサイドにメンバーの中で1名の名前が知られている
・初期位置は名前が知られているPCは【C1トイレ内】とし、知られていないPCはマフィアサイドに順ずる
▼「HITMAN」の勝利条件
マフィアサイド
判定勝利:金が入ったアタッシュケースの内、1つでもPCが持ったまま脱出
完全勝利:金が入ったアタッシュケースを、2つ共PCが持ったまま脱出
ヒットマンサイド
判定勝利:2つの金が入ったアタッシュケースの内、1つでも回収が成功
完全勝利:金が入ったアタッシュケースをどちらも回収成功
※共通として、マフィアは脱出時に、ヒットマンは金が入ったアタッシュケースを取得した時点で
ゲームから消去される
▼ラウンド内での行動
移動と行動に関する注意
どちらも同時にラウンド内で行えるが、ラウンドの規定時間(今回は10分)を越える行動を行った場合、
処理の優先順位は【行動】とする
この為、行動のみでラウンドが終了し、移動が行えない場合が発生する可能性がある(アクションの不採用)
移動
・隣接するブロックに移動可能(C1の場合はA3・B3・C2に移動可等)
・脱出時には脱出可能ブロックに到着後、外に出る必要有り(要1ラウンド)
行動
・移動と同時に行動可能
・区分Cの為、暴力を含めた行動を解禁(但し、性的暴行等の倫理的に難しい物は不採用の可能性有り)
・PC一人が対応出来るのは、PC一人のみ
(小学生、及び中学生の場合はデメリットとして対応する場合にこれ以上の人数が掛かる)
・アイテム探索時は、テナント内等の舞台に書いた物を含め、廃ビルに有るであろう物であれば取得可
(明らかに無い物については、アクションの不採用)
▼初期所持アイテム
・下記の道具と携帯電話以外は、全てゲーム内で取得する必要有り
・携帯電話については、全員の番号とアドレスを知っている状態として扱う
・金を除いた全てのアイテムは破損する可能性有り
アタッシュケース【空】
・中身の無いアタッシュケース
・武器の代わりにはなるが、中身が無い為、威力はそれほど高くない
・ケースの中には金を含めた好きな物を入れる事が可能
・アタッシュケース【金】から金を入れる場合は、小分けして入れる事は不可能(必ず全ての金を入れる必要有り)
アタッシュケース【金】
・両サイドのゲームクリアに必要なアイテム
・数は2つ
・他のPCに受け渡し可能(但しゲーム開始後からが条件。開始時点では必ず初期所持者が所有している事)
アタッシュケース【小型拳銃】
・装弾数2発(装填済み)+予備弾丸2発の計4発の弾丸を所持
・近距離の射撃で相手が止まっている状態であれば命中率大、それ以外の距離から射撃を行った場合、
及び相手が動いている場合等は命中率が大幅に下がる
・ヒットマンのみが使用可能。マフィアが奪った場合は破壊するか、どこかに捨てるか等の選択する必要有り
・射撃時、マフィア及びヒットマンの手足以外に当てる事でPCの強制消去が可能(ゲームリタイア)
・ゲーム終了後は、拳銃を使用した事、及びゲーム内で教わった使用方法に関する全ての記憶が完全に消去される
▼配役の告知方法
各PCの配役は、参加申込み期限(シナリオガイド公開から49時間後)から、
12時間以内にプレイヤー宛てにメールにてお知らせ。
参加申し込み期限で定員に達していない場合は、あとから参加したPCに対して、
参加後48時間以内にメールにてお知らせ。
▼各配役の告知内容
マフィア(11人)
・自分がマフィアである事
・自分の初期位置
・同じブロック内のPC1名(マフィア・ヒットマン問わず)
・所持しているアタッシュケースの種類
・判明しているヒットマンの名前
ヒットマン(4人)
・自分がヒットマンである事
・自分の初期位置
・他のヒットマン役に選ばれたPCの名前
・判明しているヒットマンの名前
・同じブロック内に居るPC1名(マフィア・ヒットマン問わず)
・所持しているアタッシュケースの種類(小型拳銃で固定)
▼その他注意
※今回のシナリオは、逃走VS奪取戦になります。
与えられた情報を元に他PCを騙す事は許可されますので、
それらを理解した上で、PL同士仲良くお楽しみください。
※自分の配役の公表(コメントページでの書き込みなど)は、
真実か嘘かに関わらず、PCとしての【証拠の無い発言】であれば可能です。
配役の告知メール文を提示する行為など、プレイヤーとしてのゲームの妨げとなる発言は禁止です。
※各プレイヤーの発言などによりゲームが成立しなくなる、一方的な展開になり負ける、
といった場合も、大変残念ながら参加料金の払い戻しなどは行われませんので、ご注意ください。
※GAの利用は可能ですが、GA時であっても相手を騙す事は許可されます。
GAを組む場合には騙されることもあることを理解した上で、PL同士は仲良くお楽しみください。
※今回のゲームでは、ろっこんの使用は【不可】となります。
※今回は区分:Cの為、男女の区別なくある程度の暴力行為はリアクションに反映されます。
それらを覚悟の上で、ご参加をお考えいただきますようお願いいたします。
以上が今回のシナリオ設定です。
行動等の書き方は、下記サンプルを参照いただきますよう、よろしくお願いいたします。
それでは、よろしければご参加をお待ちしております。