それは、冬のある日のこと。
寝子島高校英語教師、
ウォルター・Bの自宅のキッチンにて、
八十八旗 信彦と
桜井 ラッセルは、次々とお椀に投入される蕎麦を、ズルズルと忙しなくすすっていた。
二人の前には、空のお椀が山のように積まれている。
「うう……美味いけど、苦しい……」
「ラッセルくんは、もうギブアップかい? 俺は、まだまだいくらでも入るよ?」
額から脂汗を流し、半ばうめきながら蕎麦をすするラッセルに対し、信彦は挑発するように声をかける。もっともこちらも、額には汗が浮かび、口元はかなり引きつっていたけれど。
その信彦の手にあるお椀は、空だ。
と見るや、
稲積 柚春が容赦なく新しい蕎麦を入れる。
「ゆ、柚春ちゃん……」
思わず絶句する信彦に、柚春は小首をかしげて、にっこり笑った。
「八十八旗先輩、まだまだ入るんですよね?」
「あ、ああ。もちろんだよ、レディ」
うなずいて、信彦は再び蕎麦をすすり始めた。
一方、ラッセルの方も、彼が最後の1本を口に入れるや否や、ウォルターが新しい蕎麦をお椀に素早く入れる。
「ウォルター先生~」
こちらも情けない声を上げるが、「フタをしないなら、どんどん入れていくよお」とウォルターはにこやかに返すばかりだ。
これはいわゆる「わんこそば」というヤツで、食べる側がお椀の中の蕎麦を完食して、フタをするまで、ひたすら新しい蕎麦が足されていく。岩手県の名物料理だ。
このしばらく寝子島は寒くて雪なども降って、外に出かけることも少なくなり、柚春は少しばかり退屈していた。
そんな中、たまたまテレビで、このわんこそばのことが取り上げられていたのを見たのだ。
それで、「面白そう、やってみたい」となって、高校時代の先輩である信彦やラッセルを誘ったのだった。信彦とラッセルも、彼女と同じく退屈していたところだったので、食べ物が絡んでいることもあり、喜んでウォルターの家へとやって来た。
最初は2人も嬉々として、蕎麦を食べていた。
1杯分の蕎麦は一口大なので、すぐに食べられる。トッピングもいろいろ用意されていて、味変もできるので、そこも目新しかった。食べ終わると新しいものが入れられるのも、リズムがあって、楽しい。数杯程度では満腹になることもなく、信彦もラッセルも、はしゃぎながら蕎麦をすすっていた。
だが、過ぎたるはなんとやらで、食べ続ければ、当然腹は膨れて来るわけで……。
信彦もラッセルも、椀に入れられた蕎麦を、ひたすらすする。
(次こそは、フタを……)
(うう……苦しい……もうムリ……)
それぞれ、うわごとのように、頭の中で呟いていた。
対して、柚春とウォルターは、ぽんぽんと空になったお椀に蕎麦を入れるのが、すっかり楽しくなっている。
(あ、でも、そろそろ用意したお蕎麦がなくなりそう。先輩たちもかなり苦しそうだし……)
そろそろ終わりにしようと、柚春はウォルターに目配せする。
そしてこちらの2人は、蕎麦を入れるスピードを、少しばかりゆるめるのだった。
果たして信彦とラッセルは、それに気づくのか? そして無事フタをして、蕎麦の投入を停止させることができるのか? 以下、次号に続く?!
八十旗 信彦さま、桜井 ラッセルさま、稲積 柚春さま、ガイドへの登場ありがとうございました。
こちらはあくまでもイメージですので、参加いただける場合は、ご自由にアクションをお書きください。
こんにちわ。マスターの織人文です。
今回のシナリオは、「冬を楽しく過ごす」がテーマです。
冬の寒さは辛いですが、一方で冬ならではの楽しみもあるのではないでしょうか。そこで今回は、それぞれのPCさまならではの、楽しく冬を過ごす方法を描ければと思います。
概要
時の流れは、ねこぴょんの日のあとです。特に日時は定めません。冬でさえあれば、大丈夫です。
ねこぴょんの日の直後だったり、数年後だったりと、ご自由に設定してお楽しみください。
もちろん、場所も自由に決めてくださってOKです。
◇冬といったら温泉よ!
休みを取って、朝から晩までお風呂三昧。これに尽きるわ!
◇コタツでミカンが最高かな~
膝の上には猫がいて~、これぞ冬の楽しみ
◇冬はスキーだろ!
今年はどこで滑るかな。それを考えるとこから楽しい
など、自由にアクションをどうぞ。
NPCについて
登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
Xイラストのキャラクターを描写する場合、
PCとXキャラの2人あわせて「1人分」の描写なので、無関係の行動などはお控えください。
※Xキャラだけで1人分の描写とすることも可能です。
その場合は、PCさん自身は描写がなく、Xキャラだけが描写されます。
Xキャラのみの描写をご希望である旨を、アクションにわかるようにご記入ください。
※Xキャラをご希望の場合は、口調などのキャラ設定をアクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いていただければ大丈夫です。
以上です。
みなさまのご参加、心よりお待ちしています。