九夜山にある、古ぼけたプラネタリウム。
もう何年も放置されていたその場所に、『改装中』の立て札が立ったのが1カ月前です。
場所が場所だけにたいして人の口の端にものぼらず、せいぜいが道を走る大型トラックが増えたな、くらいの認識だったのですが、1カ月を経て、各駅前で大々的にチラシが配布されました。
『星空シアターカフェ「プラネット・ロマンス」 新規開店!
多忙な日々を送る皆さま、心の余裕を失っていませんか? 星空にまつわる物語を見ながらゆったり過ごしましょう。
お1人さま1ドリンク、軽食付きで1500円のところ、オープン特典でドリンク飲み放題!』
オープンに際しての演目は『七夕・織姫彦星伝説』とありました。
ちょうど今の時期にぴったりです。
新しい店ができた、というのにも興味がむくむくと沸いてきます。
はたしてどんな店なのか……あなたは友達を誘って見に行くことに決めました。
◆◆◆
「わーっ。新しいお店、楽しみ-。ちょっと遠いのが難だけど、いいとこだったらまた来ようねっ」
妹の
仙藤 蒼の期待で弾んだ声に、姉の
仙藤 紫は
「そうね」
と答えます。
紫としては、駅前でもらったチラシを見て、ただなんとなく来てみようと思っただけだったのですが、ふんふん鼻歌まで歌って楽しそうな蒼の姿を見ていると、誘ってよかったと思います。
時刻は夕方6時。
星空のステンドグラスで装飾されたドアをくぐった紫を、星空模様の制服を着た男女が迎えます。
「星空シアターカフェ『プラネット・ロマンス』へようこそ!」
なんとそれは、旧市街にある雑貨店『memoria』の店長
密架(ひそか)と従業員の
中山 喬でした。
「密架さん、どうしてここに?」
「ここの店長さんとは知り合いで、オープン初日だけお手伝いを頼まれたのよ」
密架はにこやかに答えますが、喬は仏頂面です。
おそらく、仕事と割り切ってはいるものの、笑顔で来客相手に決り文句を言うことに抵抗を感じているのでしょう。
「……くそ。接待は苦手なんだよ……」
入ってきた相手が見知らぬ他人でなく、紫と蒼だと分かった瞬間に笑顔を引っ込めて素の表情に戻った喬は、ぶつぶつ言いながら窮屈そうに紺色のマオカラーを指で引っ張っていました。
「今夜は楽しんでいってちょうだい」
密架から笑顔で渡されたチラシには、織姫彦星に関する簡単な説明が記されており、シアターカフェの平面図もあって、どこに何があるか詳細に書かれていました。
「座席は指定制じゃないから、好きな席を選んでね。前でも後ろでも中央でも、どこに座っても楽しめるつくりになっているから。
中2階には2人用の個室もあるの。希望するなら言ってちょうだい。
始まるまでまだ時間があるから、向こうで歓談するのもいいわね」
密架が指し示したのはロビーの一角で、そこには休憩用のソファとテーブルが数脚用意されていました。
壁にはセルフのソフトドリンクバーが設置されていて、好きな飲み物を入れることができるようになっています。
ちょうどそこにいた
佐藤 英二が、
「どうせだからいろいろ混ぜてオリジナルドリンクを作ろうか!」
はしゃぎながらアイスティーをベースにオレンジだのネクターだのフレッシュジュースを適当にそそいだ結果、顔をしかめることになっていました。
「にゃははっ。そうなると思った!」
となりでバナナオーレを飲んでいた
野々 ののこがきゃらきゃら笑っています。
「もったいないから、ちゃーんと全部飲むんだよー」
「飲めなくはないよ。……まあ、おいしくもないけど」
話しながら、2人は紙コップを手に席へ戻っていきました。
また、別のテーブルでは講師らしき人が、連れてきた学生を相手に話しています。
「みんな、今日の『織姫彦星伝説』について知ってる? チラシにも簡単だけれど説明があるし、上映中に詳細は説明されるだろうけれど、どうして7月7日は『七夕』って言うんだろうね?
それに、世界には他にもいろいろな織姫彦星伝説が存在するんじゃないかって思うんだ。
日本では7月7日の夜を言うようだけど、この日に限らずとも7月の星についてとか、織姫彦星伝説に似た話とか、あると思う。だって星空は、世界のどこからでも仰ぎ見ることができるんだから。
よかったらきみたちの知る、七夕にまつわる話を聞かせてもらえないかな」
(飲み物を手に、世界の七夕について語り合う。その共通点や違いについて話したり、考察を楽しんだりするのも面白そうね)
紫はそんなことを考えつつ、蒼と並んでドリンクバーを手にシアタールームへ入ります。
シアタールームは明かりを落として薄暗くなっていました。足元が危なくないように配慮された間接照明にぼんやりと照らされた、席についている人たちの姿はまるで影絵のようで、たとえ友達が来ていても、だれがいるか分からない気がしました。
星空をイメージした環境音楽とともに天井のドームには現在の星空の様子――天の川が大きく映し出されているので、星々のまたたきを眺めているだけでも飽きなさそう、と思います。
この時間を、あなたならどう過ごすでしょうか?
こんにちは。はじめまして、寺岡志乃といいます。
今回のシナリオは、七夕の日に友達もしくは恋人とプラネタリウム・カフェですごそう、というものです。
仙藤 紫さま、仙藤 蒼さま、佐藤 英二さま、ガイドへのご登場ありがとうございました。
こちらはあくまでもイメージですので、参加いただけます場合には、ご自由にアクションをお書きください。
概要
ロビーで七夕伝説について話し合ってもいいし、カフェで星空を見ながら小声で話すのもいいかと。
(ほの暗いし、テーブル間は十分離れているのでプライバシーは保たれます)
望めば、中2階にある特別室(2人部屋の個室)で、
リクライニング型のイスで仰向けになりながら過ごすこともできます。
壁で囲まれていて、天井部だけが抜けており、ドーム型プラネタリウムの星空が見えるようになっています。
※始まる前に密架あるいは喬が注文を取りに伺います。軽食を注文できます。
また、カフェにある品なら何でも注文できます。
サンドイッチやカラアゲのバスケットのほかにもパフェとかフルーツ盛り合わせとかいいかもですね!
NPCについて
登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
Xイラストのキャラクターを描写する場合、
PCとXキャラの2人あわせて「1人分」の描写なので、無関係の行動などはお控えください。
※Xキャラだけで1人分の描写とすることも可能です。
その場合は、PCさん自身は描写がなく、Xキャラだけが描写されます。
Xキャラのみの描写をご希望である旨を、アクションにわかるようにご記入ください。
※Xキャラをご希望の場合は、口調などのキャラ設定をアクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いていただければ大丈夫です。
それでは、ご参加お待ちしております!