大学に向かう途中、ふと目についた看板に、
桧垣 万里は軽く目を見張った。
看板自体はごく普通のものだ。ただ、そこに書かれている名前が。
『リリス』
ふいに耳元で囁かれた気がして、彼女はドキリとしたのだ。
それは、今朝たまたま彼女が見た動画に出て来た語句。
まるで天気予報を告げるかのように、「今日の星予報」を告げるその動画で、解説の占い師が言っていた。
「今日は月とリリスが重なる日です。あなたの心の奥深くにある隠された欲望と向き合いましょう」
と。
ちなみにリリスとは「月の遠地点と呼ばれるポイント」で、占星術では「裏の月」「月のシャドウ」を表すものだと説明されていた。
また、月は自分の心を表すものなのだという。
つまり、自分の表層意識と裏の意識が重なる今日は、普段は見ない本音を見てしまう日ともいえるらしい。
(隠された欲望……普段は隠している本音……ね)
動画の内容を思い出し、万里は胸に呟いて小さく吐息をついた。
(そりゃあ人間だもの。隠している本音の一つや二つ、当然あるわよ)
看板から目をそらし、いつの間にか立ち止まっていたことに気づいて、彼女は再び歩き出す。
そうしながらふと、時たま起こる、記憶の空白のことを思い出した。
ふいに意識が飛ぶというか、気づくと時間が過ぎていて、その間の記憶がないというようなことが、時折あったのだ。
実はそれはろっこんが発動して、自称兄の千里に憑依されていたのだが、自覚のない万里には、時たま記憶が飛ぶ――としか意識されていなかった。
(あれってもしかして、自分の本音に気づかなくて、知らない間にストレス溜めててその反動だったとか?)
ふいにそんなことを思って、万里は難しい顔になる。
(だとしたら、そういうものに気づくのも大事ってことよね? それに、もし誰かに対して言いたいけど言えないこととかあるなら、告げた方がいいってこと……かな)
そんなことを考えつつも、彼女は大学に向かう。
そして、大学到着後は、同じ教室の学生たちに「隠された欲望と向き合う」件について、意見を求めて回ることになるのだった。
マスターの織人文です。
今回のシナリオは、なんだかセンシティブっぽいタイトルですが、別にアブナイ内容ではないので、ご安心(?)ください。
桧垣 万里さま、ガイドへの登場ありがとうございました。
こちらはあくまでもイメージですので、参加いただける場合は、ご自由にアクションをお書きください。
概要
時の流れは、ねこぴょんの日のあとです。が、特に季節は定めません。
ねこぴょんの日の直後だったり、数年後だったり、また春だったり夏だったりと、ご自由にお楽しみください。
タイトル及びガイドでも示しているように、自分の「隠された」あるいは「隠している」欲望について描くシナリオです。
「欲望」は「本音」と言い換えてもいいかもしれません。
この機会に、ふだん誰かに言いたくても言えないことを言ったり、やりたくてもできなかったことをやってみたりというのもいいかもしれませんね。
◇作ってくれる彼女に申し訳なくて、言えなかった。
けど今日こそ、言うぞ! 俺は辛いものが苦手なんだ!
◇俺は、可愛いものが好きだ!
もふもふした動物の肉球に、ふみふみされたい!
◇ミニスカートで街を歩きたい!
こんなおばあさんだけど、やってみたいの。
など、自由にアクションをどうぞ。
NPCについて
登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
Xイラストのキャラクターを描写する場合、
PCとXキャラの2人あわせて「1人分」の描写なので、無関係の行動などはお控えください。
※Xキャラだけで1人分の描写とすることも可能です。
その場合は、PCさん自身は描写がなく、Xキャラだけが描写されます。
Xキャラのみの描写をご希望である旨を、アクションにわかるようにご記入ください。
※Xキャラをご希望の場合は、口調などのキャラ設定をアクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いていただければ大丈夫です。
以上です。
みなさまのご参加、心よりお待ちしています。