重い雲が幾重にも重なって、雨を降らす。
空だけでなく、空気までも重く感じるような。そんな天気だった。
その雨の中を、傘もささずに闊歩する女がいた。
女は長い髪を垂らし、ずるりずるりと引きずっている。
けれどなぜだろうか。
女は少しも濡れていなかった。
「私だって……」
恨めしい、恨めしいというように、女は声を漏らした。
いかにも怨霊という風情である。
彼女の視線の先には、
野々 ののこの姿が。
「晩御飯は何かなー?」
今日もなにも考えていなさそうな、能天気なお顔をして歩いていた。
恨めしい、恨めしい。
ののこの後ろに女が迫った。
「ああ、ああ、」
女は悔しげに涙を流す。
無念だ無念だと涙を流した。
「あああああああああああああああああああぁぁぁ!!」
ひと際大きな声を上げ、女はののこに飛びついた。
抱きつくように、くびり殺すように女はののこに飛びついた。
すると女の体は、すぅーとののこの体の中に吸い込まれていく。
ところが、ののこはいまだアホ面のまま。
女が入り込んだことには気がついていないようだ。
憑依されたことによって、
姿が変わっているというのに。
さすが、アホの子。侮れない。
「ふふ、このたわわな胸で、愛を掴み取ってみせるわ……!」
突然そう呟いたかと思うと、ののこはたぷんと揺れる、自身の
いつもよりも数段大きくなった胸を抱き寄せた。
「待っててね、イケメン君! すぐに私の魅力で、鼻血まみれにしてあげるからッ!」
そしてフツウの彼女なら口にしないような雄叫びをあげて、何事もなかったかのように歩き出した。
◆概要
29歳、彼氏居ない歴=年のまま亡くなった幽霊が、エンジョイしたいがために、成仏できずにさ迷っています。
そこら辺の人にとり憑いて、なんとか疑似恋愛を楽しむのが彼女の目的です。
神魂の影響なのかどうかはよくわかりませんが、とにかく彼女は、誰かれ構わずとり憑いてきます。
とり憑かれて恋に積極的なPCを楽しむもよし、とり憑かれた友達を眺めるもよし、悪霊退散に勤しむもよし。
巨乳を手にいれた知人(男)の胸を触ってみたり、いっそ自分(男)で揉んだり……おかしな幽霊との時間を楽しんでください。
【PL情報】
とり憑かれると、
・彼女の身体的特徴が一部身体に影響します。
具体的に言うと胸が大きくなります。
(男性も然り)
ですので、誰にとり憑いているかは一目瞭然です。
が、気がつくかどうかはそれぞれの判断・設定に委ねます。
・彼女の精神とシンクロします。
なので、普段より積極的になったりいつもと違った反応を示す可能性があります。
その度合いについてはアクションに記載してくだされば、考慮させていただきます。
・とり憑かれたことを自覚するかどうかは個人差があります。
・彼女のことは基本的に視認できません。
霊感がある、そういったろっこんである場合は見えたり感じ取れたりするかもしれません。
判断・設定はご自由にどうぞ。
・彼女に憑依されると金縛り能力を得ます。なので、逃げようとする相手を押さえつけることも可能です。
使いこなせるかどうかもPC次第です。ご利用はご自由に。
◆NPC
名前:不明
29歳。女。彼氏いない歴=年齢の恋に疎い人生を送った。
恋をしたくて積極的になっているが、恋愛未経験のためリードは不可能。
彼女に身を委ねると、間違った恋愛イメージを押し付けられることになります。
野々 ののこ
ガイドでは彼女が登場しましたが、以降登場の予定はありません。
次の登場時点ではPCさんにとり憑いているか、彷徨っているか、他のNPCにとり憑いています。
◆舞台
天気は雨。
場所の限定はありませんが、霊と人間の時間が交わると言われている黄昏時(18時くらい)から、霊の力が強くなると言われている丑三つ時(2時くらいまで)が今回の描写時間になります。
ですので、夜が深まるに連れて彼女の力は強くなっていきます。
また、この日は普通に寝子高は授業を行われている平日で、次の日も授業があります。
◆必須アクション
1.憑依されてもいいかどうか。
2.憑依された場合、NGな反応があれば。
3.憑依された場合、どの程度自覚するか。
4.見えるかどうか。→記載がない場合は見えない判定。