「……あら?」
海中から現れた“少女”は、見慣れない景色に驚きを隠せなかった。
「ここは……霊界、じゃない?」
煌々と照りつける真夏の太陽。活気に溢れる浜辺の人々。……そして、線路のない海上。
「あれ、線路は? 瑠璃紺駅はどこへ!?」
事態が把握できない“少女”の助けに応じるように、救いの声……もとい、テレパシーが飛んできた。
《どうしたんですかい、お嬢さん? お困りごとならアタシがお助けいたしますよ!》
《あ、あの、私、メイコっていう、人魚なんですけど……》
《寝子島世界に迷いこんじゃったんですー!!》
●
そしてテレパシーを送った張本人……源頼子は寝子島小学校へ飛びこんできた。
「――ってなもんで。“情報屋の源さん”は、迷子の人魚のメイコさんに助けを求められたってワケですよ。あちらさんも『霊界に帰りたい!』ってことですが、
下半身が魚なもんで目立つのなんの……」
情報屋(自称)の頼子は《助けを求める者とテレパシー交信できる》という、ろっこんの持ち主。
話を聞かされた
陸堂 源次も、事情は理解できたので混乱せずに済んだ。
「霊界の海からこっちの海に流れてきちゃったのかな、それはビックリしちゃうよね」
「人魚ちゃん、ってことは……見つかっちゃったら大事件だよねぇ?」
「Oh! ビッグニュース、大パニックになるデス!」
椎名 あさひの素朴な疑問に、
トワ・E・ライトフェロゥも目を丸くする。
人魚……それは古き時代より語り継がれてきた、幻想の存在。
その人魚が寝子島世界に現れたことで、
島中のフツウを脅かす事態に発展しつつあった!
想像を遙かに超える緊急事態に、頼子も今ごろ気付いたらしい。
あわわと唇をわななかせ、
「寝子ヶ浜海岸の端っこ……猫の目シーグラスが落ちてる辺りで、人魚さんと待ち合わせの約束をしてます!
アタシは他にも助けてくれそうな人を探しやすんで、先に向かってくれると嬉しいです!」
頼子は一人、何処かへ走り去っていった。
これは緩やかに始まり、人知れず解決される一騒動。
人魚ともれいび達による
寝子島世界からの脱出劇が始まる――!!
木乃です!初めましての方、ご存知の方もなにとぞよろしくお願いいたします。
今回は寝子島シーサイドタウンを舞台に、迷い込んでしまった妖怪『人魚』を霊界に送り届けて頂きます!
●NPC
・源頼子(げん・よりこ)
生まれも育ちも寝子島、口調はなぜか江戸っ子。自称・情報屋の小学4年生。
《助けを求める者とテレパシー交信できる》もれいびでもあります。
・メイコ
寝子ヶ浜海岸の近くに迷い込んでしまった、人魚の妖怪。
容姿は上半身が人、下半身が魚。
普通の人に見つかると、寝子島中のフツウが崩れてしまうかもしれません。
メイコとは猫の目シーグラスの落ちている辺りで待ち合わせをしています。
(全体マップの『I-10』になります)
瑠璃紺駅の近くから来たようですが、霊界線のどこかの駅まで送り届ければ自力で戻れるのでご安心ください。
以上です、それでは皆様のご参加をお待ちしております!