『こういうヤツがいずれ現れるとは思ってたが……』
深夜、九夜山中腹に位置する落神神社にて。
テオは樹上から、夜の闇にたたずむ社殿を見下ろしている。
敷地内は雑草が伸びっぱなしのぼうぼうで、社殿も手入れをされている様子はなくぼろぼろだ。石灯篭にもコケが生えている。
それはいつものことだったが、今夜はそこに見慣れない客の姿があった。
『あやかしか。それも少々、厄介なヤツだ』
客は袈裟を纏っていた。一見、神社をふと訪れた僧侶に見えなくもない。しかし頭部を見れば一目瞭然。
それは、蟹だった。二つの目がにょきっと生えて、袈裟から覗く首は甲殻に包まれているし、両手は大きなハサミの形をしている。
化け蟹、あるいは
蟹坊主と呼ばれる、あやかしなのだった。
『放っておくと面倒だ。誰かもれいびを呼んで、霊界へ叩き返してもらうか……』
「あれれ。いつも誰もいないのに、今日は人がいるねえ」
『……誰か来た? ちっ、タイミングの悪いヤツ』
こんな夜更けに訪れたのは、
黒白 滴だった。
鉛筆とスケッチブックを持ち、日頃から島中を歩いている滴は、創作意欲が抑えられない時、夜歩きをすることもあった。
「えっと、こんばんは~。いい夜ですねえ……あれ? あのひと、何かヘン……」
「──両足八足。横行自在にして、眼は天を差す。これ、如何に?」
「えっ、何? このひと……ひとじゃない?」
途端、袈裟を着たあやかしはメキメキと膨張し、正体を現した。
滴の身の丈をゆうに越える、巨大な化け蟹だった。
「ひええええっ?」
わたわたと逃げ出した滴を、化け蟹は水平歩行で追い始める。
『まずいな。このままじゃあいつは捕まっちまう……どころか、あの蟹が山を下りたら面倒だ。というわけで』
テオは空中をめがけ、猫パンチを一発叩き込む。
「……うん? あら、私、どうしてこんなところに?」
突然落神神社の境内に現れたのは、
三条 神無だった。
『悪いが、緊急事態ってヤツだ』
テオの声に、神無があたりをぐるりと見回すと、同じように呼び出されたのだろう、きょとんとした人々と目があった。
そして、ぎぎぎと甲殻を軋ませながらこちらを向く、化け蟹の姿も。
「──両足八足。横行自在にして、眼は天を差す。これ、如何に?」
「よく分からないけど……アレをなんとかすればいいわけね」
『そういうこった。頼めるか?』
幸い、神無ももれいび。これまでに幾度か、寝子島に起こる奇妙なできごとを体験したことがあった。それに彼女は、幽霊にも好まれるらしい。
あやかしにも当然、いろいろな輩がいる。
友好的な者もあれば、人に危害を加えようとする者もあるのだ。
今夜はそんな、害あるあやかしとの邂逅だった。
「さて。私にできることは──?」
こんにちは、風雅宿です。
三条 神無さん、ガイドにご登場いただきましてありがとうございました。
ご参加いただける場合は、ガイドに関わらず、自由にアクションをおかけください。
概要
深夜の落神神社(F-7)に、危険なあやかしが出没しています。
僧侶に化けて人を襲う『蟹坊主』というあやかしで、
「両足八足。横行自在にして、眼は天を差す。これ、如何に?」と問いかけ、
答えを誤ると襲われてしまいます。
皆さんはテオに呼び出されたか、たまたまその場に出くわしたか、
あるいは異変を察知して自ら駆けつけたのかもしれません。
あやかしを放っておけば、一般人に被害が出ることは避けられないでしょう。
どうやらあやかしに致命傷を与えれば、霊界へ叩き返すことができそうです。
危険な相手へ、覚悟をもって挑んでください!
アクション
シナリオ開始時は、黒白 滴が蟹坊主に追われている状態です。
蟹坊主の興味が他所にそれるまでは追いかけられるでしょう。
<蟹坊主について>
僧侶の姿で人に近づき、問いかけ、誤った答えを口にした相手を殺してしまう。
正体は巨大な化け蟹で、硬い甲羅と両手に鋭利なハサミを持つ。
蟹らしく横にした移動できないが、その動きは非常に俊敏。
目にも留まらぬ速さでハサミを繰り出し、獲物を切り刻む。
口からは粘性の泡を吹きだし、触れた獲物の動きを封じてしまう。
甲羅は非常に強固で、生半可な攻撃で破壊することはできない。
弱点は頭部から飛び出した目。
腹からは子蟹を複数体生み出す。
子蟹は蟹坊主より二回りほど小さいが、運動能力や甲羅の頑強さ、ハサミの威力などは変わらない。
NPCについて
登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
一緒にあやかしの戦いに巻き込まれて逃げ惑ったり、一緒に立ち向かったり。
Xイラストのキャラクターを描写する場合、口調などのキャラクター設定をアクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いてもらえれば大丈夫です。
以上になります。
どなたでも、お気軽にご参加ください!