極寒の星幽塔第十一階層。
雪深い山中に佇んでいるのは、この場所にはいまいち似つかわしくない、和の趣きが漂う温泉旅館のような建物だった。
「ああ、来ていただけたんですね!」
ぱたぱたとやってきたのは、若女将だった。美しい和装に身を包む彼女は、背中に翼が生えたほしびとだ。
「えっ、この格好に、この宿ですか? ええ、わたくしは以前に、ネコジマというところを訪れまして。クヤサンのネコ温泉というところで受けた歓待にいたく感激しまして、星幽塔でもこれを再現できないものかと」
と、いうことである。
さて、集まった冒険者たちへ、若女将は困り顔で言った。
「今回は皆さまに、お願いがございまして……」
この温泉郷、実のところほしびとのために作られたものではない。
もちろん人が入ることはできるし、住み込みの従業員も日頃利用してはいるのだが、主なお客様はこの山に生息するありがたい神獣なのだという。
彼らは週に一度、夜になるとやってくる。今夜がまさにその日であるとのことだ。
「いつもわたくしども従業員で、お客様のお世話をさせていただいておりますが、今夜はそのうちの何名かが、その」
湯あたり、であるらしい。彼らは新人で、働き始めてからさっそくありがたい湯を張り切って浴びたところ、激しい倦怠感・食欲不振などに襲われ伏せっているそうだ。
そこで冒険者たちへ、ヘルプを求めたというわけだ。
「今夜だけ、お手伝いをお願いできませんでしょうか……」
彼らの毛並みを洗い清め、湯殿へ導き、求められればマッサージなどして差し上げるのが仕事となる。
お世話をする神獣は、
・ホシカピバラ
・リュウセイグマ
・シロジシサマ
の三組。
手分けして当たることになるだろう。
それはそれとして、一つ問題もあるという。
「このあたりに、モンスターが出没するのです」
温泉へやってくる神獣を好んで捕食する、山と見間違えるほどに巨大な蛇だそうだ。
つまり、依頼は二つ。
神獣のお世話する役と、その間にモンスターへ対処する役だ。
「大変なお仕事ですが、どうか一つ、よろしくお願いいたします」
そう言って彼女は冒険者たちへ、まさに老舗旅館の古女将のように深々と頭を下げた。
こんにちは、高城ヒトです。よろしくお願いします!
概要
星幽塔第十一階層の雪山にある、温泉旅館が舞台です。
<神獣の入浴のお手伝い>
温泉の主なお客である神獣の、
入浴のお世話をするのがお仕事となります。
湯殿での仕事ですので、水着など濡れても大丈夫な格好で臨むのがオススメ。
獣というだけあって見事な毛並みをお持ちなので、丁寧に洗って差し上げましょう。
小さな子どもの神獣の場合、入浴の補助が必要なこともあります。抱きかかえて一緒に入ってあげてください。
特にお疲れな神獣には、マッサージを行います。心を込めて揉みほぐしてあげましょう。
なお、神獣たちはいずれも、サービスに満足すると、星の力がこもった結晶を残していってくれます。
この結晶は価値が高く、別の階層では特に高額で売買されているのだとか。
これがお代の代わりとなりますので、見つけたら忘れずに回収しておきましょう。
<モンスターの撃退>
神獣を狙う巨大な蛇型モンスターを迎撃し、撃破・撃退します。
方法は皆さん次第。戦って力ずくでご退場願うもよし、何らかの搦め手を狙うもよし、です。
温泉旅館の周囲には平坦な雪原が広がっているので、そこを戦場とするのが良いでしょう。
いずれにしても、相手はかなり強力かつ凶暴なモンスターであり、
巨体もあって危険度が高い仕事となります。
覚悟を決めて挑んでください!
神獣、モンスターについて
◆ホシカピバラ
背中に星型の模様があるカピバラ。
温厚で大人しく、毛並みを洗うのにも手間がかからないが、とにかく数が多い。
手際の良い対応が求められる。
◆リュウセイグマ
青白い毛並みを持つクマ。性格は比較的温厚で、人を襲うことはない。
父グマ、母グマ、子グマ四頭の家族。
親グマたちは大人しく温泉につかってくれるが、問題は子グマたち。
元気いっぱいのやんちゃ盛りで、天高く飛び上がり、お湯にダイブしようとする。
激しく着水すると衝撃でお湯が消し飛んでしまうので、優しく抱き止めてあげる必要がある。
◆シロジシサマ
真っ白な毛並みのサル。ライオンほどの大きさがあり、頭に角を持つ。
人語を介し、会話が可能。
物腰は紳士的だが、性格は完全にセクハラオヤジ。
特に女性従業員には過剰なサービスを要求してくる。
◆ユキバジリスク
山ほどの巨体を誇る白蛇のモンスター。頭に王冠のようなトサカを持つ。
圧倒的なパワーによる巻き付きや締め付け、巨大な牙による噛みつきは脅威。
また、口からは極低温のブレスを吐き、視線には相手を凍結させる毒がある。
火や高温が弱点だが、天候の悪化(降雪や吹雪)によっては役に立たない可能性もある。
アクションには、いずれのパートへ対処するかをお書きください。
複数も可ですが、あまり多いとそれぞれの描写が薄くなる可能性があります。
なお、お仕事成功の暁には、皆さんも温泉に入って構いません。
そのままお食事や宿泊も可。ゆったりとお過ごしください。
NPCについて
以下二名のNPCが同行可能です。
◆ルーク・ポーラスター:モンスターの撃退を担当します。
◆フォルカ・ヴィクスン:神獣のおもてなしを担当します。
星の力
星幽塔にいると、星の力 と呼ばれる光が宿ります。
★ 基本的な説明は、こちらの 星の力とは をご確認ください。
星の力やその形状は、変化したりしなかったりいろいろなケースがあるようですが、
このシナリオの中では変化しませんので、このシナリオではひとつだけ選んでください。
ひとともれいびにはひとつだけですが、
ほしびとには、第二の星の力(虹)もあります。
★ 虹についての説明は、こちらの 第二の星の力 をご確認ください。
アクションでは、どの星の光をまとい、その光がどのような形になったかを
キャラクターの行動欄の冒頭に【○○の光/宿っている場所や武器の形状】のように書いてください。
衣装などにこだわりがあれば、それもあわせてご記入ください。
衣装とアイテムの持ち込みについて
塔に召喚されると、衣装もファンタジー風に変わります(まれに変わってないこともあります)
もちものは、そのPCが持っていて自然なものであれば、ある程度持ちこめます。
※【星幽塔】シナリオのアクション投稿時、作物・装備品アイテムを所持し、
【アイテム名】、【URL】を記載することで、
シナリオの中で作物(及びその加工品、料理など)・装備品を使用することができます。
※URLをお忘れなく!!!
※オーダーメイド装備品について
鍛冶工房のトピックを経る(またはシナリオなどで得る)場合のみ
アクション冒頭で指定した星の力とは別に、装備品固有の《特殊効果》が認められます。
アイテム説明欄に、トピックでの完成時の書き込みURL・シナリオ入手時のURLを記載してください。
例:http://rakkami.com/topic/read/2577/2116
以上になります。
それでは、皆さんのご参加をお待ちしています!