――嵐ノ国
数多くの天狼族が住まうこの国は、復興著しく心地よい喧騒に包まれていた。
先日見つかった埋蔵金の一部により街並みが整えられ、人々の暮らしもだいぶ落ち着きを取り戻したといってもいいだろう。
そして、嘗て魔物となったものの呪いから解放されたことで元の姿に戻った『還人』(かえりびと)もこの国に数多く暮らし、少しずつこの時代に慣れてきたようだった。
しかし、その様子を見もる天狼族の王、ライメイの表情はひどく曇っていた。彼は埋蔵金が発見されてから一週間後、急に倒れ……数ヵ月立った今も床に伏せっていた。
「父上、お加減どうですか?」
「まあまあだよ」
傍らの息子、ツムジが心配そうに問いかけるが、ライメイはゆっくりと身を起こそうとして激しくせき込んでしまう。聊か痩せたように見える父の姿に、ツムジは胸を痛めた。
ライメイは薬湯を貰うと、ゆっくりと時間をかけて飲み干す。彼は呼吸を整え、ツムジにこういった。
「俺は夢を見た。俺の中にある負の感情が、少しずつ俺の身体を蝕んでいく様を。俺の魂に、皹が広がっていくのを」
彼は言う。
自分は、仲間たちが貯めていた『呪皇への恨みつらみ』など負の感情を引き受けていた。それを少しずつ浄化して発散させていたと。第二の呪皇にならない為に、浄化の力を全て仲間の感情の為に使っていた、と。
「俺の算段が甘かったようだ。俺が思っていた以上に……ゴホッ、ゴホッ」
またもせき込むライメイを、ツムジが支える。
(父上、そんな……)
ツムジは、どうにか父を助けたく思い、神官に相談する事にした。
* * * * *
貴方がた冒険者が嵐ノ国に呼ばれたのは、その3日後。
ツムジは依頼人として、貴方がたに滋養と浄化によい薬草を取りに行ってもらうべく説明をしていた。
「みなさな、僕も参ります。どうか父の為に力を貸してください」
そう言い、出発しようとしたその時である。
『貴方のお父上を、救う知らせを持ってまいりました』
急に空から声がする。よく見れば銀色の光が降り注ぎ、白い神官のような衣服をまとった青竜族の女性が佇んでいた。ツムジは、その姿を見……過去に読んだ資料に書かれた女性の事を思い出した。
過去の戦いで出会った事がある者がいたら、すぐに分かった事だろう。
「……貴女が、藍音さんですか?」
「いかにも。みなさま、お久しぶりにございます。今回は天帝の命によりライメイ殿ならびに天狼族のみなさまを救うべく参った次第です」
藍音の話によると、このままではライメイが呪の元となってしまい、天狼族自体が呪いで死滅してしまう可能性があるという。
しかし、今ライメイの魂に禊をし、命を救えば、天狼族が呪いで死滅することは無いそうだ。
「皆様を、天帝が住まう《天聖宮》へお連れします。ライメイ様に合う霊薬の材料は、そこにあります故に」
藍音はそういうと、ツムジと冒険者を光で包んだ。
* * * * *
気が付くと、そこは美しい光景が広がっていた。
ガラスでできた回廊、木々に掛けられた星型のランタン、紺碧の空……。
大きな木の下では、ふわふわとした白い獅子のような生き物が眠っている。
「ここは、天帝の庭。ここに、禊の儀式に必要な物があります。門番は、私が相手していますから……皆さまは、材料を……」
それを入手し儀式をすればライメイは救われる。
冒険者たちは、ツムジと共に『天帝の庭』へと踏み出した。
どうも菊華です。
かなりお久しぶりの〈天穹〉は、前回とは一転し冒険一辺倒です。
天帝の庭へ出かけ、ライメイと天狼族を救うためのアイテムをゲットしましょう!
初めての方、前回は参加していなかった方でも、問題なくご参加いただけます。
ほしびとやあやかしの方も大歓迎です!
概要
>天狼族が貯めてしまった《穢れ》を払い、完全復活を狙おう!!
藍音が今回は皆さんを月華世界の住人たちの信仰対象である天帝の元へ連れていきます。なんでも、ライメイ……ひいては天狼族を救うために禊が必要で、必要なものがそこにあるというのです。
>経緯
天狼族が貯めていた『呪皇たちへの恨み辛み』など負の感情をライメイが一気に引き受け、暴走を食い止めていました。その後どうにか住人達と共に少しずつ緩和しようとしていましたが、精神的な疲労から油断し、ライメイの魂を蝕んでしまいました。
ライメイの強い精神力によりどうにか体調不良で収まっていますが、このままでは新たな呪皇として覚醒してしまう可能性もあります(その際、他の天狼族の魂が彼の元に集うことになります)。
それを望まないライメイは、このまま魂ごと消滅し呪皇の器になることを回避しようと考えていますがツムジや仲間たちはそれをよしとしません。そして、藍音もまたそれは同じ。
責任を感じた藍音は、天帝へライメイの救魂を願い出ました。その結果、藍音が冒険者たちに禊や霊薬に必要な材料をとってもらうべく依頼する流れと相成りました。
アクション
>今回のステージ:天帝の庭
ここには月華世界にある植物のすべてが生えており、神の御使いなどが暮らしています。
その番人たる聖獣が住人達を守り、天帝とその友のみが入ることができます。
藍音は竜となり、天帝の庭の番人たる聖獣が起きぬよう見張ります。
彼女が聖獣の眠りを守っている間に次の物をみなさんには用意してもらいます。
以下の材料の中から、とってくるものを1~2つ程度お選びください。
複数を選ぶとそれぞれの描写が少なくなる可能性がありますので、
あらかじめご了承ください。
>空飛ぶ金色の卵 難易度:★★
天帝の庭に暮らす精霊の一種で、気まぐれ且つ好戦的です。
彼らは金色の羽根を飛ばして攻撃するだけでなく、敵に対して鼓膜を破るほどの大音量で鳴く特性があります。
幸い、耳せんになりそうな綿のようなものがありますのでそれらを耳に詰めると少しはちがうかもしれません。が、仲間の声が聞き取りづらくなりますのでご注ください。
>動く桃の木の樹液 難易度:★★★
天帝の庭を根っこで動き回る桃の大木です。
根での攻撃の他、桃の実から種を(どういう原理か不明ですが)飛ばしてきます。
樹液を取るにはある程度傷つけて滴らせるしかありません。
>星屑の欠片 難易度:★
庭のあちこちにある……らしいパステルカラーの金平糖に似た物です。
食べると甘く、体力も回復します。
ただし、体内に入る前に割れると灰になってしまう特性があります。
あちこちにあるのでそれを1000個拾ってもらいます。
>聖獣の鱗 難易度:★★★★
聖獣は、獅子の姿をしていますが、背中に銀の鱗があります。
藍音は起きた時の事を考えて竜となり、眠りを守っています。
慎重に鱗を2,3枚とる必要がありますが、獅子は少々眠りが浅いかもしれません。
注意点
・持ち込める道具は、身に着けていてもおかしくない物3点のみ
(星幽塔のアイテムの持ち込みも可能です)
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それでは、よろしくお願いします。