「お待たせいたしました、苺のショートケーキでございます」
「まぁ~、美味しそうねぇ♪」
星ヶ丘のとあるカフェ。
四十九院 鸞はやってきたショートケーキに目を輝かせる。最近オープンした評判の店だそうで、ずっと訪れるのを楽しみにしていた。
さっそくケーキの頂点にトッピングされたイチゴへフォークを伸ばす。
「それじゃあ、いっただきま~……」
「おやおや。これは良い素材が見つかったね」
その時、一陣の風が吹いた。
鸞が風に目を伏せ、再び目を開けた時、そこには奇妙な人物が立っていた。
年の頃は大学生くらいの青年に見えたが、何かおかしい。
「ちょうど良い。この女を使わせてもらおうか」
「? どなたかしらぁ? 邪魔しないでくださるかしらぁ、これからケーキをいただいて、あら?」
青年が掲げたのは、古めかしいカンテラだ。中にはぼんやりと、青い炎が揺れている……それを見た瞬間、鸞はびくりとして固まった。
鸞は見た。青年の背中には黒い翼があり、頭には角が生えている。にやりと笑った口元には牙が覗いていた。
「私はヨルヒエル。280の
大悪魔の一人。これまでの悪魔と一緒にしてくれるなよ、ネコジマの諸君」
目を見開いた鸞の胸から、桃色の波動が放たれる。
その日、寝子島はイチゴに包まれた。
テオは仏頂面で言う。
「まったく。あいつめ、世話をかけやがる」
「そ、そんなこと言ってる場合じゃないんだよー!」
鈴原 天音のもっともなツッコミに、テオは分かってる、と短く言ってあたりを見回した。
旧市街の参道商店街には、彼の呼びかけに応じて集まったもれいびたちや、よく分からないまま取り残されているひとも含めて、数人が顔を揃えている。
「クロー……じゃねえ、お前らが四十九院と呼ぶ女に、悪魔がちょっかいをかけたようだ。今、あいつの欲望が暴走し、全てがイチゴに変わろうとしている」
囚われとなった鸞を中心に放たれる波動が、人も、物も、
全てをイチゴに変えてしまうのだ。
星ヶ丘は既にイチゴに呑まれてしまった。シーサイドタウンの半ばもイチゴに侵食され、やがてこの旧市街へも波動は届くだろう。
「どうすればいいのかなー……?」
鸞は寝子島高校の教師だ。その生徒である天音にとって他人事ではない。
「悪魔は腰に、青い炎が灯ったカンテラを提げている。どうやらそいつが今回の現象を引き起こしてるようだ。炎を消すかカンテラをぶっ壊せば全て元に戻るだろう。だが、あの波動を長く浴びればみんなイチゴになっちまう。短期決戦しかねえ」
イチゴのるつぼと化したシーサイドタウン、星ヶ丘を突っ切り、鸞と悪魔の元へたどり着くのだ。
途中、何人かはイチゴになってしまうかもしれない……それでもやるしかない。
「わたしも頑張るんだよ……!」
走り出す彼らへ、テオはどこか張りつめた面持ちでつぶやいた。
「気を付けろ。あの悪魔、これまでとは違うぜ。油断はするなよ……」
こんにちは、星織遥です。
よろしくお願いいたします!
鈴原 天音さん、ガイドにご登場いただきましてありがとうございました!
ご参加いただける際は、ガイドのイメージに関わらず、自由にアクションをおかきください。
概要
今度の相手はただの悪魔じゃあありません。
大悪魔です!
大悪魔ヨルヒエルは四十九院 鸞に干渉し、不思議な力を引き出しました。
四十九院先生から放たれる波動が、あらゆるものをイチゴに変えてしまうのです。
通行人も、民家もビルも、車も、猫たちも、全てがイチゴに変わっていきます。
先生のいた星ヶ丘はほとんどイチゴに沈んでいて、シーサイドタウンも半分ほどがイチゴになってしまいました。
このままではあなたの家も、大切な家族や友人も、そしてあなた自身も、
みんなみんなイチゴになってしまいます。
この事態を解決するには、大悪魔を倒し、四十九院先生を解放するしかありません。
旧市街を出発し、シーサイドタウンをとおり抜け、星ヶ丘を目指しましょう。
イチゴになってしまわないうちに、迅速に!
ただし、道中には大悪魔が用意した強敵も待ち構えているようです。
激闘必至なバトルを制して、寝子島に平穏を取り戻してください!
アクション
旧市街を出発し、まずはシーサイドタウンをとおり抜けましょう。
建物はイチゴになっているので、頑張って食べればショートカットもできるかも?
シーサイドタウンでは、大悪魔が配置した敵が行く手を塞いでいます。
全員で一匹一匹相手にしている時間はありません。手分けして戦いましょう!
◆イチゴ虫
身体がイチゴでできた巨大なイモムシ。身体の上半分はクリームでコーティングされている。
体当たりや転がり攻撃をしかけてくるほか、イチゴシロップを吐き出して攻撃する。
当たれば一瞬でイチゴになってしまうだろう。
追い詰めるとイチゴ蝶々に羽化する……かも。
◆イチゴ戦車
シフォンケーキのボディにビスケットの大砲を持つ戦車。
高速で走り回りながら、イチゴの砲弾を発射する。
砲弾は着弾点で炸裂し、広範囲にイチゴ果汁を散布する。
果汁をかぶればもちろんイチゴ化待ったなし。
◆イチゴ人間
イチゴになってしまった寝子島住人の皆さん。
頭がイチゴ。ジャックオーランタンのような目と口が開いている。
イチゴになっていない人を見つけると追いかけてきて、噛みつく。
噛まれるともれなくイチゴ人間になってしまう。
星ヶ丘には大悪魔ヨルヒエルが待ち構えています。
これまで寝子島にやってきた悪魔たちよりも数段強い「大」悪魔です。
一筋縄ではいきませんし、その上手間取ればイチゴになってしまいます。
◆大悪魔ヨルヒエル
背中の翼で飛行し、鋭い爪や、尾を鞭のように振るって攻撃する。
また、魔法のように炎や氷を飛ばす技も持つ。
腰には青い炎を灯したカンテラを提げている。
余裕しゃくしゃくで常に笑みを浮かべている。まだ本気ではないのかも……?
また、イチゴ化の影響なのか、街中にはイチゴ武器が落ちていることがあるようです。
使用すれば、ろっこんの使えないひとでも、もれいびに引けを取らないバトルができそうです。
・イチゴ剣
イチゴが柄、ヘタが刃なイチゴソード。ピンク色の剣閃を放つ。
・イチゴ銃
タネの銃弾を発射する。拳銃型やマシンガン型、ライフル型などいろいろ。
・イチゴ盾
平たいイチゴの盾。どんな攻撃も完璧に防いでくれるが、壊れてしまう可能性もある。
その他、あまり強すぎない範囲で、個性的なイチゴ武器を考えてもOK。
なお、悪魔たちの思惑には気づかず、イチゴになってしまった街を散策したり、
イチゴを存分に食べて過ごす、といったアクションも可能です。
NPCについて
登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
NPCも作戦に参加してくれますが、概ね夢だと思っているようです。
また、このシナリオでは、Xイラストのキャラクターも描写することができます。
口調などのキャラクター設定は、アクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いてもらえれば大丈夫です。
それでは、皆さまのご参加お待ちしております。