『異常気象により2月にも関わらず発生した
台風が、非常に強い勢力を保ったまま寝子島に接近中です。外出はなるべく控え――――』
その日は寝子島内に気象ニュースがひっきりなしに飛び交っていた。この季節に突如台風が発生し、寝子島に接近しており、また規模が大きくその被害が甚大なる可能性があった為だった。
「中々に物騒な気象だねぇ。仕事休めと行きたいところだけれど、まだ避難できていない人や家に帰れていない人もいるかもしれないな。もう一走りしてみようかねぇ」
ラジオで気象ニュースを聴いていた
円城 徹が止まっていたタクシー内で呟く。徹はよし、と一息吐くと先程よりも強くなっていた、雪混じりの雨で曇ったフロントガラスをワイパーで切らせ、強い雨雪の中を、運転し慣れた自身のタクシーを走らせ運転する。
「随分と雪に風が強くなってきたな。予報では上陸は明日だったが。前日にこうなると今度のは本当に危険かもしれないな」
『緊急速報です。先程停滞していた台風が突如動き出し、寝子島に急接近しております。寝子島に居られる方は至急屋内への避難を――――』
ラジオから流れていたアナウンサーの声が突如かき消される。刹那、フロントガラスを叩いていた雨雪の量が膨大に増加し、バラバラバラと、まるでヘリコプターのプロペラが回転する様な爆音を鳴らしタクシーのフロントガラスへ叩きつけられ始める。また風の量も膨大に増加し、ハンドルを切ってもいないのにタクシーが流され始めてしまう。
「これはいったい!? しまった、前が見えない」
徹はいつも走っていた道の記憶を辿り、今沿うべき道を探る。雨で見えない視界の中、揺れの強さでタクシーの向きを判断し、ブレーキを強く踏みながら沿う道に合わせハンドルを切っていく。キキーッと、雨音を切り裂くように鋭い音が辺りに鳴り響く。もうすぐ止まれる。大事は免れそうだ。そう思った刹那、タクシーが激しく揺れた。
徹が感じたことの無いであろう揺れがタクシー内で発生する。横ではなく縦、いや全方向に発生している揺れ。タクシーは宙で回転していた。ドシャーッ、とタクシーが濡れた土にタイヤから着地し、長い距離を滑っていく。がくん、と強い揺れが襲う中、徹は意識からがらにブレーキを踏み、シートベルトに支えられながらハンドルを強く握り固定させ、タクシーを静止させる。
「く……止まってくれた、か……」
ハンドルに崩れこみそうになりながら、前方を確認するため徹は顔を上げる。そこに雨雪は降り注いでいなかった。ワイパーが視界を切り開いた先の上空に、高速で移動する何かが見えた。
「UFO……? まさかな……」
現実離れした体験に、徹は暫く動く事ができなかった。
「はっはっはっ! オレっちのお通りだ! 邪魔な物は全部吹き飛ばすよ!」
「みてみて、あそこの人間達。いつも雪で喜んでるのに悲鳴上げて逃げてるよ~」
上空を高速で移動していた正体。それは雪風を身に纏った
大イタチだった。大イタチの群れは大空を縦横無尽に飛び交い、ビュゴオッ、と音をかき鳴らし強風を発生させている。また、いたずらに雨や雪を降らす大イタチも中にいて、人に悪さをしていたりする。
「待て!」
「ん?」
突如大イタチの上方から声が降りかかる。大イタチが声に振り返ると、そこには日の光を背に浴びた、幾つものシルエットが浮かんでいた。その中で大イタチへと指を指し向けている、一際目立つシルエットが声を上げる。それは
鴇波 羽衣のものだった。
「台風の元凶はあなたたちだね! 空の平和は
寝子島飛行部隊が守るよ! 大人しく捕まりなさい!」
「へぇ? オレっちを捕まえるって? 面白いじゃん。そんなちっこい身体で捕まえられるなら捕まえてみなよ」
「あははは、吹いたら吹っ飛んじゃいそうだよね~」
「んなっ! ちっこい言うな! もう怒った、皆とっ捕まえちゃうよ!」
「おっと、オレっちについてこれるかな? 雨と風にも注意しなよね」
「そんな恰好じゃ凍えちゃうかもね? 雪にも気を付けなよ。厚着してきたほうが良いんじゃない?」
寝子島飛行部隊と名乗る者達が、大イタチを一斉に追いかけ始める。大イタチ達は隊員達を見ながらも、飄々と忠告を残しながらあっという間に宙を走り去っていく。大イタチを止めるにはまず追いつかなければならないようだ。このままのさばらせれば寝子島が危ない。寝子島の普通を守るため、乗り出した者達は動き始めた。
こんにちは!にょろんにょです!今回は初めてのバトルシナリオです!
円城 徹さん。鴇波 羽衣さん。ガイドに登場させて頂きました。ありがとうございます!
このシナリオの概要
寝子島に現れ大暴れしている、嵐を巻き起こす大イタチの群れを阻止するシナリオです!
神魂の影響で出現した大イタチたちは、体長4mほどもあり、風や雨、雪、雷を操り、
縦横無尽に空を飛んだり、近寄る者を吹き飛ばしたり攻撃したりします。
大イタチは暴れることが大好きで、寝子島を暴走したり、追い掛けてくる者を迎撃したりして楽しんでいます。
彼らが暴れているせいで暴風が起こり、台風を形作っているようです。
大イタチは知能が高く、人語を話し、群れの間で意思疎通を図り、
チームワークを活かしてイタズラを行います。
人間とも会話できますが、説得が可能かどうかは未知数です。
また、巨体ゆえに身体能力は非常に高く、強靭かつ屈強な強敵です。
神魂の影響なのか、大イタチの姿はもれいび以外には見え難く、とてつもなく強い竜巻にしか見えませんので、
一般人の方も知らずのうちに巻き込まれているかもしれません。
突然天候が悪化した状態ですので、外出中に気づいたら台風の真っただ中に居ることもあります。
イタチに戦いを挑み、ハードな状況でのバトルを堪能するもよし。
一般人として、ただただ嵐に翻弄される様子を描くもよし。
自由にお楽しみください!
アクションで出来ること
大イタチを止めるために正面から大イタチを挑発する!
大イタチを止めるために罠を張り待ち構える!
大イタチに襲われている人を助ける!
台風に巻き込まれながらも家に帰る!
などなど、思いつく限り色々な事が行なえます!
なお、ガイドでは空を飛びながら戦っていますが、もちろん地上でのバトルもOKです。
イタチたちは単純で挑発に引っかかりやすいので、上手く乗せれば、
有利な場所や戦いやすいシチュエーションへ誘導することもできるでしょう。
このシナリオは大イタチの阻止、または捕獲等が目的ですが、もし出来なくても別の地域に移動していき、
やがて勢いを失って普通のイタチに戻るようです。
とはいえ、放っておけば寝子島の被害は甚大です!
あなたなりの方法で、大イタチたちの脅威に立ち向かってください!
NPCについて
登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
NPCたちも強烈な風と雪に翻弄されていたり、事情を知るもれいびは一緒に戦ってくれたりするかもしれません。
また、このシナリオでは、Xイラストのキャラクターも描写することができます。
口調などのキャラクター設定は、アクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いてもらえれば大丈夫です。