さて、もうすぐバレンタインデーを控えた日曜日のその日、シーサイドアウトレットの一角にあるイベントスペースは例年のごとく、バレンタインを控えたこの時期ならではの甘い賑わいを見せていた。
右を見ても左を見ても、前も後ろもチョコ、チョコ、チョコ。本命チョコに義理チョコ、友チョコ家族チョコ自分チョコ、人の数だけチョコに載せた想いもある。
その、イベントスペースのさらに片隅では、今日行われる手作りチョコ教室を担当するパティシエ、
木原 高明(きはら・たかあき))さんがにこにこと人々の様子を眺めていた。
「何だか、見ているだけでワクワクして来るね」
そう高明さんが呟いたのは、日頃はシーサイドタウン駅から少し離れた、ちょっと裏路地のような、つまりさほど人混みがある訳でもない通りの一角にある自身のお店からは、あまり出かけたりはしないからだ。
これだけのスペースに一堂に会したチョコレートと、それらを求めて集まってきた老若男女の熱気は、高明さんにとってはちょっと新鮮だ。
だからにこにこと、嬉しそうに人込みを眺めている高明さんに、孫娘で寝子高1年生の木原 理子(きはら・りこ)が、おじいちゃん、と声をかけた。
「そろそろ始まる時間だよ?」
「おや、そうだった。理子、準備は良いかな?」
そうしてかけた言葉に、かけられた高明さんはにっこり頷いて立ち上がる。その姿はお店の厨房に居る時と同じ、清潔なコックシャツ姿。
こく、と頷いた理子はといえば、家庭科の調理実習で使うエプロン姿で、手作りチョコ教室に参加する準備が万端である。
元々は孫娘の『おじいちゃん、バレンタインチョコの作り方教えて!』という可愛いおねだりだったはずが、なぜシーサイドアウトレットで手作りチョコ教室を開くことになったのか、それはちょっと高明さんにもよくわからない。
たまたまその時お客様として関係者が来店していて、たまたまそれを耳にして『じゃあどうせなら』と何がどうせなのかよく判らない流れで、気付けば今日になっていた、というのが正直な気持ちだ。
とはいえ、
(これも経験、だね)
にこにこと楽しそうな高明さんは、完全に、この場の雰囲気を楽しんでいた。
――時刻は午後1時。
シーサイドアウトレットのイベントスペースで、手作りチョコ教室が、始まる。
いつもお世話になっております、蓮華・水無月と申します。
ようやく暑さも緩んできた(かも知れない)今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて、今回は『somnium』というカフェ兼ケーキ屋さん兼雑貨屋さん――ではなく、シーサイドアウトレットのイベントスペースが舞台です。
開催中のバレンタイン特設会場の一角にて、手作りチョコ教室で思い思いに好きなチョコを作ってみませんか、なシナリオとなっております。
もちろん、老若男女どなた様でも参加は大歓迎です!
チョコレートの材料は、よほど珍しいものや高価なものでなければ、基本的にはご用意があるとお考え下さい。
材料費は参加費(500円。小学生以下は無料)に含まれています。
それ以外の珍しい材料や、高価な材料は、恐れ入りますがご自身でご用意ください。
特設会場内で購入した手作りチョコキットなどを持ち込んで、その場で作成しても構いません。
自宅で作るのでアドバイスのみ欲しい! という場合でもお気軽にどうぞ。
(※ご自宅での制作風景などは描写されません。悪しからず、ご了承ください。)
教室は13時~19時まで開催しております。
時間内でしたらご自由にお立ち寄りくださいませ。
(※アクション内に『〇時ごろ』とご指定があれば助かります)
なお、出来上がりが時間外になってしまいそうなチョコの作成をご希望の場合は、申し訳ありませんが参加をお断りする場合があります。
過去の『somnium』シナリオも知りたい、という方はこちらをご覧ください。
もちろん、ご覧にならなくても問題なくお楽しみ頂けます。
『somnium』へようこそ!
『somnium』で紙ねんどスイーツを。
『somnium』のチャイナな一日。
『somnium』に灯すエッグキャンドル。
『somnium』でのクリスマス。(準備編)
Good Day!!~『somnium』~
冬と、蜜柑と、『somnium』。
『somnium』に揺れるキーホルダー。
『somnium』の店主夫婦は、ご主人が定年を迎えた後に夫婦揃って寝子島に移り住み、趣味を一杯に詰め込んだお店を開いたという、木原 高明(きはら・たかあき)さんと木原 伊都子(いつこ)さん。
歳を重ねた今も、海外や国内各地に旅行に赴いては、あちらこちらで仕入れてきた雑貨なんかをお店に並べていたりします。
髪に混じった白いものも目立つお年頃ですが、どこか可愛らしいような、優しい雰囲気が親しみやすい、とご近所では評判だとか。
皆様との関係は、こちらも無理のない範囲で、常連客など、ご自由に設定して頂いて構いません。
それではお気が向かれましたら、どなた様もお気軽に、どうぞよろしくお願い致します(深々と