「ここで合ってますかにゃ~?」
「星幽塔経由で来たから、多分ここが間違いなく『寝子島』だわーん」
それは、なかなかに人目を引く光景でした。
いつもならば灯台以外何も無いエノコロ岬の高台です。しかし、今はそこに人の背丈ほどもある黒い石と、それを前にして謎の人々が集まって、男女年齢性別に関係無く立ち尽くしていました。
身姿も格好も完全に人間のそれですが、辺りを見渡しながら話をする、その場全員の口調語尾には『にゃ』やら『ワン』という、何とも奇妙な言葉が付いているのです。
「ん? 何だありゃ」
丁度、ジョギングを終えてシーサイドタウンの自宅へと戻る途中。
穂村 敦はその不可思議な光景に目を留めました。
「……」
何とも不思議な光景でした。敦の目の先には、明らかに『困っています! 助けて!』という雰囲気を漂わせた人々が集まっています。
ですが、あれだけの人が集まって、一体何を悩んでいるというのでしょうか。
「どうかしたのか?」
ある意味、明らかにおかしな光景に、敦が側に歩みを進めて集まる一団に話し掛けました。
「わぁ! 人が来たニャー!!」
「落ち着くワン! これはある意味チャンスなんだワン!! あの、もしもし、相談に乗ってはもらえませんかワン……あ、いえ相談に乗ってもらえませんか」
敦の言葉に、どうやら一同のまとめ役であるかのような男が、一歩前に出て事情を話し始めました。
「は? 異世界から来た!?」
事情を聞き始めた敦は、もう冒頭から日常の常識を力一杯に殴られるような衝撃を受けました。
確かに、今寝子島は不可思議な事で溢れ返り、もう何が起きてもおかしくはありません。
この場にいる人間たちは、元々では世界の違う『いぬ』と『ねこ』という種族であり、この世界の犬猫に似た外見をしていたのだというのです。
「お、おう……」
「この世界と繋がっている異世界の『星幽塔』から、この寝子島に来ると『人間になれるらしい』と聞いて、この度、好奇心に負けたいぬねこたちを集めて観光に来たのですワン……です。
しかし、実際にこうしてなって見たものの、私たちはこの『寝子島』について、殆ど何も知らないことに気付いたのですワン――です」
「お……おう」
基本、常識的には疑うところなのですが、敦自身もろっこんでドーベルマンになれるもれいびです。そうなってしまえば、目の前の人々の事情が、否定する理由も無く、恐らくその話は事実なのだろうと思えてきます。
「これから、目立たないようにこの姿で寝子島を探険しようという話をしていたのですにゃんが、何も知らないままバラバラに行動しては、何が起こるか分かりませんにゃん。
もしよろしければ、マタタビを進呈しますので、この【寝子島がどういう所か】案内してはもらえませんかにゃん? ……いえ、もらえませんか」
「いや、もう語尾はいい。言いづらい事この上なさそうだしよ。
……しゃあない、乗りかかった船だ。期待に添えるか分からねぇが、付き合うくらいなら構わねぇぜ」
「犬の匂いがするひと、ありがとうございますにゃ! ここ寝子島に関わることなら、どんな些細な事でも歓迎ですにゃ!」
敦の言葉に、一同は一斉に瞳をキラキラと輝かせました。いぬでもねこでもない、同じ人間にそれをされた時の圧力は想像に難くありませんが、引き受けてしまえば後には退けません。
「そうだな、まずはお前たちが知っている寝子島の情報を教えてくれ。そうでなけりゃ始まらん」
「はいにゃ! まずマタタビは、この世界では通貨にならないと学びましたにゃーん!
でも、是非ともこの寝子島で『お買い物』がしたいから、何とかして欲しいにゃーん!」
「……マジかよ……」
乗りかかった船は思った以上に重く、敦には今にも沈むかも知れないと思われました。
それでも、困った存在を見捨ててはおけません。敦は、強く腹を括ったのです――
お久し振りです。冬眠と申します。
この度はシナリオガイドに、穂村 敦様にご登場いただきました。誠に有難うございます。ご縁がございましたら、是非ご自由にアクションを掛けていただけましたら幸いでございます。
それでは、以下より状況内容を説明させていただきます。
現状
・現在、異世界のるつぼと化している寝子島。そこに繋がっている世界の一つ『いぬねこの国』という世界から、その住人である『いぬ』と『ねこ』という種族が、好奇心いっぱいに寝子島観光へと訪れました。
現在の外見は人と何ら変わりませんが、異世界の住人故に、寝子島の人間社会の常識は『聞きかじった程度』でしかなく、自由に放置させるには少し危なっかしい状態です。
・危ないので単独行動を控えて数匹(数人)単位で行動しよう、とは決まっていますが、逆にそれ以外の行き先もやりたい事も、何一つ決まっていないようです。
・しかしながら、このままでは先行き不安どころの騒ぎではない――いぬねこたちも、それを自覚しているらしく『誰か、ツアーコンダクターとして、寝子島を紹介してくれる人はいないだろうか』――ちょうど、そのような話をしていた最中の出来事となります。
▼『いぬ』と『ねこ』ってなに?
・シナリオにごく稀に登場する、見た目は二本足で歩く犬と猫です。
今回は、異世界からの摂理に則り、全員いぬやねこではなく、服をきちんと着た人間の姿をしています。
・好奇心ハツラツで元気いっぱいですが、知識と知恵はあまり鋭いとは言えません。今回は、人間の男女の姿をしたいぬねこもいますが、外見不相応の行動に出ることもあります。
基本的に、何でも物事を信じやすく、余程のことがなければ疑うこともあまりありません。
どうやら個々の性格によってかなり知識や精神年齢も異なるようです。
・【ハロウィン】いぬねこ合わせてハロウィンパーティ!!
などに登場しております。(シナリオのご閲覧はいただかなくとも、今回のシナリオには殆ど関係なくご参加いただけます)
何ができるの?
・人の姿をしていますが、いぬ・ねこにとって寝子島は、目に見えるもの全てが新しい『新世界』といっても過言ではありません。
そんな彼らに、あなたが【自分の暮らす、寝子島の良い所】を、ツアーガイドとしていぬねこたちに教えて回ることができます。
・場所も、行動も、何を教えるかも、完全自由に行っていただけます。
※いぬねこたちは、一応ですが流通が可能な金などの貨幣の代替になるものを持っています。寝子島の現代通貨を手に入れる事も可能の為、PC様がお財布を切らなくてもお買い物が可能です。
・いぬねこたちは、それを体験談として学び覚えて、思い出話として【寝子島での体験】を自分たちの世界に持ち帰ろうとしているようです。
※自由に行動したいぬねこたちは、真夜中0時に再びエノコロ岬に合流して、元の世界へと帰る予定を立てているようです。
※ツアーガイドをしたい、いぬねこの性格年齢などご希望があればご自由にアクションにお書き添えください。可能な限りリアクションにて反映させていただきます。
リアルタイム8周年となりました【皆様の住む、この寝子島の素晴らしい場所】を全力アピールして、異世界の存在にも心に残るような思い出を作ってもらうというのは如何でしょうか。
それでは、皆様の素敵なアクションを心よりお待ち申し上げております。