楡宮 遠海は、ふと我に返った。
「あれ……」
いつの間にか、見慣れない赤い服を着ている。
まるでサンタクロースを模したような可愛らしいミニスカートに赤い帽子。
よく街頭で見かける、サンタコスプレだ。
「おかしいな、私……」
さっきまで、家で夕飯を食べていたはずだ。
だが気が付くと、小さなカゴを片手に寝子島シーサイドタウンに立っている。
目の前を往来する人たちを見ていると、ひとりでに足が動いた。
「マッチ……、マッチはいかがですか?」
道行く人たちに呼びかける楡宮は、いつしか悟っていた。
これは、神魂の影響による異常現象であること。
ここにあるマッチすべてを売り終えないと「家には帰れない」こと。
(……だったら)
かじかむ手に白い息をかけて指先を温める。
楡宮は、空中で軽やかに鍵盤を叩いた。
半透明のキーボードが空中に現れ、軽やかで幸せな音色を奏でる。
若い男女がふと足を止めた。
子供連れの母親も、仕事帰りのサラリーマンも。
「マッチですよ! クリスマスを温かく照らす、マッチはいかがですか!」
思い切って声を張り上げた楡宮に、誰かが「一つ頂戴」と声をかけた……。
楡宮さん、ガイドに登場してくださりありがとうございます!
ご参加いただく場合は、ガイドに関係なくアクションを提出いただければ幸いです。
『マッチ売りの少女』
神魂の影響により、何人かの島民が寝子島シーサイドタウンエリアに集められ、マッチ売りの少女の世界観をなぞった行動をとらされています。
物語を完遂させることで元いた場所へ帰ることができるようです。
配役を放棄してどこかへ行こうとしても、気が付くとまた元の場所に立たされてしまいます。
時間の概念はあるようで無く、役を演じ終えて元の場所へ帰されても、時間は少しも経っていません。
「配役」たちは、物語完遂条件を満たすことで元居た世界へ帰ることができます。
「傍観者」たちは、能力者の物語上はいわゆるモブに該当しますが、役割が定められていないため自由に筋書きを変えることができます。
お好きな立ち位置をお選びください。
配役:少女
可愛らしいサンタ風のミニスカートに赤いブーツのコスプレ姿での登場となります。
服にはそれぞれ「らしい」アレンジが施されていることも。
※配役としては「少女」ですが、男性の参加(惨禍)も歓迎です。
以下の物語完遂条件から好きなものをお選びください
:物語完遂条件
A:カゴに入ったマッチ(数は任意)をすべて売り終えること
→Happy End 1
B:道行く知人に運よく助けられること
→Happy End 2
C:マッチをすべて棄ててしまうこと
→Bad End 1
D:マッチを売ることが出来ず「家」へ帰り「父親」に殴打され気絶する
→Bad End 2
E:マッチに火を灯し、3つの幸せな幻を見たのち、眠りにつくこと
→True End
F:~自由な発想お待ちしております~
Fを選択した場合、Happy EndかBad Endかいずれの結末を迎えるのかご記入を忘れずにお願いします。
※いずれのEndでも死ぬことは無く、気が付くと元居た場所で目を覚まします
傍観者
物語世界に巻き込まれたものの、配役は与えられていないため、自由に動き回ることができます。
※原則として「マッチ売りの少女」となったPCとペアでの行動を想定していますが、NPCのマッチ売りの少女を自由に想定して交流をするアクションも歓迎です。
物語「マッチ売りの少女」
神魂の影響に巻き込まれたPCのみなさんの脳裡に、鮮明に以下の文言がよぎります。
むかしむかし、あるところに、貧しい少女がいました。
少女は父親に言いつけられ、マッチを売りに出かけました
一本も売れずに帰れば、きっとまたひどくぶたれるでしょう。
「マッチ、マッチはいかがですか」
しかし誰も足を止めてはくれません。
少女は温まろうとマッチに火を灯しました。すると、幻が広がりました。
最初のまぼろしは、暖かなストーブでした。少女は喜んで暖を取ろうとしましたが、まぼろしはすぐに消えてしましました。
次のまぼろしは、美味しそうなクリスマスのごちそうでした。しかしそれもまた、少女が手を伸ばすとかき消えてしまいました。
最後のまぼろしは、優しいおばあちゃんでした。
「おばあちゃん、おばあちゃん!」
少女は祖母に泣いて抱き着きました。そうして少女のたましいは、天高く昇っていきました。
神魂の影響に巻き込まれたPCのみなさんは、この物語を完遂させないと元居た世界へ帰ることができないのだと理解できます。