「いいえ、俳優さんですわ!」
「いいや、監督だね」
「むきーっ、にーさんのわからずやー!」
「…………?」
ケンケンゴウゴウ。シネマカフェ『クランク・イン』の店先を通りがかった
佐藤 英二は、見覚えのある顔がふたつ、なにやら言い合っているのを見つけて首を傾げました。
くるり、嬉野 エマと嬉野 七海は英二を振り返り、まくしたてます。
「誰だって、お気に入りの俳優さんが出演しているとなれば、観たくなるでしょう? 観たくなりますわよね?」
「えっ……ぼ、僕ですか?」
「だからお前は素人なんだ。豪華俳優陣けっこう、巧みな演技けっこう、でも彼らを演出するのは監督だろう? ねえ、君?」
「えっ、あ、はい? ええっと……?」
どうやらふたりは、観たい映画を探すときに、何を重視するか? で意見を戦わせているようです。
「魅力的な俳優さんが画面に映るからこそ、素晴らしい演技をしてくれるからこそ、人は映画を観たいと思うのですわ! そうでしょう?」
「映画作りを取りまとめる監督がいるからこそ映画は完成するし、その過程で生まれる監督ならではの色が映画には反映されている。それが大事なんだ、そう思うだろう?」
「あの。えーっと……」
あまりにも唐突な問いに、もちろん英二は困惑してしまいましたけれど。
むむむとしばし考え込んだ後に、
「ど、どっちも大事、じゃないかな……? それに俳優さんや監督さんだけじゃなくて、脚本家がいないとストーリーができないし、音楽家がいないと曲もなくて味気ないし、カメラマンや音声の人だっていないと困っちゃうし……」
そう、映画はひとつの役職が作るものではなく、ましてやひとりの力で完成するものでもなく、様々な分野のエキスパートが力を合わせるからこそ、素晴らしい作品が出来上がるのです!
といったことを英二が控え目に語りますと……がっし! ふたりに手を掴まれまして。
「確かにその通りです! さすがですわー!」
「うん、まったくその通りだよ。さすがだね」
「えっと、はい。ありがとうございます……?」
「そんな映画通の君にピッタリの映画があるんだけど、良かったら見ていくかい」
「映画通のお客さまならきっと気に入っていただけますわよ! ねっにーさん」
「そーだね、妹」
……なんだか、上手く乗せられているよーな気がしますけれど。
「まあ、寄っていくのも悪くはない……かな?」
そんなわけでして、シネマカフェ『クランク・イン』は、今日も元気に営業中であります♪
墨谷幽です、よろしくお願いいたします~。
佐藤 英二さん、ガイドへご登場いただきありがとうございました!
(ご参加いただける場合は、ガイドのイメージに関わらず、自由なアクションでどうぞ!)
このシナリオの概要
シーサイドタウンの一角にて営業中の、シネマカフェ『クランク・イン』。
その名のとおりに映画づくしのお店で、店内のスクリーンでは常になにかしらの映画が上映されています。
上映される映画は、洋画に邦画、比較的新しい映画に古めの映画も、名作からB級映画までいろいろです。
映画のポスターやパンフレット、雑誌、その他映画関連グッズなども豊富に取り揃えられています。
お店では、大画面で映画を見ながらコーヒーや軽食をいただいたり、
通常の喫茶店のように自由に過ごしていただくことができます。
店内では、普通におしゃべりしていただいて構いません。あくまで、『映画も見られる喫茶店』なので。
店員を務めているのは、キッチン担当の兄とフロア担当の妹の似てない兄妹。
どうやらアルバイト店員のようですけれど、ふたりで店を切り盛りしています。
ご注文はお気軽にどうぞ。コーヒーはなかなかのお味のようですよ。
また、話しかければおしゃべりの相手にもなってくれるでしょう。
店内には個室もあり、『普通の個室』と、猫カフェならぬ『猫部屋』があります。
専用のお部屋で、ゆったりまったり過ごしたり。
猫部屋に飼い猫やお気に入りの野良猫ちゃんを連れ込んで、いっしょに映画を見たり。
自由なスタイルで、映画をお楽しみください。
アクションでできること
カフェでできることなら、なんでもアクションかけていただいて構いません。
なにか注文したら、あとは自由にお過ごしください。
メニューは、一般的な喫茶店にあるものなら大抵あります。
もちろん、映画には欠かせないポップコーンも!
なお、スクリーンで上映されている映画を見るほか、
お好きな映画をチョイスして、1~2人用の個室で鑑賞することもできます。
ゆったりソファでくつろぎながらお楽しみください。
また、希望者はアルバイトとして働くことも可能です。
キッチンかフロアをお選びください。
<今回の上映作品>
●『超脱走』
戦時下のヨーロッパにて、捕虜収容所からの脱走を試みる不屈のオス猫たちの生き様を描く、普及の名作。
●『アニー・ポーターとパンダの石』
ベストセラーを映画化。伝説の魔法使いの娘アニーに降りかかる不思議な出来事。記念すべき第一作。
●『七匹の侍』
戦国時代の末期、盗賊の被害に怯える貧しい農村を救うため、七匹の動物たちが立ち上がる。名作時代劇。
※上映時間はお店の前に掲示されているので、合わせて来店すれば最初から鑑賞できます。
※個室を利用する方は、上記以外にも、お好きな映画を指定して構いません。
NPCについて
○嬉野 七海
キッチン担当の兄。無表情で不愛想、めんどくさがりですが、調理の腕は確かなようです。
○嬉野 エマ
フロア担当の妹。不器用、ドジ、要領悪しなポンコツながら、明るく元気で愛想良し。
○胡乱路 秘子
バイト帰り。相席OK。
○牧 雪人
塾帰り。相席OK。
その他のNPCも、登録済みのキャラクターでしたら誰でも登場可能です。
また、墨谷のシナリオに登場したNPCでしたら、登録・未登録問わず登場OKです。
ただし、不自然でないシチュエーションに限ります。
以上になります。
それでは、ご参加をお待ちしております~!