「……あちい……」
もう10月だというのに、何故か暑さがぶり返したとある日。部活で汗を流した帰り道、
冴木 竜司は汗を滴らせながらぼやく。
10月とは思えない記録的な暑さとなり、道行く人々の目は虚ろ。熱中症だろうか、ひっきりなしに救急車のサイレンも聞こえてくる。
竜司は手首で汗を拭い、忌々しそうに空を見上げた。
「勘弁してほしいぜ、まったく」
暑さは夜半過ぎまで続くという予報だ。今夜も寝苦しくなることだろう。
うんざりとしながら猫鳴館の自室へ戻る。
「ん?」
すると、なにやら竜司宛てに荷物が届いていた。
「なんだこりゃ?」
冴木 竜司 様
あなたは我が社の新製品、快眠枕『ねこたん!』のモニターに選ばれました。
おめでとうございます!
『ねこたん!』で眠れば快眠間違いなし!
あまりの気持ち良さに、素敵な夢を見られることでしょう。
ぜひ、お試しください!
特に応募した覚えもなかったが、どうやら枕を試用して使い心地をレポートしてほしい、ということらしい。
ダンボール箱にはそんな説明を記した紙っぺらが一枚と、確かに枕が入っていた。
快眠枕『ねこたん!』とやらは、夏は涼しく快適に、冬はあったかぽかぽかとした快眠を提供してくれる、魔法の枕。との触れこみで、持ち上げてみると確かにもちもちとした感触は手に心地よく、ひんやりとして涼しげだ。じりじりと寝苦しい夜も、快適に眠ることができそうに思える。
「へえ、こりゃいいな!」
竜司も高校三年生。忙しい時期であるし、夜もぐっすり眠れないとなれば、バテてしまう。
枕は無償でもらえるというし、試してみるのもいいだろう。
「あっちいけど、この枕がありゃぐっすり眠れるかもな。寝るのが楽しみになってきたぜ♪」
……しかし、彼は知る由もなかった。
実はこの快眠枕『ねこたん!』に、神魂の影響が満ち満ちていることを。
「……あれ?」
その夜、彼は夢を見た。
「どこだここ? それに俺、なんでこんな、社会人みたいな格好してんだ?」
『ねこたん!』を枕に眠ると、垣間見るのは、
10年後の未来の世界。
ただの夢ではない。
夢の終わり……すなわちエンディングを見るまで決して目覚めることのない、過酷な人生シミュレーションの始まりであった!
「どいひーーー!!」
こんにちは、カターレです。よろしくお願いします。
概要
ある日、あなたの元に、覚えのない荷物が届きます。
あなたは、快眠枕『ねこたん!』の試用モニターに選ばれたのです!
『ねこたん!』には神魂が影響しているようで、一度手にしたが最後、
それを使って眠らなくてはいけない気分になってしまいます。抗うことはできません。
『ねこたん!』を使って眠ると、10年後の未来の夢を見るようです。
学生は社会人になっていたり、社会人は出世したり親になったり老後を迎えてたり、することでしょう。
そして夢の中では、10年後に訪れるかもしれない、解決困難なミッションが発生します。
・引っ込み思案な僕だけど。10年待たせた彼女に、今日こそ告白する!
・取引先への大事なプレゼン。これに失敗したら、自分は終わりだ……!
・スポーツ選手として活躍してる私。今日の試合で負けたら、引退よ!
・結婚前の挨拶に彼女の親を訪ねると、俺の苦手なトマトに誇りを持つ農家。た、食べられるか?
こうした重要な局面を乗り越えることができれば、夢はエンディングを迎え、
無事に起床することができます。
ただし、もし失敗してしまったら……あなたの目が覚めることはありません。
夢の中で何度も、何度も、何度もミッションを繰り返し、
成功するまで1日でも1週間でも1ヶ月でも、延々と眠り続けることになるのです!
もしミッションを無事クリアすることができたなら、翌朝には最高の目覚めが待っていることでしょう。
アクション
★10年後の自分
10年後の自分がどんな職業についているか、どんな生活をしているか、
自由に考えてみてください。
必ずしもその道をたどるとは限りませんので、突拍子もない未来でもOK。
★ミッション
ミッションはいずれも、PC当人にとっては解決しがたい、困難な課題になります。
はたから見たらたいしたことのない、ちっぽけな課題でも全然OK!
あなたが挑むことになるミッションの内容や、そうした困難をどう乗り越えていくのか、教えてください。
NPCについて
登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
夢の中なので、10年後のNPCの立場や自分との関係性など、自由に設定しても構いません。
それでは、皆さんのご参加をお待ちしています!