日も暮れ始め、宵が訪れようとしている頃だった。
「……その人を離しなさいっ!」
吉住 志桜里が出くわした光景。そこでは、危急の事態が進行中のように見えた。
志桜里は迷わず飛び込んだ。武術の心得があったし、放っておくことはできない。
一見して、巨体の男がOLらしき女性をとらえ、今にも暴力を加えようとしている……そんな場面に思えた。
しかしよく見ると、どこか、何かがおかしい。
「これは……一体!?」
ぐるりとこちらを向いた巨漢は、人間では無かった。
そいつは、長毛の猿のように見えた。しかしその顔には、眼球が一つしかない。
手には薄汚れた鉈を握り締めている。
太い腕に掴みあげられている女性の様子も、尋常ではない。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……あのときは仕方なかったの……ごめんなさい、許して……許して……!」
怯え、取り乱し、がたがたと激しく震えている。
『ちっ……気を付けな。こいつは面倒だぜ』
唐突に、
テオの声が脳裏へ響く。
『こいつは覚(サトリ)のバケモノだ。得意技は心を読むこと。
人のトラウマをほじくり返し、幻影を見せている隙に攻撃してくるぜ。
心を強く持て、呑まれるな』
「人の心を……!」
志桜里は憤慨する。あの女性は一体、何を見せられたのだろう。何がトラウマだったのだろう。
とはいえ、心配ばかりもしていられない。武道の構えを見せた志桜里を警戒したのか、一つ目がぎょろりとこちらを向いたからだ。
「やるしかないようですね……お相手いたします!」
こんにちは、よろしくお願いします!
吉住 志桜里さん、ガイドに登場してくださりありがとうございました。
ご参加いただける場合は、ガイドに関わらず自由にアクションをかけてください。
概要
とある夜、寝子島に奇妙な怪物が現れました。
毛の長い一つ目の猿のようなそれは、人の心を読む能力を持つ、「覚の怪物」です。
さらに、怪物はあなたの心の奥底に眠るトラウマを引き出し、幻影として見せる術までも使います。
また、巨体ゆえの豪腕とタフさに、俊敏さも持ち合わせ、武器として鉈も所持しています。
トラウマを見せ、人の心を抉りながら攻撃してくる、恐ろしい怪物です。
強い意思の持ち主でなければ、抵抗することは難しいでしょう。
もれいびは、テオの呼びかけによって怪物の存在を知ることができます。
無自覚なもれいびやテオの声を聞かなかった場合や、ひとやほしびとは、
誰かから聞いて参加したり、突然に遭遇することもあるかもしれません。
重大な被害が発生してしまう前に、覚の怪物を排除してください!
アクション・備考
バトルをする以外にも、ひたすら逃げ回ったり、
PCさんがトラウマに打ちのめされる様子を描写するなど、
自由にアクションをおかけいただいて構いません。
アクションには、あなたのPCが負っているトラウマをお書きください。
特にないという場合は、幻影によって、何らかの恐怖症を植え付けられます。
なお、幻影は自分にしか見えない場合と、他人にも見える場合があるようです。
(PC同士の場合、他者の幻影が見えるのは、GAを組んでいる場合のみです)
覚の怪物はある程度の傷を負わせると、一時的に撤退して身を隠そうとします。
行動範囲は寝子島の全域に及びます。上手く追い詰めましょう。
ろっこんは自由に使用することができます。
ほしびとは、「星の力(虹)」のみ使用可能です。
以上になります。
それでは、皆さんのご参加をお待ちしています!