ちりん、ちりりんと風鈴の音。
透き通るような風鈴の音。
寝子島神社の境内で、真っ赤なほおずきが揺れている。
今日はお盆の前の「ほおずき市」。
「ほおずきはいかがー。厄除け、無病息災を願う縁起物だよー」
あちらでもこちらでも、浴衣の売り子が手招いている。
御巫 時子は、可愛らしい赤い果実を見て回りながら、ふふっと微笑んだ。
「ほおずきって……夏らしくて、素敵ですね……」
参道はほおずきの鉢植えや枝を売る露店のほか、風鈴だったりかき氷だったり夏らしい屋台が並んでいる。
「ほおずきって実の大きさに比べて中身が小さいので、『ごまかし』や『偽り』という花言葉があるそうですが……ほかに『心の平安』や『私を誘ってください』という意味もありましたね……」
――『私を誘ってください』。
時子はほおずき色に頬を染める。
小鳥が一羽、時子のそばに飛んできてぴちぴちと囀った。
鳥と会話できるろっこんのおかげで、時子の耳には何事か言葉に聞こえたらしい。
「……ええ、本当に……きっと素敵な日になるでしょうね……」
◆ ◆ ◆
「鬼の灯と書いて『鬼灯(ほおずき)』か」
その日
倉郷 子竜がフラリフラリと寝子島神社を訪れたのは、強いていえば散歩の延長、正確にいえば気が向いたから。
閑散とした普段の境内もいいが、たまにはこうして、にぎわう姿も悪くない。
「無病息災の縁起物たぁ、随分と大層な話じゃねぇか」
ふんとひとつ鼻を鳴らし、それでもつい、子竜が露店に足を止めてしまったのは、隠居暮らしの気楽さゆえか、それとも、たまには縁起もかついでみるかという、ふとあらわれた酔狂か。
◆ ◆ ◆
真っ赤な鳥居を背負うようにして、ハンドバッグ片手に立っている。
白いブラウスに紺色のカーディガン、同じ色のフレアスカート。
もともと長身なのにヒールのある靴、しかも鮮やかな赤い髪をしているから、人通りのあるなかでも彼女の姿は目立った。
やっ、と片手を挙げて、今道 芽衣子は細面の口元に笑みを浮かべる。
「とつぜん呼び出しちゃってごめんね。ひとりでお祭り、ってのも味気なくってさあ……」
そういえば彼女の髪色は、ほおずきにも似ている。
こんにちは。
寝子島神社で夏の風物詩である「ほおずき市」が開かれます。
御巫 時子さん、倉郷 子竜さん、ガイドへのご登場ありがとうございます。
もしご参加いただけた場合は、ガイド本文に関わらず自由にアクションを掛けていただいて大丈夫です。
寝子島神社のほおずき市
寝子島神社境内。
参道に沿って、赤いほおずきの鉢や房を売る露店が並び、
浴衣を着た売り子たちが「ほおずきいかがですか」と呼び声をあげています。
屋台の軒に下げられた風鈴の音が響き渡り、
かき氷などを売る屋台も出て参道は賑わっています。
もともとほおずきは咳止めや冷え性などの薬として重宝されてきたとか。
夏の風物詩として、また、お盆飾りに買い求める人も。
ほおずきは、いろいろなかたちで売られています。
・地面置きの鉢植え
・風鈴のついた籠入り鉢植え(軒先から吊るすことができる)
・ほおずきの手折りの枝
・ひごほおずき(たけひごに一つだけほおずきの実がついている) など。
寝子島の住人はもちろん、ほしびとさんだって大歓迎です。
大切な人を誘って、一緒にほおずき市を楽しんだり。
たまたま通りがかってふと興味を惹かれて、なんとはなしに覗いてみたり。
どんな形でも構いませんので、自由にお楽しみください。
アクションについて
【A】ほおずき市をお客として楽しむ
ご自由に境内を散策してください。
(例)ほおずきを買い求める、お友だちと・デートで境内をそぞろ歩く、
風鈴の音を楽しむ・風鈴を買う など
【B】ほおずき市を売り子として楽しむ
浴衣を着て「ほおずきいかがですかー」とお客さんに声を掛けます。
ほおずきの謂れを添えて声のかけ方を工夫したり、
上記にない、ほおずき関連の商品・グッズなどを考えて売っても構いません。
この場合、どんな商品・グッズを売るつもりか
コメントページで一言お知らせいただけると
他のPCさんもアクションを掛けやすいと思います。
【C】その他の屋台を出す
自分のお店の屋台を出したい方は、どんなメニューで出すのか、
コメントページで一言お知らせいただけると
他のPCさんもアクションを掛けやすいと思います。
登場NPCについて
登録NPCなら、特定のマスターさんが担当しているキャラクター以外は登場できます。
ただし、不自然な形での登場は採用できない可能性もありますので、ご注意ください。
(今道 芽衣子は登場可能です)
それでは皆様のご参加お待ちしております。