「と、いう訳で今回は田植えや」
「ちょっと待って」
すっかり田植えスタイルな
牛瀬 巧に
小倉 もなかは思わずそんな声を上げた。場所は寝子島のどこかなのは確かだが、いつのまにか召還されたようだった。
周りを見れば、同じように召還されたと思わしき人々が己の服装に戸惑っているようだ。しかし一部の人間は何故か水着姿だったりする。
「これは夢……なのかしら?」
もなかが首をかしげていると、ばびゅんっ! と勢い良く何かが飛んで行く。それを見送っていると……?
「すいませぇ~ん!」
田植えスタイルの、小柄な若い女性が息を切らせてやってきた。
「私は志村霧乃といいます。駆け出しの学者でして、寝子島で農作物の実験農場を営んでいます~。病気や塩害などに強く、美味しい野菜やお米を作るために研究する場所です」
霧乃と名乗った女性は、簡単に説明しその上で「ところがちょっと大変なことになっちゃいまして……」と少し困った表情になる。
霧乃曰く、田植えのシーズンだというのに稲の苗が暴れだし研究仲間を滅多打ちにして逃げ回っているという。それ故に軽くても全治一週間、酷いものは全治一ヶ月の怪我を負っているそうだ。
「でも、そろそろ植えないと実験計画が崩れてしまって……。大変申し訳ありませんが、皆さんのお力をお貸しいただけませんでしょうか?」
「せやけど……走り回る稲とはなぁ」
「もしかして、アレ?」
霧乃が眼鏡を正してため息混じりに頼む。巧はさてどうしたものか、と考えていると……、もなかの視界に
根っこでちょろちょろ歩き回る苗が入った。
「あれです! アレを捕まえて……」
霧乃は咄嗟に飛び掛り、服が汚れるのも構わず苗を掴み取る。そして、水を張った田んぼに「ちぇすとおおおっ!」と、苗を突き刺した!!
あっけにとられる巧ともなか。霧乃は額の汗を拭い、穏やかに言った。
「……と、こんな具合に苗を植えるとおとなしくなるのです。何故か妙にすばしっこい上に暴力的な個体が多いので、よろしくお願いします」
霧乃はそういうと、泥のはねた眼鏡を拭きながら
「捕らえた苗を私に投げてくだされば田んぼにぶっさしていくので、それでも構いませんから」
と笑顔でいった。
と、その時である。どこからともなく白猫が現れた。……ミラである。
「実は、神魂が宿ってしまった苗が寝子島中で暴れてしまっています。今日の日没までにすべての苗を捕まえて植えないと……日本中の苗が動き出してしまいます!」
だから、
謎の、動き回る稲(の苗)。
それらを捕まえて田植えをしなければ現実世界でも田植えが(何故か)出来ない。
そんな声が脳裏に突き刺さった巧は、「えらい面倒なことになったなぁ」と呟いた。
果たして、苗は捕まるのだろうか?
菊華です。
田植えのシーズンですね!!
今回は、エクストリーム田植えです。動き回る稲の苗をとっつかまえてください。
概要
九夜山にある農作物の品種改良実験場……通称『実験農場』が今回の舞台です。
そこの田んぼでトラブル発生! 現場に急行せよ!!
<発端>
寝子島の九夜山・三夜湖付近(E―5付近)にある実験用の農場に準備された田んぼの苗が、神魂の所為で動き出し、暴れています。
<現状>
稲の苗が神魂の所為で暴れているため、田植えを行える研究家さんがほぼ全員全治一週間から一ヶ月の怪我を負って動ける状態ではない。だが、はやく田植えをしないと実験計画が……。
因みに、皆さんは神魂の影響か田植えに適した服装などにチェンジした状態で実験農場にやってきました(勿論普段着でもOKです)。
※リアクションは午前10時の描写からスタートします。
<動く苗>
見た目はごく普通の稲の苗。だが、根っこで這い回り、掴もうとすると飛び上がって強烈なアタックをしてくる。中には爆発する粉を振りかけてくる物もいる。
ただし田んぼに植えたらおとなしくなる。
とっ捕まえてダイレクトに田んぼへ植えるか、霧乃に投げ渡し植えてもらうことで沈めることが出来る。
※一度田んぼに植えた稲は動きません。
みなさん、力を合わせて稲を捕まえましょう。
今回の舞台について
全部で4つのエリアに別れます。次の中から1つだけ選び、アクション冒頭に記載願います(複数選択の場合は出番が減ります)。
1)水源地付近
実験農場ちかくの水源。
木陰も涼しい場所であるが、道がぬれていて滑りやすい場所です。
稲たちは小川で涼んだりしているようで、邪魔すると顔面に飛び掛ってくる模様。
2)三夜湖付近
この辺りの田んぼでは比較的甘いお米が育ちます。
……が、現在はなぜか苗たちが田んぼを壊さんと畝に根っこで穴をあけようとしています。
一部は三夜湖へ泳ぎに出かけている模様。
3)登山道
ロープウェーの駅まで続く道です。
何故かそのあたりまで出ては登山客を驚かせている模様。
身体が乾いてきているので、早急に回収しないとピンチ!!
4)拠点
田んぼの他、様々な野菜や果物を育てている実験農場の拠点です。
木造二階建てで土間が広く、竈や五右衛門風呂もあります。
そこにも苗は入り込んでおり、勝手に農具やら研究員のバイクなどで遊んでいます。
>どれだけの苗を捕まえればいいの?
ともかく、沢山いるのでどんどん捕まえては植えてください。
日没までに。
でなければ何故か日本中の田んぼの苗が暴れだして大変なことになるそうです。
皆、がんばれ!!
蛇足:雨が振ると、苗たちはテンションが上がります。
また、天気予報では午後から下り坂。降水確率は90パーセントだそうです。
登場するNPC
・牛瀬 巧
田植えスタイルで、あちこち出現します。
何かやってほしいことがあればアクションに記入してください。
・志村 霧乃
実験農場の責任者。
とある大学の農学部で農作物の研究を行っている、胸が平坦な若い女性。
彼女以外のスタッフは全員怪我をして動けないため、必死に苗を追っている。
因みに蛇足だが彼女は「もれいび」である。
ろっこんは「晴れろ」と叫ぶと雲がはれる「サニーレディ」。
・ミラ
何故か苗に追いかけられます。
彼女を苗から守らないと……?
それではよろしくお願いします。