夏の気配を感じさせる六月の上旬。
すっきりと晴れ渡った空の下、八重歯を覗かせた
古尾 桐子が駆け抜ける。
「イヤッフゥー! 日曜日がきたッスよー!」
待望の夏休みに突入したかのような勢いで島内を走り回る。駄菓子屋や公園を目にする度に足は止まりそうになり、慌てて顔を左右に振った。
「まだまだ、なにかあるはずッス!」
笑顔で辺りを見回す。
ぷにょんっ。
頭に柔らかい物が当たった。
「おっ、なんか落っこちてきたッスか?」
足を止めた直後、ぽよんと丸っこい物が地面に転がった。体勢を立て直すと近くにいた桐子に円らな瞳を向けてきた。同時に大きな口をパカッと開き、笑っているようにも見える。
「これは……スライムっぽいッスね~」
少し顔を近づける。涼しげな色合いのスライムはぷるぷると身体を震わせた。
その時、頭の中に
テオの声が聞こえてきた。
『ん? なんだ、
ゼリンじゃねーか。なんでこんなところにいるんだ?』
「ゼリーッスか? 色からするとラムネ味ッスね」
『ゼリーじゃねーからな。ゼリンを食うんじゃねーぞ。こいつは最近、天界で人気のあるペットだな。
犬や猫みたいなもんで害はねえよ。しばらく構ってやれば、勝手に飼い主のところに帰るだろ……ふわぁふ』
欠伸のような声を最後にテオの声は聞こえなくなった。
「どうするッスかねー」
「ぷにゅ! ぷにゅっ!」
ゼリンは愛らしい声で飛び跳ねる。
「遊んで欲しいッスか? それともお腹が空いたんッスかね~?」
「ぷにゅにゅ! ぷにゅにゅっ!」
動きを速めて桐子の周囲を跳び回る。
「よーし! いっしょになんかするッスよー!」
ということで日曜日の寝子島に
ゼリーではなくてゼリンが降ってきました!テオによりますと天界のペットらしいです。島には色んな物が落ちてきます。
島の伝統芸(?)なので違和感は全くありませんよね(にっこり)。
古尾 桐子さん、シナリオガイドへのご登場、ありがとうございました。
当シナリオに参加される場合、ガイドに縛られることなく、自由なアクションでお願い致します。
以下に詳しい内容を書いていきます。少し長くなりますがお付き合いください。
概要
寝子島のあちこちに『ゼリン』というスライムっぽい生き物が落ちてきました。
ゼリンには色々な種類がいます。どの個体もサッカーボールくらいの大きさで、
透き通ったゼリー状の身体をしています。目や口もあってそれなりに感情を読み取れることでしょう。
大体の個体は人に慣れて可愛らしく、動物嫌いなPCであってもうっかり気を許してしまう魅力が備わっています。
あなたの目の前にもゼリンが落ちてきました。
しばらく遊んであげたり、適当に美味しいものをあげたりして構ってあげれば、
その内に満足して元の居場所に帰っていくようです。
それまでは手触りを楽しんだり、抱き締めたり、ありとあらゆる方法で相手をしてあげてくださいね。
ゼリンについて
あなたが見つけた『ゼリン』について教えてください。
ゼリンにはたくさんの種類がいて、それぞれに個性的です。
<ゼリンの例>
・緑色: 真円に近い。マスカットゼリーが好物。甘えたがりで抱っこされるのが好き。
・赤色: 猫耳みたいな突起が付いている。のんびり屋でひなたぼっこを好む。
・真っ黒:真四角の立方体。ころころと転がって動く。悪戯好き。
・迷彩柄:とろけたような不定形のゼリン。日陰のじめじめしたところが落ち着く。
・真っ白:顔の横に天使の羽みたいなものが生えている。PCの頭の上に載りたがる。
その他、上記にない特徴のゼリンがいても構いません。
あなたの好きなゼリンを自由に考えてみてください。
備考
・ゼリンが一般の人に見つかると、少し怪しまれてしまうかもしれません。
誰かが連れている時は、周りにはきっと「変わったぬいぐるみだなぁ」くらいに思って貰えそうです。
見つけた場合、積極的に保護してあげると良いでしょう。
・ゼリンたちは特に何もなくても、一日が過ぎれば元の場所に戻っていきます。
・テオは、リアクションには登場しません。
ゼリーの、じゃなくてゼリンの説明は以上になります!大人は童心に戻り、子供は同じ目線で戯れる。少し変わった一日になるかもしれませんね。
PCによっては隠された一面が見られるなんてことも!
可愛らしいゼリーと一緒に一日をお過ごしください、あれ?