星幽塔の第十階層には、世界じゅうの本のほとんどが集まった図書館『本の迷宮』がある。
誰でも利用でき、さまざまな歴史などを調べることができる、まさに『叡智の宝庫』だ。
一階から地下五階まであり、膨大な量の本にあたることができる。地下では棚が勝手に移動したりするため案内役が必要なのだが、星幽塔の文明を語るうえでとても重要な施設だ。
——しかし。
近ごろ、所蔵されている本の中で、「文字が勝手に踊りだす」というような例が散見されるようになった。
文字があっちこっちに歩き出したり、眠るかのように横になっていたり。まるで一文字一文字に命が吹き込まれたかのよう。
『本の迷宮』の管理者である麗人・アストライアは、これに興味を抱いた。
「本が読めなくなったり、内容が変わってしまうのは困りものですが……。なぜこのようなことが起こっているのでしょう? 興味があります」
その問いに、傍らの少女・スピカが答える。
「まずは原因を突き止めないといけないにゃ」
スピカは猫目で、可愛らしい猫耳、猫尻尾を揺らし、長靴をはいている。
スピカの提案に、アストライアは頷く。
「以前、地下書庫に『黒い影』が現れて悪さをしていたことはありましたが……。その脅威は取り除いたはずです」
「『黒い影』ではないはずにゃ。きっと、新たな脅威にゃ。実はひとつ、心当たりがあるにゃ」
「そうなのですか? でも『字踊り』が以前のような『脅威』かどうかは、まだわかりませんよ?」
「……? 本が読めなくなるのはよくないことじゃないかにゃ?」
「そうですけれど、でも、文字が踊るのって——」
アストライアは儚く微笑む。金色の髪を上品に揺らし、言う。
「——なんだか、楽しいじゃないですか」
「楽しい……にゃ?」
スピカは呆気にとられた。だが、それでこそアストライアという気がした。
「じゃあ、『字踊り』の善し悪しはひとまず脇に置いて……まずは調査からにゃ?」
「はい。そうしましょう」
「悪いものだったら、もちろん排除するけど、いいにゃ?」
「もちろんです」
その摩訶不思議な現象『字踊り』の噂は瞬く間に広まり、興味を持った者たちは『本の迷宮』へと赴いた——。
こんにちは。リルカです!
以前から告知していた通り、星幽塔のシナリオです!
場所は第十階層『本の迷宮』です。
図書館のシナリオ、書いてみたかったんですよねー。
以前あったシナリオ(天村花海マスター。http://rakkami.com/scenario/guide/1622)では、『黒い影』が本を蝕み、それを取り除くというストーリーでしたが、今回は文字が踊りだす=『字踊り』という現象にまつわるお話です。
『字踊り』について
『字踊り』という呼称は「本の中の文字が動きだす現象」の総称です。
現在確認されているのは以下の三種です。
・字踊り……文字が踊り出す現象。
・字鳴り……その文字が持つ音を発する現象。(例:「文」の字が「ブーン」と鳴る等)
・字眠り……文字が横になって眠ってしまい、読者がその意味を認識できなくなる現象。
しかし、まだまだ種類がありそうです。
「本の迷宮」の管理者である金髪の麗人・アストライアは、『字踊り』の現象に興味を抱いており、どのようなパターンがあるのかを知りたがっています。
獣人の少女・スピカは、その原因に少々心当たりがあるようです。
スピカの予想が正しければ、『字踊り』は地下五階にある、『とある一冊の本』が原因のようです。
アストライアは『字踊り』を楽しんでいる節がありますが、本を読むのに支障があるため、原因を発見した場合は、やはり取り除く必要があります。
プレイヤーの行動
●今回の主な目的は2つです。
①『字踊り』を蒐集・記録し、アストライアに伝える
②スピカとともに『字踊り』の原因を突き止め、排除する
①の場合、いろいろな本を開いて、さまざまな『字踊り』を探します。
どういったジャンルの棚を見るかなども指定できます。
一階を探すか地下書庫を探すかを選ぶこともできます。
②の場合は、『字踊り』の原因を探りながら、地下五階にあるという『とある一冊の本』を目指すことになります。
一階にはアストライアがいます。
地下書庫はスピカの案内が必要なため、スピカと行動をともにすることになります。
もちろん、これ以外の行動でも大丈夫です。(例:単に一階で本を読みたい等)
『本の迷宮』について
『本の迷宮』は一階から地下五階まであります。
一階には、星幽塔の歴史や地理、伝説のお宝などについての本があります。
案内図がありますが、たまに書架が動き出し、道に迷うことがあります。
ほしびと以外の人にも読める本が多いです。
地下書庫は、一階より薄暗く、書架が動いたり別の階層からワープしてきたりするため、スピカに道案内をしてもらう必要があります。
地下書庫の本はほしびとでないと読めません。
●登場NPC
・アストライア
おとめ座のアステリズム。
色白で、首まで覆われた長いドレスをまとった麗人。
・スピカ
猫耳猫尻尾の獣人の少女。
地下書庫の案内をしてくれます。すばしっこい。
星の力
星幽塔にいると、星の力 と呼ばれる光が宿ります。
★ 基本的な説明は、こちらの 星の力とは をご確認ください。
星の力やその形状は、変化したりしなかったりいろいろなケースがあるようですが、
このシナリオの中では変化しませんので、このシナリオではひとつだけ選んでください。
ひとともれいびにはひとつだけですが、
ほしびとには、第二の星の力(虹)もあります。
★ 虹についての説明は、こちらの 第二の星の力 をご確認ください。
アクションでは、どの星の光をまとい、その光がどのような形になったかを
キャラクターの行動欄の冒頭に【○○の光/宿っている場所や武器の形状】のように書いてください。
衣装などにこだわりがあれば、それもあわせてご記入ください。
衣装とアイテムの持ち込みについて
塔に召喚されると、衣装もファンタジー風に変わります(まれに変わってないこともあります)
もちものは、そのPCが持っていて自然なものであれば、ある程度持ちこめます。
※【星幽塔】シナリオのアクション投稿時、作物・装備品アイテムを所持し、
【アイテム名】、【URL】を記載することで、
シナリオの中で作物(及びその加工品、料理など)・装備品を使用することができます。
※URLをお忘れなく!!!
よろしくお願いします!