知っているだろうか。木天蓼大学(現木天蓼大学寝子島キャンパス)に伝わる二人のランナーの悲劇を――。
今から20年以上も前のこと。寝子島には木天蓼大学の寮がひとつあった。そこから本土に通う、優れた長距離ランナーが二人いた。彼らは互いをかけがえのない友として、またライバルとして認め合い、大学駅伝上位を目指して、いかなる天候の時にも切磋琢磨を続けていた。寝子島街道を二人そろって走る姿がよく見られたという。
だが、夢に向かって走る青年たちに待っていたのは残酷な未来だった。コンビの片割れが練習中に突然亡くなってしまったのだ。残された青年の心の傷は大きく、走ることさえ忘れてしまった。彼は失意のうちに大学を中退し、島を去って行ったのだそうだ。
以来、寝子島街道を明け方に一人走り続けるランナーの霊が出るという噂がささやかれるようになった。速さを求めながらこの世を去った無念がそうさせるのか、彼は人間とは思われぬ恐るべき速度で道路を走ってゆくのだという。幽霊とすれ違ったという人々は、みな口々にこう語っていた。
「幽霊は『また一緒に並んで走りたい』とつぶやいていた」と……
【シナリオ概要】
寝子島の都市伝説、神速ランナーの幽霊に挑戦していただきます。
目撃者の情報から、ランナーには以下のような特徴があることがわかっています。(わからないという設定で参加することもできます)
・昭和を感じさせるランニングウェアを来た青年の姿をしている
・時速70kmぐらいで、299号線(寝子島街道)を西から東へ(本土方向に向かって)走っている。端まで行くと消え、また街道の西端に現れる
・走る時間は明け方、午前4時半~6時ぐらいである
・上記のコース、上記の時間帯にジョギングする者がいると、現れる
・恐ろしいことに、条件に合う人間が複数いた場合、同一のランナーがその数だけ出現し、猛スピードで駆け回る
・悪天候の日、特に雨の日によく現れる
・過去、並んで走ることに挑戦した者が何人かいたが、成功したものはいない。並走に失敗したものには小さな不幸が降りかかるという
・ランナーが出現後、乗り物で追いかけて並ぼうとした人は例外なく転倒させられている。車なら横転し、自転車やバイクなら乗った人ごと倒れる
・ランナーの夢を叶えてやれば、成仏できるのではないかといわれている
・ランナーが現れる理由は不明だが、目撃した者は対抗意識を感じたと証言している
メインロケーションは299街道の周りになるでしょう。都市伝説に自由な発想で関わってみてください。