朝も大分涼しさ少なに、春のぽかぽか陽気に人々も慣れたもの。
ぽかぽか。
ぽかぽか。
ぷかぷか。
…………ぷかぷか?
誰かがふと見上げた先には、風船がぷっかり。
何気ない景色の中に、彩りをちょこんと加えてあら素敵☆ なんて思う人もちらほらと。
よく辺りを見渡せば、街灯に仲良く並ぶようにプカリ。
緑増やした木々に引っかかるようにしてプカリ。
鮮やかな色の風船たちが、気付く人には気付く、気付かない人にはとんと気付かない、そんな場所にプカプカ浮いていた。
風船たちをまだ視界に捉えていない
蜂須賀 ルドは、大きな被り物した頭を隣りにぐいっと向ける。
「おぼろー、そっちも一口くれだぜ!」
「だからルドの好み考えたら、こっちの味が良いよーって言ったんよ」
「二人いるのに同じ味選んだらもったいないんだぜ。2種類味わえた方がお得なんだぜ♪」
「それ、俺のも食べる気満々大前提な考えさね……」
「だめにゃー?」
「急にぶりっ子しなーい」
猫頭がこってんと首傾げたのを、
霧谷 朧は見慣れた仕草で一瞥するに留めてから。
―― あげてもいいんだけど、ルドの性格考えたら半分以上食べられちゃいそう……なんだよねぇ……。
被り物したまんまどうやって食べてるのか、なんてもはや今更口には出さずに、違う心配を思案中。
朧の前髪奥の瞳が、自分の手の中のアイスと友人の手の中のアイス、交互に向いたその瞬間。
ひゅんっ
しゅぱっ
「……おんや?」
「おー!? 目にもとまらぬ速さってこのことかー? 神業交換だぜおぼろ―!」
「………」
「ってんなわきゃあるかーい! だぜ!」
何か言いたげな朧の視線受ければ早々に居たたまれなくなったルド、自己ツッコミ。
互いに、まだ手を触れていなかったアイスが瞬時に入れ替わったのを目にして、しばし悩んでいたその最中にも異変は起こった。
「待って……ルド。そこに居るんよね?」
「はあ? 当たり前なんだぜーっ、こうしてアイス持って横にいるのはどこの誰だと……、
っっうをおおお!? アイス浮いてるんだぜ!? つーか俺の腕はどこいったんだぜ!?」
「腕どころか、ルドの姿自体消えてるんだけどぉ」
「ほぉ……つまり、透明人間ルド様参上☆ だぜ」
物凄く大変な事態であるが、そこはろっこん所持する者たちの順応力か。
きゅぴん☆、とアイスが右に左に動いた(見えていないの忘れて、ルドが決めポーズ取った模様)
―― うん? ……ろっこん?
ここで朧、一つの可能性に行き着いた。
「ルド、『おしまい』って言ってみてー」
「え、なにが『おしまい』なんだぜ?」
言葉にされた瞬間に、すぅっとルドのいつもの姿が現れたのを見て、朧は確信する。
「……どうしてか、俺の力がルドに移ってるねぇ……」
「なんだと!? はっ、そういえばおぼろがやった瞬時交換、俺の力っぽいんだぜ!」
今気付いた! という勢いにのった被り物の中の声、謎はすっかり解けたようにもうすっきり。
しかして発動条件は成されていなかったはず……アイスも中途半端に見えてたし……と、まだ首を捻る朧。
そんな二人の頭のてっぺんから、突如ぷかぁっと膨らむようにして風船が顔を出した。
あれそれ何? とばかりに互いに相手の頭上の風船へ手を伸ばす。
途端、ぱちん! と音を立て二つの風船が割れたかと思うと、木漏れ日纏った霧のような淡い物体がゆらり。
そのまま吸い込まれるようにして、朧に、ルドに、降り注ぎあっという間に消えていった。
「な、なんだったんだ……だぜ」
「ん~……もしかして、ろっこん戻った、かもぉ?」
「どら、試してみるんだぜ」
ルドが自身の持つアイス、そして朧が持つアイスを視野に捉え力んだかと思えば、瞬時にまた互いのアイスが入れ替わった。
「おー……よく分からない事だったけど、元に戻ったなら何よりさね」
「いやまてまて!! 俺もう1回くらい透明になりたかったんだぜ!?」
「なってどうすんの?」
「決まってる!! 透明人間にしかできないあんなことそんなこと……!!」
「却下ー」
無念の雄叫びを大型猫もどきが上げているのを、へらりと笑って一蹴してから。
ふ、と朧はどこか遠くへ視線を向けた。
―― ……ルドみたいな人には、必要無い力さね……。
いつも本当にお世話になっております、蒼色クレヨンです。
蜂須賀 ルド様、霧谷 朧様、ガイドご登場頂きましてありがとうございます!
つい活き活き書かせて頂いてしまいましたがっ、万が一ご参加いただける場合は
勿論上記本文など全力スルーして、お気の向くままアクションをお練り下さいませ。
ろっこん風船 漂い中
「某方のろっこん、一度うちのコでも使わせてみたかった!」を可能にする趣旨なシナリオとなります☆
神魂の影響で、もれいびが持つ各「ろっこん能力」が一時的に本人から離れ、
風船となってふわふわプカプカ、街中を漂い中です。主にシーサイドタウン一帯。
赤、青、黄色、白から黒まで、あまり見た事無い色まで様々。
ろっこん風船(手持ち糸付):
・空までは上がっていかない模様。せいぜいの高さは家の2階くらいまで。
・風船本体をつつくと簡単に割れます。衝撃与えずとも自然に割れる場合もあります。
持って移動したい場合は、糸を持てば一応割れない模様。ただし、前触れなく突如割れる事も有り。
・風船が割れると、ろっこん能力の塊たる霧のような物が降り注ぎ、一番近くに居た人に吸い込まれます。
一時的にその人は、割れた風船が宿していたろっこん能力の力を使用可能。
・1度使用(またはある程度時間経過)すると、また霧となって体から抜け出ては風船の形を取り、再びぷかぷか飛んでいきます。
・風船ろっこん能力は、本来の持ち主の 発動条件無しに大抵が発動可能。
・同時に二つの能力を使う事は出来ません。
(持っていた風船二つが同時に割れた場合、どちらかの能力が体に吸い込まれ、吸い込まれなかった方は元の風船の形に戻ります)
時間帯は朝日が昇り始めた頃~夕方前頃まで。
夕焼け空になってくると、自然と風船たちは元のろっこん持ち主のところに戻っていきます。
さながらお家に帰るかのように。
ヒト・もれいび・ほしびと 各出来る事
<ろっこん風船の能力内容>
ご参加者様たちの中で、もれいびの方々の能力はもれなく風船になって出張中に。
よって、もれいびなご参加キャラ様のろっこんを確認した上で、使用してみたいろっこんと
どのような場面で使用するのか等をアクションに記載して頂く形になります。
その為、ご参加者様は誰かに自分のろっこんを使用される可能性があります事を、何卒ご了承下さい。
また、(もれいびさんが少なかった時の為に←)もれいびなNPCも数名巻き込まれておりますので、
下記にてご確認頂き、興味のあるろっこんを使用して頂いても可☆
アクションにあれば、そのNPC当人も登場可能です(ろっこんだけ借りて対面はしない、も勿論可)
・ヒト(ろっこんの存在を知る・知らない、に関わらず)
『ちょっと重い物持ち上げようとしたら、あれ!? ひょいっ、と一瞬怪力に??』など
ろっこん風船の影響を受ける事可能。
一度しか使用できない為か、夢か気のせいか、と思うかもしれません。
(これをきっかけに、『……何か不思議な力が存在する?』等気付く方向に持っていくのも良し)
何も気づかずに、たまたま見つけた風船を持ったまま移動中……風船探す誰かに出会った、などもOK。
他、ろっこんの存在を知っている場合可能になる行動もあるかと。
・もれいび(ろっこんの自覚有無に関わらず)
珍事件に耐性があれば、早々に風船の謎に気付いても良し。
誰かのろっこん使用から始まり、ご自身のろっこん風船を探してみるのも良し。
(なんかピンときた!アレか!? とかで見つけてもOK!)
もれいびなご友人同士で、見つけた風船をとりあえず集めて困っていそうなもれいびに配ってみるも良し。
(ただし風船は前触れなく割れる事もあるので要注意)
・ほしびと
基本、ヒト・もれいび、どちらの内容でもご参加可能。
【登場可能 NPC】
・五十嵐 尚輝 … ろっこん自覚無。
風船の存在も気付かずシーサイドタウン内を散歩中。
召喚能力:自分の頭の中から小鳥が出てきて、チチチ……とさえずる。
・鷹取 洋二 … ろっこん自覚無。
風船の存在は見つけているものの、「おやかわいらしい」と素通りしたままショッピング中。
変身能力:思いこんだ人物になりきる(知らない人物のときは想像で。発動中は判断力低下)
・海原 茂 … ろっこん自覚有。
ろっこん風船の異常事態も薄々感じ取って、とりあえず風船を探している最中。
放出能力:対象に向かって、指先から雷鳴をとどろかせて雷が飛ぶ。
・七夜 あおい … ろっこん自覚有。
「風船?」と樹に引っかかった風船を誰か子供が飛ばしてしまったものかと思い、
現在ジャンプで取ろうとしてる真っ最中。
強化能力:人間とは思えないほどの力が両手に宿り、重いものを持てる。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ちょっと説明が多くなって失礼しましたっ。
堂々とろっこんを描写してみたかったんです……!(白状)
地域が限定されているので、アドリブで他のキャラ様に遭遇する場面が入る可能性が極めて高し……(小声)
「絡みNG」な方は、アクション冒頭に「×」の記載だけ入れて頂けると当方が救われますっ。
フツウを壊さずに、でもちょっぴり刺激な日常をお送り頂ければ幸いです。
個性あふれるアクションをワクワク待機しております、蒼色クレヨンでした☆